![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/115458853/rectangle_large_type_2_77335f142312405b1267064bd2158bf0.jpeg?width=1200)
「つみたて投資の終わり方」100年生きても大丈夫!:人生後半に向けた投資信託の取り崩しメソッドを解説!
今回はカン・チュンドさんの著書「つみたて投資の終わり方」という本がとっても素晴らしかったので、ぜひ皆さんとシェアしたいと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1693970212713-TatbjBEgj1.jpg)
こんにちは、キッシーです。
今の世の中、お金を増やそう!投資で儲けよう!という情報が溢れていますよね。ただ、そのお金を増やした後に、そのお金をどうやって取り崩して、どうやって使っていくのか、いわばお金の終わらせ方について語る本って、なかなかなかったと思うんです。
たとえば80歳まで順調に投資を続けて資産総額10億円になったとします。
ただ、その10億円を使わずに亡くなったとしたら、それはお金を使う、という貴重な経験を10億円分、損したとも思いませんか?実際、年齢を重ねるとお金を使いたくても使えなくなるとはよく聞きますよね。 投資の目的はお金を貯めることではありません。お金は使ってはじめて価値がでるんです。
著者のカンさんは、投資人生を山に例えています。若いころにスタートした投資は、いわば山登り。若さとエネルギーでお金を増やしていきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1693970385950-q4rceMZJnf.png?width=1200)
それが引退後は、今まで投資で増やしてきたお金を取り崩し、生活費に充てながら生活していく、いわば山下りのステージになります。このように投資には貯める時期と取り崩す時期がある、と仰っています。
投資家にとって終わらせること・使っていくということの方が難しいのかもしれません。それを無理なく実践させようというのがこの本の趣旨で、これからの私の投資目標と将来の心構えが出来たんです。
ちなみに私は、積立NISAでS&P500をメインに毎月コツコツ投資をしていますが、目標はズバリ、20年後、30年後に気付いたら、お金が貯まってたラッキー! 老後のボーナスのような感じで、お友達と美味しいごはん食べて、宝飾品なんか買っちゃて、旅行にいって…好きなこと、楽しいことにパーッと使うお金にしよう!なんて、超楽観的に考えてました。
ただ、今は人生100年時代。昨今の物価上昇や増税を前に、国が推奨する老後2000万円を貯めたとしても、リタイア後に実際にそれで生活ができるかどうか不安です。 そうならないための一つの答えが本作、ポイントをお話したいと思います。ポイントは3つ!
1)リタイアする「Xデー」を決める
2)超スリムなポートフォリオを作る
3)一年に一度、お金を取り崩して資産をリバランスする
1から3を毎年繰り返しながら、お金を使うだけ!あれ!意外と簡単かも!?
![](https://assets.st-note.com/img/1693970624490-z6CGfrp9Tb.png?width=1200)
この日を境に、今まで増やしてきた投資資産を取り崩して、使っていく!にシフトするんですから、まさに投資のパラダイムシフトが起きる日ともいえます。
「えっ、せっかく貯め続けてきた投資を解約するなんてありえない。これからもっと上がるかもしれないのに」 と、思われた方、私も最初はそう想いました。
ただ、著者のカンさんは、それは投資の山登りの思考で、リタイア後もその意識のままだと、むしろ危険だと指摘しているんです。
例えば、株や投資信託が大暴落したとします。引退後は労働収入がなくなるわけですから、投資資産か安全資産を取り崩して生活せざるを得ないですよね。
ただ、投資を続けている方は、大暴落した投資資産をなかなか損切りできず、結果として安全資産である現預金を引き出すことになります。
するとその方のポートフォリオはリスク資産である投資資産の占める割合が大きくなり、逆に安全資産の割合は減ります。
![](https://assets.st-note.com/img/1693970892781-gmxccytEPW.png?width=1200)
これは何を意味しているか?それは老後の不安なんです。
現役で働いていれば、多少の損が出ても、しばらく放置すれば戻る可能性があります。さらに毎月の労働収入があるので、不安も少ないでしょう。
