「稼ぐ社長はなぜ、お鮨が好きなのか?」鮨バブル時代!生き残る鮨屋と潰れる鮨屋。中小企業がサバイブするヒントとは?
皆さんは「お金を稼ぐ人」って、どんなイメージを持たれていますか?
私は「食べることが大好き」な方が多いと思うんです。
なかでもグルメ社長は、お鮨が大好き!!
なぜ、お鮨が絶大な支持を受けるのか?
それは単に高級だから、あるいは美味しいから、という理由だけではないと思うんです。
私が思うに、お鮨屋さんには、経営をよくするヒントが盛りだくさん、そんな印象があるんです。
今回は、私のお鮨愛を語ると同時に、お鮨屋さんにどんな経営をよくするヒントがあるのか?
逆にお鮨屋さんを通じて、今後の中小企業のあり方や課題について、そんなお話ができたらなと思っています。
ところで、お鮨屋さんと一言でいっても色々ありますが、今回取り上げるのは、稼ぐ社長さん達が好みそうな高級鮨屋さんを前提にお話しますね。
私も数年前から高級お鮨にどハマりしてました。ハマると、とことんまで行きたくなる性分で、一時は中毒のように通いつめたんです。
美味しいお鮨屋さん巡りをしていると、不思議なことが起こりました。
それは、どこからともなくお鮨仲間が集まる、いわばお鮨ネットワークが広がったんです。食事にはフレンチやイタリアン、中華など様々ですが、こうしたネットワークができるのは、お鮨だからこそ、とも言えます。
そのネットワークでは、お鮨についての様々な情報交換や、自分が行ったことないお店に誘ってくれたりと、交流関係も深まります。
そうした交流の中で、その方の人となりが理解できるので思わぬビジネスの話に発展することもあるんです。
ところで美味しいお鮨屋さんは、まず予約が取れません。
そして行けば行ったで、お店独自のルールや、外せないマナーもある。良く言えばこだわり、悪く言えば窮屈さ、さらに言えば食べる側にもお鮨についての知識が必要です。
そこで、まずはお鮨屋さんを楽しむための、最低限これだけは外せない、3つのルールを紹介します。
まず1つ目は「ドタキャン・遅刻厳禁!」
これはルールと言うよりマナーの問題ですが、人気店は半年以上先まで予約が埋まっているのが普通です。
そしてそうしたお鮨屋さんは2回転制、たとえば第一部は18時スタート、第二部は20:30時スタートというように分けて、一斉に食事を提供します。
約10名くらいのカウンター席のお店であれば、1日20名程度のお客さんしか入れません。もしも、ドタキャンされたら、その日のために仕入れたお魚が無駄になってしまいます。
なので、万が一いけなくなってしまった時は、早めにキャンセルの連絡をするか、代理の人を探して、貴重な席に穴をあけないようにしましょう。
2つめ「香水禁止!」
これは絶対に守っていただきたい。最悪は入店拒否される可能性もあるルールです。
お鮨の魅力は、何と言っても風味や香り、香水が匂うとすべてが台無しです。
予約の際や、HPに香水は遠慮くださいと注意喚起されてるお店もあります。高級鮨なので、ちょっとお洒落したい気持ちも分かりますが、お鮨を味わう場所であることをお忘れなく。
3つ目「出てきたお鮨はすぐ食べる!」
ネタの温度、シャリの温度、タイミングなど計算しつくされ出される一貫、その瞬間がもっともお鮨が美味しいピークなのです。
なので、大将が置いたらすぐに口に運ぶ。実際、すぐに食べずに放置していると「早く食べて!」と怒られることもあります。
お鮨は向き合うもので、接待や会食、商談など、食事より相手との話に夢中になるようなシーンには向いていないかもしれません。ちなみに手で受けて食べるのが粋です。
いかがでしたか?ちょっと窮屈で面倒と思われた方もいるかと思います。
ただ、そうした制約条件の中でこそ、お鮨を楽しむ余裕が必要なんです。あとは、美味しい時はとにかく「美味しい」をあらわすことが大切です。
ところで今、世は空前のお鮨ブーム。ここ数年の間に、お鮨屋さんは急激に増えており、まさにバブルの様相です。
同時に値段も驚くほど高騰していて、食べログなどで評価が高い有名店では、おまかせコース一本のみ、最低でも2万5千円、なかには5万円のお店もあります。
これにお酒の値段が加わるので、会計時にビックリすることもあります。
まさにコスパ最悪とも言えるお鮨屋さん、なぜ足繁く通うのでしょうか?
そこには、稼ぐ社長の心をわしづかみにする要素がたくさんつまっているんです。
まずは希少性。
お鮨は基本的にカウンターで、約10名、2回転。予約困難店は半年から1年待ち。貴重な席、真面目で無骨な大将もいますし、はじめて行くお店はアウェイな感じで緊張するかもしれません。
ただ、真面目に通い続けていくうちに、大将と仲良くなり予約もしやすくなる。まさにお店を攻略していく、という楽しさや特別感を味わえるんです。こうしたことを価値ある経験と捉える方こそ、お鮨屋さんに相応しいともいえます。
素敵なお店の常連になれば、ビジネスの大切なお客さんの接待にも、デートにも最適。おのずと距離が縮まること間違いなし!モテる人はいきつけの鮨屋をレパートリ-にしていますよ!
ところでネタはどうでしょうか?
