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個人的東京ソングの話

東京という街は、私にとって未だに苦手意識が残るものだ。曲の歌詞とか本のタイトルに入ってるのを見つけると、ちょっと身体が強ばるくらいには。

というのも私は今から約4年前に東京に住んでいたことがある。ちょうど前回の都知事選の頃は東京にいたんだったなあ、と思い出した。
4年前、私は高校を卒業し、第一志望の大学に不合格になり、合格していた某私立大学に入学し上京した。不本意ながら入学した大学で、友達もあまりおらず、学びたいことが学べる環境でないことを知り絶望した私が、その大学を辞める決断をしたのは入学から僅か2ヵ月後のことだった。1年生前期の4ヵ月間は大学に通い、夏休みに入ると実家に戻り予備校に通い始める、という激動の1年を送ったのだ。ああ、なんか懐かしいな。
当時の私は家と大学の往復(徒歩5分)しかしてなくて趣味も無く、ユニゾンもほぼ知らず音楽もあまり聴いていなかったから、東京を離れてから聴いた東京ソングが多い。
もしあの頃にいろんな東京ソングに、ユニゾンに出会っていたら、今頃私は大学を卒業して東京で就職していたかもしれない…… なんてたらればは今でもちょっと思うことがある。

今回は個人的東京ソングをいくつか挙げてみたいと思う。ついでに東京の思い出があればそれも思い出してみようかな。


1. 東京/くるり
言わずと知れた名曲だけど、この曲をちゃんと聴いたのは東京を離れてからだった。いかにも上京ソングという感じで、18歳の私が聴いたら泣いていたかもしれない。
たしかいつかどっかでピースの又吉が好きな曲として挙げてて、色んな人にとっての東京ソングなんだろうなと思っている。

2. 東京/Mr.Children
これもタイトルがストレートに「東京」という曲。ミスチルで一番好きなアルバム「SUPERMARKET FANTASY」収録。この曲は上京前にも聴いていたはずだけど、高校生の私は東京に憧れなんてなくて、家族旅行と入試の2回しか行ったことが無かったからか、スルーしてしまっていた。
「この街に大切な人がいる」って歌詞があるけど、私には東京に大切な人はいなかったし、なんなら当時は地元に残ってる高校の同級生と遠距離中だったから、むしろ郷愁ソングだったかも。

3. けもの道/スピッツ
歌い出しの歌詞が「東京の日の出 すごいキレイだなあ」だから、勝手に東京ソングだと思ってる。ライブだと各地名に変えて歌ってた。
名盤「三日月ロック」に収録。高校時代に相当聴き込んだスピッツの中でも1番東京感が強いかと思ってたけど、歌詞に東京って出てくるのは1回だけだったらしい。
「あきらめないで」とか「フレ フレ フレ」とか、応援ソングっぽい。4ヶ月間の東京生活を応援してくれてたんだろうな〜 とあの頃を思い返してみたり。

4. 野生のポルカ/スピッツ
「飛び回りたい 武蔵野の空を」っていう歌詞がある。それだけなんだけど、この曲の入ったアルバム「小さな生き物」が2016年4月当時ではスピッツの最新アルバムだったから、あの頃かなり聴いていた。東京にいた4ヶ月の間に武蔵野に行くことはなかったけど、そういえばマサムネは大学がそっちだったか、などと考えたり。
今振り返ると当時の私はめちゃくちゃインドアで、週末は買い物に行って料理する、くらいしかしてなかった。武蔵野とか行ってみれば良かったかもね。勿体無いな〜。

5. 東京シナリオ/UNISON SQUARE GARDEN
ユニゾンを好きになってから知ったから、東京にいた時には聞いたこともなかった。去年B面ベストが出てからかなり聴いたけど、好きな曲相当上位。「中野通り」って言うのも歌詞にあるけど、早稲田の近くにある地名?方向音痴だから よく知らない……。ユニゾンは東京出身のバンドだから「東京」にさして思い入れも無いのだろうけど、東京を諦めた人間にとってこの曲は優しすぎて涙が出そうだ。

