1973年のピンボール【村上春樹】
見知らぬ土地の話を聞くのが病的に好きだった。
僕と直子との回想シーンから始まる始まる冒頭の一文が好きだ。
p27このページから物語が始まる。
p27までの内容は複数のエピソードが盛り込まれており、ここに【村上ワールド】ともいえる独特な表現に疲労感さえ感じる。しかし全て興味深く、沼にはまっていくような面白さがある。
さて、ピンボールとは本著よりレイモンド・モロニー氏が生み出したゲームであり、お金も時間も危うく無駄にしてしまう淡々としたゲームである。
しかしながら、ある種のいかがわしさを含み、時代の泡としてこの世に生じた、また存在自体よりもテクノロジーや資本投下、人々の根源的な欲望やニーズによって神話的存在になり得たピンボールマシーンは多くの人を魅了した。
主人公の僕は、翻訳の仕事を1人の相棒と共に始めた。
突然にはなるが、村上春樹作品とビートルズの相性が良すぎる。その本に合う音楽をかけ合わせれば読書時間はより素敵になるだろう。
話を戻して、僕は翻訳の仕事をこなしていく。その中で永続的に続く作業に飽き暮れる日々に時間の感覚もバグを起こす。
僕はただ一人深いプールの底に座り続けていた。温かい水と柔らかい光、そして沈黙。
p36より
冒頭部分だけでも凄まじくパワーを消費するこの作品、でもとても良い時間。今日はここまで、おやすみなさい。
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