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【新卒就職②】既卒者の取れる選択肢【既卒就職】
内定が決まらないまま大学を卒業してしまう‥‥!さあ、君ならどうする?
■前回記事
既卒者の取れる選択肢
前回、新卒就職で失敗したらどうなるのか?という記事を書いたのだが、結論としては卒業を迎える3月まで頑張るという方向になると思う。
ただ、いかんせん先が見えないと気になると思うので、もし既卒になったらどんな選択肢を取り得るのか、主要なものを今回ピックアップしてみた。
筆者も既卒就活経験者で、公務員試験受験生⇒スベったため技能職就職 というステップを経て正社員になっているので、どれも現実的かつ再現性のある手段と思っている。参考になれば幸いだ。
1.就職留年
無い内定になった場合、就職留年はひとつの選択肢となるかもしれない。まだ卒業要件を満たしていない人は4年生の科目をどれかをわざと落とし、故意に留年するという手法だ。
メリットは新卒権がもう1回使えることで、新卒向けの就職サイトにも問題なく登録・エントリーできる。大手企業の最終面接落ちなど、惜しいところまで行った人ならば、志望企業ランクを下げれば次は経験の差で勝てる可能性はある。
ただし個人的にはおすすめはしない。学費があまりにも高すぎる上に履歴書を汚すからだ。筆者は私大文系出身だが、当時で年間100万くらいしたので親に負担がかかるし、そのお金があったら医療系専門学校に通い直す、公務員試験予備校に通うなど別の選択肢を検討する余地も十分あるからだ。
そして「留年」は後々の人生まで響く。去年よりもESや面接の通過率は悪くなるし、転職活動をするたびに毎回懸念材料になってしまう。「就職留年です」とはよもや言えないため、言い訳も別途用意する必要がある。そして受からないヤツは就職留年しようと受からない。
一昔前ならともかく、現在は第二新卒向け就職サイトやエージェントが充実していたり、公務員試験の試験倍率が昔よりも下がっていたりして、就職留年以外の選択肢は十分ある。
よほど大手企業に行きたい人で、実際に大手企業の最終面接まで残った、海外留学をしていて就活時期に合わなかったなど、見込みがある人でない限りはやらない方がいいだろう。
2.リファラル採用
人によってはリファラル採用に頼ってみるのも手だ。もし学生時代の友人がいる人で、大学を卒業してしまった人は大学の友人をあたってみるのもよい。(いないと使えないが‥‥)
リファラルとは「推薦・紹介」という意味で、従業員の知り合いが応募者を人事部に紹介すると、謝礼金がもらえる制度のある会社がある。その上でマッチングして内定するとさらに貰えるという制度だ。
企業(採用側)からすると、従業員がリクルートしてくれるので手間がかからない上、エージェント経由に比べる経費が格安で済む。すでに入社している社員のツテなので一定の信頼性は担保される。大学が同じならなおさらで、採用側からすると願ったりかなったりというわけだ。
そして企業はどこも若手社員が足りていない。理由は簡単で少子高齢社会だからだ。
Z世代ら現在20代の人材は、昔の20代・現在の30代よりも市場価値が高い。新卒採用を行う余力のない会社、ブランドや知名度が低く採用力の低い会社からは歓迎される。大卒22歳は新卒だろうとなかろうと、それだけで一定の市場価値があるのだ。女性ならばその価値はさらに高い。
ただしリファラルといえど受かりやすいという保証はない。企業はそこはドライだ。そして向こうがドライなのだからこちらも落とされたとしても気落ちする必要はない。リファラル採用をやりますと言ったのはあくまで企業側であり、こちらは応募しただけにすぎない。
3.20代向け就職サイト・エージェント
第二新卒向け就職サイト・エージェントに登録するのもよい。前述のとおり、20代はその希少性から市場価値が高い。そして現在は20代向けに特化した就職サイト・エージェントも存在する。
既卒無い内定でも特に問題はない。むしろ既卒無い内定の状態からどうやって入社するかという見通しを教えてもらったり、「学生時代は就職活動はしなかったのですか」「どうして無い内定なのですか」と面接で突っ込まれた際の適切な対応なりを、プロのエージェントからタダで指導してもらえるため、現状どうすればいいのかわからない人ほど頼った方がいい。
また20代はキャリアの可塑性が大きい。そのため「大手企業がいいです」「間接部門がいいです(営業はイヤです)」というような30代では無茶な相談にも乗ってくれるし、運が良ければ応募案件を紹介してくれる可能性もある。