誤解を恐れずに言えば、余程のことがない限り、獲れる魚や使う素材は、どのお店も大きく変わりません。調理の違いや提供の仕方に差はあれど、季節で使える素材に大差がないからです。
お鮨屋さんで差がでるのは何と言っても、シャリの味と握り方です。
修行したお店によって酢の配合や種類、温度、すべてが違います。酸味の強いシャリもあれば、酸味はあまり感じさせないマイルドな甘みのあるシャリも。
好きな味のシャリと、握り具合の大将を見つけることがお気に入りを見つける秘訣かもしれません。
こうした探究心や、知的好奇心を刺激することが、お鮨好きの経営者には堪らないのかもしれません。
現在の鮨ブームは、4年ほど前から「港区女子」ならぬ「港区じゅし(鮨)」
インスタバエする華やかなお鮨が、若い女性や若い経営者などの心を鷲掴みにしたところからスタートしました。
お鮨にトリュフやキャビアをこんもりのせたり、マグロの上に雲丹をドカッとのせたり、インスタばえしそうな、見た目がわかりやすいお鮨。
そして、知る人ぞ知る「熟成鮨」
新鮮なネタというよりは熟成させるために寝かせたお鮨、ねっとり柔らかく、旨味を出すために一時流行りました。
この港区鮨、一見邪道にも思えますが、何を隠そう私もお鮨好きになるキッカケはとある港区鮨のお店でした。食べたことのないお鮨の数々は、華やかで驚きがあって、楽しい!と感動して、ハマるキッカケになったのです。
今、まさに鮨バブル花盛り!とも言えますが、こうした時期にこそ、将来に向けて赤字の種が蒔かれているとも言えます。
バブルはいずれはじけるから
その時期を早めるキッカケを作っているのは、何を隠そう、お鮨屋さん自身なのかもしれません。
例えば、値段が高騰しすぎていること。そして、厳しい時間制限。
一斉スタートで2回転すれば効率的にお客さんを入れることができます。今は当たり前になっていますが、ただ決められたものを、美味しい美味しいと崇めながら食べて、まだ飲み物も残ってるのに1時間半~2時間で「はい、時間なんで出て行ってね!」と言われることもあります。
すると、なんだかエサを与えられているブロイラーのような気持ちになるんです。
経営の立場からすれば、売上を上げるために回転率を上げる、これは周知の事実ですが、それと同時にお客さんの顧客満足度を下げている、という弊害には気づいていないのです。
全てがおまかせコース一択。ということは、人数分の材料を仕入れれば良いのです。
いくら高級な魚を使っているとはいっても、量がみえているので食品ロスも少なく、コストを抑えられ、利益率は相当高いと思います。
もちろん美味しいものや、価値あるものにお金を支払いたいと思っているのですが、それにしてもやりすぎなんじゃない?!と思うことが多々あります。つまり、行き過ぎたコスト重視が、顧客満足度を下げているんです。
その証拠に、最近お会計時に「え、高い!」って思うことがあります。こちらの舌が肥えているのもありますが、ただ、そう思わせた時点で、お鮨の価値とお金の等価交換できていないことだとも思うんです。
逆に「え!こんなに感動したのに思ったより安い!」そう思わせることが、商売する上で、とても大事なことだと思いませんか?
また、今の「働き方改革」もお鮨屋さんの経営に影を落としています。オーナーは従業員を長い時間働かせられなくなり、昔のように厳しく弟子を育てることが困難になりました。いずれお店を任せようと育てても、簡単に独立されたりする。
ちなみに、金のなるところに目を付けた様々な業界のビジネスマンたちがスポンサーになって鮨屋を経営することも流行っています。
鮨職人として有名店から2番手、3番手の子を引き抜き、鮨屋をオープンさせる、オーナーは別、雇われ大将のお鮨屋さんが多くなりました。元々そういった目的で有名店で半年だけ働かせて、ノウハウを盗みすぐに独立!といった話も聞きます。
つまり、今のお鮨業界は、事業承継どころか、一代限りの経営がほとんどなんです。このままでは、本当に美味しいお鮨を後世に残すことができるのか、不安になりますよね。
さらに高級鮨屋さんの大将は、神のごとく崇められます。すると、誰も口出しできなくなります。そうなると、まさに裸の王様状態。
こだわりある粋な鮨職人さんが、儲け主義のビジネスマンになる姿を何度もみています。とても悲しいですよね。
ここ最近、私が思う、1番の贅沢は「自分で選べること」
コースではなく、食べたい物を自分で選ぶアラカルトが1番の贅沢だと思うんです。昔のお鮨屋さんのように、自由な時間に行けて、時間制限もなく好きなものを、好きなだけ頼めるオーダーメイドのお店。
まわりのグルメな知人たちはみな、そうした流れになっています。
お客様の欲しいサービスを、心を込めて提供する。商売の原点とも言える気持ちを見失ってはいけないと思います。
良い時も悪い時も、目の前にいるお客さんに一生懸命向き合う。楽しませよう、感動してもらおうと戦ってる人のお料理にはエネルギーがあります。
美味しく楽しく食事をすることは、明日への活力にも繋がります。それが巡り巡って、世の中に良い循環をもたらす。
つまり、売り手よし、買い手よし、そして世間よしの、三方良しの精神が大切だと思います。
目まぐるしく移り変わる今の時代だからこそ、腐らず、新鮮なままで、需要や時代に応じて変化し続け、価値を与え続ける、近江(おうみ)商人が教えてくれた商売の真髄を肝に銘じたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございます。
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