映画ギヴンとセンチミリメンタル「僕らだけの主題歌」
どうも、ギヴンにハマった者です。前回、【映画ギヴン感想】の中で「主題歌が良い」と書いたが、せっかくなのでその説明をしようと思う。初めて歌詞考察の記事を書くので慣れないが、大目に見て欲しい。
まずはYouTubeにも上がっているので【センチミリメンタル公式MV】と【映画公式PV】を見てみて欲しい。ギヴンに興味無い人も、とりあえず聴いてみて。普通にいい曲なので。その上で、映画ギヴンにも興味持ってくれると嬉しいことこの上ないです。原作読んでるよ映画もう見たよって人は以下のネタバレ歌詞考察も読んでみてほしいです。
というわけで、以下、映画のネタバレを含む歌詞の解釈です。多分こじつけみたいなのも多いです。あくまで個人の感想です。
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「僕らだけの主題歌」/センチミリメンタル
もう戻れないね
→歌い出しから切ない。劇場で聴くと涙腺スイッチ入る。だいたいどっかから泣き声が聞こえる。
誰から誰への語りかけなのかは分からないけれど、過去との決別というか、覚悟というか。聴いてると、雨月と秋彦の物語の歌なのかな、という気がするが、必ずしもそうでもないような気もする。
春を待つ僕らの 青い痛みを
愛や夢で ごちゃ混ぜにして走った
→まず、歌詞関係ないけど「ごちゃ混ぜにして走った」の歌い方が好き。ごちゃ混ぜ感が出てる気がする。
単に春と青で「青春」と読むこともできるが、おそらく劇中の春=秋彦が春樹に告白するシーンを指しているだろう。もしくは、痛み苦しんでいた秋彦にとっての、救いとしての春樹とも読める。
関係ないけど、青春って青って決めつけなくてもよくない? と時々思う。あなたにとっての青春は何色ですか? まあ、私の場合は何のひねりもなく青って答えるんですけどね。
ぼやけていくのに 消えはしないような
じゃれ合いの中でついた傷を
→秋彦と雨月の日々のことかな。2人の間の「傷」というと、マグカップのシーンが浮かぶ。仲良く楽しい初恋の日々の中のちょっとした衝突。
重ねた場所とは 違う所から
歩き出すから
泣きじゃくった日々を背に
→「重ねた場所」=バイオリン?雨月ハウス? 秋彦がバイオリン(と雨月)に執着して縋るのを辞める、もしくは秋彦が雨月の家から出て行く、かと。どちらにせよ、雨月との別れのことかな。
「泣きじゃくった日々」については考えてるけど分かんないな。泣くというと雨月が涙を浮かべていたシーンが劇中では印象的だったが、もしかすると、その後雨月は泣き続けていたのかもしれない…… とも思える。
僕は行くよ
ねぇ 見ててよ
→これが誰の台詞なんだろうか、とずっと考えてる。秋彦→雨月か、雨月→秋彦か、はたまた真冬→由紀か。どれとも取れるような気がする。いずれにせよ、「自分は前を向く」っていう覚悟と、それを見せつけてやるっていう自信が見て取れる台詞だ。
可笑しくて 笑った
すれ違い 怒った
あなたとの夢を叶えてくるよ
→「あなたとの夢」だから、恐らく2人の間で夢を語ったことがあるのだろう。
これは関係ない話だけど、夢があって、それを誰かと共有できてるっていうのが羨ましいなって。私にも大なり小なり夢みたいなものはあるけど、どれも自己完結だから、誰かと同じ夢っていうのを持ってみたいなとちょっと思った。
悲しいとき すごく辛いとき
思い出す記憶を 過ごした時間を
この心の背もたれにして
→「心の背もたれ」っていう表現に感動を超えて嫉妬した。多分これまで世界に存在してなかったコロケーションだろう。でも、誰もがなんとなくその意味を理解できる。よくある言葉に置き換えるなら、「心の拠り所」あたりになるだろうか。でも、拠り所っていうほど執着するわけでもなく、ちょっと助けてもらう、みたいなニュアンスかなって。ワードセンスに嫉妬しました。
今度後ろを振り向くときは
手でも振って 笑いあえたらいいな
→雨月が振り向くシーンが劇中に2度あって、どちらも印象的。1つは秋の紅葉の中で笑顔で、もう1つは秋彦との別れの直後にその後ろ姿を涙をためながら。それを思うと、別れたあとにもう一度会うことがあれば、円満に笑えるといいね、ってことかなって。
森の奥深く 迷い込んでても
差し込む朝日に夜明けを知る
→今作のキャッチコピーでテーマでもある「夜明け」。劇中の夜明け/朝日というと、終電逃して歩いて帰る秋彦と春樹が思い出される。あのトンボのシーンは原作でも何度も回想として出てくるし、重要な意味を持つのだろう。恐らくは、秋彦が春樹への想いを自覚する場面なのだと理解しているから、「差し込む朝日」は秋彦にとっての春樹を指すとも取れる。
あと、「夜明け」っていうのが、薄暗い日の当たらない雨月ハウスからの離別を指してるのではないかとも思えてきた。秋彦にとって、雨月は大切な人でありながら、苦しみの原因でもあったから、そこからの独立はある意味夜明けとも言えるかもしれない。
たとえ見えなくても