4.公務員試験
無い内定の人は公務員試験も有力な選択肢になる。公務員試験は、国の省庁や地方公共団体が毎年行っている職員採用試験で、受験者は筆記試験と面接試験を受けて試験合格し、国家公務員系はさらに官庁訪問で内定を得ることで公務員としての身分を得る。
メリットはもちろん「公務員」になれることだ。一撃必殺勝てば官軍である。人事院がお手盛りで毎年賃上げしているため待遇もいい。誰でも知っている一流大手企業よりは劣るが、その待遇・将来性・社会的地位はその辺の中小企業営業職とは比較にならない。婚活受けもいいためモテたい男性はとりあえず目指してみるのもありだろう。
そして非営業職であり公共性のあるサービスを取り扱うのでプッシュ業務は少なく、民間営業職より仕事は楽だ。確かに税金の督促やケースワーカーなどプッシュ的業務もなくはないが、法律という正当性や後ろ盾はある。この点警察官はキツイが初めからそれが明白なので嫌なら受けなければいい。
①公務員試験のデメリット
公務員試験のデメリットとしては筆記試験の出題範囲が広いことだ。この筆記試験で受からない人は多い。
人にもよるが500時間~1000時間くらいは必要になり、必要学習期間としては最低半年~1年はかかるので、この記事を書いている12月のタイミングで予備校に駆け込むと速習コースとなる。2年計画で行った方が基礎学力は涵養できるのだが、公務員試験はあくまで就職試験なので判断が難しい。
公務員試験は教養試験と専門試験の2科目からなることが多く、教養試験はとりわけ中学受験算数、専門試験は経済学、全編を通せば英語の適性次第で大きく左右する。そのため国公立大学の法学部・経済学部生など極端に頭のいい人は無勉(ノー勉)で受かってしまう人もいる(恐ろしい)
出題科目は標準的な公務員試験の場合、おおよそこのような構成となる。
【教養科目】
文章理解:現代文・英文
数的処理:数的処理・判断推理・空間把握・資料解釈
人文科学:日本史・世界史・政治経済・地理
自然科学:数学・物理・化学・生物・地学
時事問題:国際事情・経済事情・社会事情
【専門科目】
法律学:憲法・民法・行政法
経済学:ミクロ経済学・マクロ経済学・財政学
政治学:政治学・行政学・社会学・経営学・国際関係
英語:英語基礎・英語一般
②リスクの大きい公務員試験浪人
もうひとつのデメリットとしては、採用試験は年1回実施となるため、再受験したい場合はまた1年待たねばならない。全落ちのの場合は受験と同じく公務員浪人となる。
公務員試験の勉強内容は興味深いものが多く、面接試験まで安定して進めるとかなりもったいないが、粘りすぎると難関資格浪人と同じく後がなくなるので撤退の時期は厳守した方がよい。
また面接試験が不透明で、事実上の年齢制限や女性優遇はあると思った方がよい。これは検索で調べれば出てくるので、男性が挑戦する場合そこのところをよく認識して臨む必要がある。
特に社会的属性が最弱である既卒職歴なし男性(フリーター含む)の場合、現実的に内定可能性があるのは24歳までで、25歳になったら何らかの正社員経験がないと厳しいと見た方がいいだろう。
女性や大手企業正社員の職歴のある人はもう少し緩く27歳くらいまでは可能性がある。よく見られるのは大手保険会社や銀行などを3年勤めて辞めた人だろうか。
③公務員試験に受かりやすい人
別記事になるが、以前このようなものを書いた覚えがある。これに該当する人は勝算が高めなので公務員試験は有力な選択肢となり得る。
5.医療系専門学校
医療系専門学校に再入学し、看護師やコメディカル系の国家資格を取得し、医療機関などに就職する方法もある。
大学卒業に費やした時間・費用をスポイルしてしまうため、一見もったいないように思えるが損切としては賢い選択で、24歳くらいまでなら現役で専門学校に入校した人と比べて6歳程度しか変わらず、ブランクの差はあまり気にならないだろう。
むしろ現役でなく社会人経験を経て入学してくる人もそれほど珍しくない。この場合は雇用保険の専門実践教育訓練給付金制度を申請するケースが多いだろう。授業は実習系がメインになるので友人はできる。筆者の昔の友人でも大学卒業後にサラリーマンになったが、辞めて作業療法士(PT)になった者がいる。
6.派遣・契約社員(※女性向け)
女性の場合は派遣社員・契約社員から間接部門に入るというルートが使える。とりあえず日商簿記検定二級、MOSあたりの資格を取得して派遣社員・契約社員として間接部門に潜り込み、総務・人事・経理の実務経験者になるという方法だ。