6. フルカラープログラム/UNISON SQUARE GARDEN
ユニゾンからもう1曲。「東京ジャングル」という言葉が、初めて新宿や渋谷に降り立ったときにおぼえた敗北感というか、(私なんかがこんな街に来てしまってごめんなさい)という感情を思い出させる。コンクリートジャングルを目にして、地元じゃ街中なんて見慣れたもんだったけど、そんな比じゃない都会だと思い知らされた。新宿なんて駅の中歩くだけで大変なのに外出たら地上も地下も訳わかんなかった。渋谷はとにかく人が多くて怖かった。18の私には、東京の洗礼を受けたように思えたし、今から考えるとそれがまさに「東京ジャングル」だったんだろうなって。
この曲は元々そういうの関係なく好きなんだけどね。

7. 東京フラッシュ/Vaundy
今年、Vaundy流行ってますね。斎藤さんがどっかのラジオで紹介してたっけ。
実家の母がVaundyにハマったらしく、よくYouTubeで見てたけど、これもタイトルから分かりやすく東京ソング。歌詞自体はそんなに東京っぽくないけどね。
お洒落で洗練された、という意味においては東京的な曲、なんじゃないかと思う。

8. ちえのわ feat.峯田和伸/東京スカパラダイスオーケストラ
スカパラは名前に東京って入ってるからどれを取っても東京ソングになりかねないんだけど、「東京はずっと工事中だね」という歌い出しのこの曲をチョイス。最近だと「ツギハギカラフル」がまさにそうなんだろうけど、まだちゃんと聴き込めてないのでパスってことで……。
当時は東京駅から大手町駅までの通路とか渋谷駅山手線ホームとか、なんなら大学の体育館とかも工事中だったっけなと思い出したけど、最近行ったときには工事が終わっていたような気がする。4年って長いんだねえ。
2018.12.24.大阪城ホール公演で、峯田が登場して歌い出し「東京」から音外してたのを目撃してしまったよ。いやー、あのライブは本当に凄かったんだけどね。その話はまたいつかどこかで。

9. 静謐甘美秋暮抒情/UNISON SQUARE GARDEN
最後はなんの曲にしようかな〜 と思ったんだけどユニゾンの曲で1曲忘れてたのでこれで。私が初めて買ったユニゾンのアルバム、「MODE MOOD MODE」より。
「東京の清濁」ってなんだろうな〜 空気とかかな? と思うけど、正直それよりもメロディの方が気になっちゃうし、曲全体として好きなんだけど。いや、これめちゃくちゃ綺麗な曲じゃないですか? いい曲〜〜 いいアルバム〜〜〜!(語彙力)


さて、ここまで色々と個人的東京ソングを紹介してみました。
こうして振り返ってみると、私がいかに東京に対してコンプレックスを持っているかが分かりましたね。上京初日の東京駅で人の多さに圧倒されたり、大学のクラス(30人くらい)の9割が関東出身者だったり、家賃がめちゃくちゃ高かったり、数日でかなり東京に揉まれたことを思い出した。それなのにプライドは高くて、「私は別にここに来たかったわけじゃない」って心のどこかで思い続けていて。勉強したかったことをやるには他学部に移らなきゃいけないと知って、ちょうどそのタイミングで第一志望だった大学から意外と惜しかった入試成績開示が届いて、愚痴を言える友達も居なかったんだから、そりゃ大学辞めちゃおうってなるよね。
そうやって色んなものから逃げるようにして東京を離れたから、今でも何か後悔を置いてきてしまった気がする。だから今でも東京ってワードが苦手なのかな。
去年から就活やライブで何回も東京には足を運んだけど、あの頃よりはちゃんと歩けるようになったし泣かなくなったとはいえ、やっぱり都会すぎて慣れなかった。憧れを抱いたことは無いままだなあ(ライブとかイベントとか多くて羨ましいとは思うけど)、なんてね。負け惜しみじゃないけどさ、私には地元・名古屋くらいの都会がちょうどいいですわ。東京の会社も受けたりしてたけど、結局就職も地元に帰ることになったし、私の東京コンプレックスはこのままになりそうです。
こうして東京ソングとともに東京での生活をしっかり振り返ることで、私は想いも思い出も、意外とたくさん東京に置いてきてしまったのかも、と気付きました。

誰しも東京には少なからず思い出があるんじゃなかろうか、なんて思ってみたり。

──あなたにとっての東京ソングは何ですか?

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