過去 未来 今が手を繋いで
次の夜を照らしてる
→夜とか闇って、よく絶望の意味で用いられる。そこを「照らしてる」んだから、明るい未来があるってことかな。ただ暗いままでは終わらせない。
ここにいるよ
そばに来てよ
→これも誰視点とも読める。雨月→秋彦か、春樹→秋彦か、秋彦→春樹か……
個人的には春樹→秋彦説を推したい。「なんでもしてあげるから」って言った後に拒絶されて、「相手に何も求められていないっていうのは辛い」っていうシーンがあった。あのときの春樹の心情のように読める。
置き去りの願いも まだ残してるんだ
何食わぬ顔で生きていても
会いたいとき 抱きしめたいとき
思い出す記憶を 過ごした時間を
見えぬ未来の灯りにして
→さっきの「照らしてる」がここの「未来」にかかってくるのかな。「思い出す記憶」だから、別れた後のことだろう。となると、雨月か秋彦の心情かなあ。雨月の未練かもしれないなあ、なんて。
もう消えたい 逃げたいと
叫んだ絶望の中を
→大人組3人にとっての「夜」のことを絶望と言ってるのかと理解した。劇中でも、それぞれにとっての“絶望”が描かれていたと思う。秋彦にとっては雨月に別れを告げられたとき、春樹にとっては秋彦に拒絶されたとき、雨月にとっては秋彦に別れを告げられたとき。どれも彼らにとっては大きな絶望だっただろう。
出会いも奇跡さえも恨んだ
最低なあの日を
→秋彦と雨月の出会いのシーンを思い出した。バイオリンを弾く雨月に衝撃を受けて、初恋に落ちた秋彦。それでもお互いの存在がお互いを世界で1番苦しめていることを知り、雨月が別れを告げる。
別れの時って、出会いを恨むこともあるよね。いや、あんま経験ないから知らんけど。
無かった事には出来ないのだから
それでも生きて良かったって
せめて最後に思えますように
→どんなことも前向きに受け入れなきゃ、っていう意思が見られる部分。どんな絶望でも、どんな夜でも、受け入れなきゃいけないし、最終的には受け入れられるものにしなきゃいけないし、なるんだ、みたいな。
絶望のまま終わらせないあたりが良いね。
もう戻れないね
→冒頭とはまた違った雰囲気の「もう戻れないね」。同じ言葉でも、切なさよりも、自覚とか覚悟とか達観とか、そういう強さを感じる。ここのピアノの音がめちゃくちゃ心に刺さってくる。
僕は行くよ
ねぇ 見ててよ
あなたより大事なもの探してくるよ
何よりも大事なあなたのために
→これ、生き方を変えた秋彦の話なのかな、って思った。雨月と別れて親に頭下げてバイト辞めてバイオリンに打ち込んで、春樹のために、春樹に見合う男になるために頑張った秋彦。【前回】も言ったけど、「俺が生き方を変えたのは! お前に見合う男になりたかったからだ!」って人生で言われてみたい言葉ランキング上位だと思います。
会いたいとき 抱きしめたいとき
思い出す記憶を 過ごした時間を
この心の背もたれにして
→これ、実は秋彦にとっての雨月との記憶のことなんじゃないかと思った。秋彦にとっては雨月との初恋は忘れられないものだし、恐らくずっと特別な存在ではあるんだけど、一緒にいるとお互い苦しむから別れた、って感じだと思う。そうだとすると、“綺麗な記憶”として、初恋を残しておくのかもしれないなって。喧嘩別れじゃないからこそ、過ごした時間を思い出したくもなるんじゃないかな。
何回も歌うよ 大事な思いを
僕らだけの 主題歌にして
→最後にタイトルの意味を回収してくるパターン、良いよね。
大事な思いは何回も言わなきゃいけない。原作4巻真冬くんの「ちゃんと確かめないと、だめになる」って言う言葉が個人的には特に刺さってるから、そことも(意図してはないかもしれないけどけど)リンクしてるなー、なんて。
あと、この後のアウトロが、特にピアノのメロディが綺麗で、心が浄化されて涙が流れる。映画の後味をよくする効果もあると思う。
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以上、勝手に歌詞考察でした。最初に聴いたときはなんとなくギヴンとリンクしてる気がしたから「わーセンチミリメンタルすごい」って思ってたけど、映画2回見て原作何回も読んで曲聴いてってしてるうちに色々思うことが増えてきた。
もちろん歌詞の意味の答えは作詞者の中にしかないし、これはただのオタクの戯言として読み流していただければ幸いです。ギヴンと関連付けて考えすぎな部分も多分にあるだろうし。ただ、私の思考をまとめて、劇場でもう一度見るときにより理解できるように、一度しっかり考えてみたかっただけです。まだまだギヴンにハマってから日が浅いから持ってる情報量も少ないんだけど、私なりに色々考えた結果です。
次は劇中歌「夜が明ける」の方もちゃんと歌詞読んでみたいね。また時間があったらエンドレスリピートしながら読んで考えます。
どうせまた明日くらいには3週目特典を貰いに劇場に行くので、そこで改めて気付くことがあれば追記します。よければあなたなりの解釈も教えてください。それではまた。