間接部門は実務経験にうるさい。たとえば正社員の業務未経験者と、非正社員の業務経験者が面接に来た場合、書類や面接で通るのは圧倒的に後者である。このキャリアを足掛かりにして正社員転職を目指すという方法が女性は使いやすい。
派遣社員でQOLに余裕のあるうちに日商簿記検定1級・社労士などの難関資格を取ると鉄板で、結婚して産休・育休・時短のコンボを取得すると、一般男性に比べてカードを2枚多く持てるのでその地位は盤石となる。特に後者は聖域なので会社も手が出せず、こうなれば間接部門正社員としての地位は揺るがないものとなるだろう。
───私は総務人事のプロだ。まちがっても営業みたいな仕事はさせるなよ。
こうした振る舞いを公然とできる強さが女性にはある。そして実際に総務や人事の仕事をきちんとこなせば誰にも文句は言われない。
①婚活も検討しておく
ただし社労士や簿記一級は1,000時間級の難関資格になるため、受かる自信が無ければ婚活を早々に進める選択肢もある。特に高年収男性と付き合いたい場合は、年齢のアドバンテージを最大限に生かし、20代前半のうちに30代高収入男性をターゲットにして即婚活という方法もある。
女性は公務員試験やこのルートがあるため、非営業職の回避が容易である。キャリア形成やロールモデルも確立しているため将来性や生活設計が立てやすく、間接部門ゆえに短期離職を繰り返すジョブホッパーにもなりにくい。
これが女性最大の強みで、男性と違って仕事・恋愛の双方において、就活の失敗や無い内定がさほどのダメージにはならない。その分男性よりも攻めチャートを採用できることが女性の人生であり、卑屈になるよりも、むしろ自身の付加価値を前面に出していった方がいい結果になるだろう。
②男性は士業事務所も検討
間接部門職志望の男性の場合は税理士や社労士などの士業事務所に入所するという選択肢もある。ここも基本落ちまくるが企業の間接部門職よりはまだ受かりやすく、経験を積めば間接部門職への転職可能性も見えてくる。
税理士事務所の場合、年末調整~確定申告~決算のある11月~5月中旬は繁忙期で物凄く忙しい。残業も多く並の女性だと持たないため、それゆえ男性需要が求められるためチャンスとなっている。
待遇は未経験者の場合最低から始まるので20代+実家暮らしじゃないと生活は厳しいだろう。実は筆者も前回転職活動時に内定をもらったことがあったのだが、通勤に2時間かかり、引っ越すと赤字なので諦めた。そして忙しいため、税理士科目や社労士の勉強は厳しいと思った方が良い。
7.技能職(※男性向け)
男性が間接部門職へ就くことを目的に社労士や簿記検定の資格を取っても実際には役に立たないことが多い。正社員未経験から間接部門正社員を取る例はほぼないし、上記の派遣・契約社員からの間接部門入りというルートが男性だと期待できないからだ。
その場合は有効求人倍率の高い仕事(人手不足の仕事)に焦点を絞って
誰でも入れそうなところを中心に就職活動を行うことになるが、人手不足=離職率が高い=キツい はほぼ確実なので尻込みしてしまうことだろう。
そんな人には技能職(ブルーカラー)というのはひとつの選択肢としておすすめだ。大型自動車免許、危険物取扱者、電気工事士、ボイラー技士といった技能系国家資格を取得してドライバーや工事作業、設備点検といった現場作業に従事する仕事だ。
これなら理不尽な営業は求められないので比較的続けやすく、手に職も就くのでポータブルスキルを獲得しやすい。現場の知識があるので同業種の営業職へのキャリアチェンジも可能だ。
間接部門や公務員といった安定した仕事に就きづらい男性は、営業職適性がないと生活設計の見通しが立たず人生全般にわたってかなりつらくなるのだが、こうした手堅い仕事や兵糧的スキルを覚えておくといざというとき助かることも多い。
技能職を考えている場合はわかものハローワーク(ヤングハローワーク)に相談するとよい。一年間の実務経験があれば雇用保険から職業訓練が使えるため、ポリテクセンターなどで技能を学ぶことができる。
まとめ
今回は大学既卒者の取り得る選択肢について述べてみた。上記は方法論になるが、何よりも一番大切なのは友人・恋人・両親といった相談できる理解者がいるならば、まずはその人に打ち明けてみることだろう。
筆者の場合は友人・恋人がおらず、両親も会話が通じにくく、落ち着いて話を聞けるタイプではなかったため(最終的に怒りだしてしまう)自力でなんとかするしかなかったのだが、
就職活動は事前情報と正しいやり方を知っているかどうかがかなり大事なので、頼れる人がいるなら頼った方が早いし予後も良好と思われる。