アイス
私たちは帰り道に棒アイスを買った。
1本だけ。私のアイス。
かれこれ1時間半あても無く歩き回り、川を下り、ブランコを揺らし
男はその間数回泣いた。泣くのを我慢する顔がなんとも間抜けで、それでも私はもう、その男を愛おしいとは思わなかった。
涙と鼻水でぐずぐずになった男の顔。
歳下のあまりにも頼りない、どうしようもない男。
私への愛だけが真実だと信じてやまず、だけどその愛を適切に伝えられない男。
玄関に着いた時私たちは激しくキスをした。止まらなかった。お互いの唇が今くっついてしまって、離れなければいいのに。そしたら、この男もバカなことを言えなくなるのに。
散歩と同じくらい長い時間キスをしていた。
アイスは袋の中で溶けてしまった。
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