ただ、リタイア後は、労働収入はゼロ、目の前の資産がどんどん減って、それを取り返す時間もないと考えると、その不安は想像を絶しますよね。
だからこそカンさんは、リタイア前に、安全資産とリスク資産のバランスを整えること、つまりリバランスを勧めているんです。
それが2つ目のポイント「超スリムなポートフォリオを作る」です。
ポートフォリオは、安全資産とリスク資産を分けることが大切です。
ちなみに安全資産とは、預貯金や個人向け国債など、元本が確保されている資産。リスク資産は、株式、投資信託、FX、金、暗号資産など、元本が保証されていない資産です。
まずは全資産を洗い出して、安全資産とリスク資産に分けます。そして、リスク資産は超スリム化!して1本化するんです。それも低リスクのリスク資産に絞り込んでいきます。 例えば、債権と株式が分散されているファンドや、バランス型の投資信託1本まで断捨離します。
ちなみに低リスクのリスク資産の代表例として
・eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
・eMAXIS Slimバランス(8資産均等)
・楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)
などをあげています。低リスクにすることで、金融危機が起こったときや、株価暴落時に極力被害を減らすための備えともいえます。
ただ、いきなり投資資産を一本化するのは難しいですよね。
そこでリタイアするXデー前の5年間を準備期間として、徐々に投資資金を安全資金にシフトしていくことになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1693971136008-2Jq5BKQWKb.png?width=1200)
この準備期間に高リスクの投資信託を契約しているのであれば解約して安全資産の比率を高める、という経験が必要なんです。解約すれば税金やチャンスロスもあるでしょう。しかし、これは老後に備えての先行投資だと割り切る必要もあります。細かいやり方についてはぜひ本書をご覧頂きたいのですが、私はこの準備期間の過ごし方もとても大切だと思いました。
さて、リスク資産をシンプルにしたら、次は、預貯金などの安全資産:リスク資産の比率を決めます。山下り期は5:5、または4:6がオススメだそうです。
![](https://assets.st-note.com/img/1693971222623-10MiT0I2sU.png?width=1200)
安全資産の比率が高ければ物価上昇に耐えられずお金は目に見えて減っていきます。逆にリスク資産の比率が大きければ、株価暴落や世界情勢の変化などに耐えられないでしょう。
そこで3つ目のポイント「一年に一度、お金を取り崩して資産をリバランスする」
いよいよ本作の大切なテーマである、老後資金をいかに捻出していくか、について説明します。まず、取り崩すのは1年に1度だけ。
これは人生を楽しむために、細かいことは気にせず放っておけ〜!の精神が大切だからです。 そのためには、毎年一回、全資産、つまり安全資産+リスク資産(バランス型投資信託1本)の総額を算出します。
そして、ここからが本題、どのようにして生活費をねん出するか、本書の参考例を少しアレンジして説明します。
![](https://assets.st-note.com/img/1693971338169-yNrT4vHCh0.png?width=1200)
例えば年末の全資産4000万円、その内訳は安全資産2000万円、リスク資産(バランス型投信)2000万円の、5:5のポートフォリオだったとします。
![](https://assets.st-note.com/img/1693971874899-AhmbB7iuzl.png?width=1200)
そして、それぞれの利回りは安全資産が0%、
リスク資産が6%、つまりトータル利回りは6%だとすれば、
ポートフォリオは5:5なので、
取り崩すお金もトータル利回り6%の50%の3%に設定します。
![](https://assets.st-note.com/img/1693971905171-neft3PBOin.png?width=1200)
つまり、全資産4000万円×3%=120万円が生活費。
これを1年かけて使うことになります。(月10万円)
ここで問題ですが、この120万円はどこから取り崩せば良いのでしょうか。
![](https://assets.st-note.com/img/1693971538464-utLh4ODs75.png?width=1200)
まず、生活費を引き出した後の全資産は、4,000万円から120万円を引いた3,880万円ですよね。
ポートフォリオを5:5に保つのであれば、生活費引き出し後の3,880万円の内訳を、安全資産1,940万円、そしてリスク資産も1,940万円ずつにすれば良いということになります。
つまり、安全資産2000万円から60万円を取り崩して、リスク資産を60万円分解約すれば、合計で生活費120万円が確保できるんです。 このように毎年、資産をリバランスしながら、自分のお金を管理するのがポイント。
ちなみに、残った全資産は3,880万円ですが、トータル利回り年3%で計算すれば、一年後には、3,880万円の3%、つまり116万円がプラスされ、全資産は3,996万円に戻ると試算できます。
もちろん、これは仮定の話に過ぎませんが、このように取り崩しながらも増やして使っていく、というのが、この本で提唱するリバランスのすごいところなんです。
ところで、なぜ定額ではなく定率かと言うと、リスク資産はその年によって上がったり下がったりしますよね。定額で取り崩すと、利回り関係なくどんどん資産が減ります。
逆に定率の場合は、全資産額の変動に応じて毎年取り崩す金額も変わりますが、減る一方の定額取り崩しに比べて安心感があるんです。
それは大暴落時にこそ、威力を発揮します。
その例を、本書を参考に例題を考えました。
先ほどの例と同じくトータル利回りは先ほどと同じ6%で、取り崩し率も3%の定率とします。ポートフォリオも5:5です。
![](https://assets.st-note.com/img/1693972157969-6aKggxvHKW.png?width=1200)
ただ、株価の暴落で、リスク資産が20%下がったとします。
その結果、安全資産は2000万円ですが、リスク資産は2千万円の20%減で1600万円、つまり全資産は3,600万円になったとします。
まず、この年の取り崩し額は全資産3600万円×3%=108万円です。では、この取り崩しは安全資産からするのでしょうか、それともリスク資産から行うのでしょうか。
![](https://assets.st-note.com/img/1693972316378-Lj1aI7Z0V6.png?width=1200)
生活費引き出し後の全資産の合計は3,600万円から108万円を控除した3,492万円。 ポートフォリオ5:5なので、3,492万円の半分である1,746万円が安全資産、そして残りの半分の1746万円がリスク資産になれば良いんですよね。
![](https://assets.st-note.com/img/1693972545296-bMaI1TFDMM.png?width=1200)
取り崩す前の安全資産2,000万円を、リバランス後の1,746万円にするには、254万円を引き出すことになります。
逆にリスク資産は暴落によって1,600万円ですが、これをリバランス後の1,746万円にするには、146万円を追加で買い付ける、ということになります。
このように、大暴落時でも生活費を引き出しつつ、資産のリバランスを実施すれば、最小限の被害で済むんです。
ちなみに生活費引き出し後の全資産は3,492万円ですが、こちらもトータル利回り3%で計算すれば、一年後には3,492万円の3%104万円が加算されて3,596万円になると試算できます。
もちろん、リスク資産を解約すれば、税金が掛かりますし、インフレやデフレなど、物価も大きく影響します。
ただ、そうした要因も、このリバランスを淡々と行うことで、自分の資産を極力守ることができるんです。
幸せな老後は、今までできなかった趣味や家族に時間とお金を使うことではないでしょうか。とは言っても、バリバリ働いて稼いでいた人がいきなり、つつましく生活することは難しいと思います。
実際、ほとんどの方は、引退後も、引退直前の生活水準を維持しようとして、お金を減らす傾向があるようです。 だからこそ、自分のXデーを決めるんです。
そのXデーに向けてポートフォリオを作り直して、生活をよりシンプルにシフトしていく準備期間が、重要なことなのかもしれません。
来るべくXデーに向けて、どの程度資産を残しておくべきなのか、年金はいくらほどもらえるのか?不動産収入など、公的年金以外の収入はあるのか?それでも足りない生活費はいくらなのか?
そうした事を考えるきっかけをこの本から頂きました。
私はこの本で、老後が怖い!から、不安が見える化できたことで、楽しみに変わりました。 今回の動画ではこの本の魅力の一部しかお話できていません。投資をされている全ての方に、ぜひお読みいただきたい一冊です。
YOUTUBEも是非よろしくお願いします♡
![](https://assets.st-note.com/img/1693972524296-RAC5PVvy2g.png?width=1200)