町の生活を守る、働く人たち
『よるのあいだに… みんなをささえる はたらく人たち』発売!
秋も深まってきて、夜が長い時期になりましたね。そんな、秋の夜長にもぴったりの絵本『よるのあいだに… みんなをささえる はたらく人たち』が、本日発売です!
おはなしは、女の子が仕事に行くお母さんを見送るシーンからはじまります。空は夕焼け。女の子は寝る準備をしています。
女の子が言っているように、お母さんは、これからたいせつな仕事をするためにでかけます。
多くの人たちが休んでいる夜のあいだも、町には働いている人がたくさんいます。どんな人たちが、どのように夜の町で働いているのか、昼間の私たちの生活を支えてくれている人たちの仕事を、女の子の目線で紹介していきます。
翻訳は、大人気の読み物シリーズや絵本の翻訳を多数手がける、中井はるのさん。原書の雰囲気も大切に、いろんな仕事に興味を持つ女の子の言葉を、明るく楽しく訳してくださいました!
おはなしの最後にお母さんの仕事がわかるのですが、そのシーンは、わたくし編集担当Sのお気に入りのシーンです。お母さんの仕事がわかってから、もう一度最初から絵本を楽しむのも良いですよ。
「はたらく人たち」にインタビュー!
お母さんやお父さんからの、「仕事に関する絵本がほしい」というお声もあって、翻訳出版が決まった本作品。単純に、仕事を紹介していくだけでなく、仕事によってつながっていく町の人たちが描かれています。
今回は、実際に夜のあいだに仕事をする人たちがどのように働いているのか、仕事の内容や様子について、おはなしを伺いましょう!
消防士の たにさん
Q.どんな仕事ですか?
A. 火事や地震、台風などの災害からみんなを守るお仕事です。火事を消したり、逃げ遅れた人を助け出したり、けがや病気の人を病院に運びます。
Q. 仕事をするときに心がけていることはありますか?
A. 災害からひとりでも多くの命を救いたい。
Q. 夜に働いていて、いちばん大変だと思うことは何ですか?
A. みんなが寝ている夜に火事がおきれば、通報が遅れたことにより火事が大きく燃え広がったり、中に逃げ遅れた人がいることが多いです。水を出しながら燃えている家の中に入り、倒れている人を火から守りながら救出します。
Q. 心にのこっている出来事はありますか?
A. 自分が助けた人が「ありがとう」を言うために消防署に来てくれたこと。
Q. 町の人たちに、一言お願いします!
A. 災害はひとりひとりの心がまえで防ぐことができ、自分にできることを少しずつ出しあうことで人を助けることができます。
私たちの命や町のあんぜんを守るために、働いてくれている消防士さん。火事だけでなく、たくさんの危険から私たちを守ってくれているんですね。
大型スーパーで働く やまさん
Q. どんな仕事ですか?
A. 仕事は週に4回、午後3:30~10:00。お店の商品を倉庫から出して陳列したり、賞味期限のちかい商品を間違ってお客さんに売らないように確認して、早く売れるように値下げしたり、倉庫に下げたり。その日の目玉商品を目立つ場所に移動させたりしています。
Q. 仕事をするときに心がけていることはありますか?
A. 食品という皆さんの生活においてとても大切な商品を扱っているので、なによりも丁寧に業務を行うことを心がけています。また、たくさんのお客さんがいらっしゃる忙しい職場なのでテキパキうごくことも大切です。欠品している商品があるとお客さんに迷惑をかけてしまうので、早めの商品補充をすることや、金額変更した商品のポップの貼り間違えがないか確認すること、お客さんにスムーズにお買い物いただけるよう気をつけています。
Q. 夜に働いていて、いちばん大変だと思うことは何ですか?
A. 朝のパートさん達にむけて、夜のうちに商品の金額変更など、いろいろなことを終わらせて帰らないといけないのが大変です。
Q. 心にのこっている出来事はありますか?
A. 12月31日大晦日の日、午後11時ころに男性のお客さんが「おせち料理のセットはないですか?」と訪ねてこられました。お正月の前日、それも夜遅くということもあり商品が残っているか不安だったのですが、最後の1セットだけ残っていました。お客さんはとても喜んでおられて素敵な笑顔で「ありがとうございました!」と言ってくれました。その時とても温かい気持ちになったことを今でも覚えています。
Q. 町の人たちに、一言お願いします!
A. いつも暑い中、寒い中、お買い物に来ていただいて本当に感謝しています。
いつでも、新鮮なおいしいものが食べられるのは、店員さんたちが私たちにしっかり届くように準備してくれているからなんですね。
急病センターで働く おかださん
Q. どんな仕事ですか?
A. 急な発熱や体調をくずした人で、日中に病院に行けなかった方が診察にこられます。内科と小児科のみ。そのほかの病気(けが、目や耳、火傷など)の方はほかの病院へ紹介します。電話も多いので、ぐあいが悪い人やお子さんの対応の相談にのったり、病状によって他院への紹介もします。
Q. 仕事をするときに心がけていることはありますか?
A. 小さなお子様が多いので、診察で不安にならないよう、怖くないことを話して先生の診察がスムーズに行えるようにサポートしています。優しく、笑顔で声をかける(マスクでほとんど見えないけど)など、夜間(午後7:30~11:00)のみの診療なのでほとんどの方が1回しか会うことはありませんが、来て良かった、安心したと思っていただけるように言葉かけをしています。
Q. 夜に働いていて、いちばん大変だと思うことは何ですか?
A. 毎日、担当のお医者さんが変わるのでひとりひとりの診察の仕方が違います。その診察のスタイルにあわせてサポートするのが大変です。
Q. 心にのこっている出来事はありますか?
A. 3才くらいの男の子がひどい蕁麻疹でこられました。普段は飲み薬を出しますが、あまりにもひどかったので点滴することになりました。強い痒みと怖さでとても暴れて、先生と看護師3人がかりで点滴しました。点滴中も痒がるので、かかないように腕をおさえるのも大変でした。でも、だんだん点滴がきいてきて、点滴が終わったころにはケロリとして、「ママ」って笑顔で言ったときは、本当に良かったと思いました。
Q. 町の人たちに、一言お願いします!
A. 急な発熱や体調不良の時にどうしたらよいか、家での処置は何ができるかなど、普段からわかっていると心強いと思います。例えば、高熱のときはどこを冷やすか、解熱剤はどうしたらよいか、吐いたり下痢の時は水分はどうとったらいいかなど、特にお子さんのご両親は知っておいてほしいと思います。
夜、急につらくなったときに、頼れるお医者さんや看護師さんがいてくれるのは、すごく心強いですね。
さいごに…
インタビューにご協力いただいた、たにさん、やまさん、おかださん、本当にありがとうございました! 知ってるようで知らない世界…といった内容で、とても興味深いですね。
子どもたちにも、こうした身近な職業を通して、夜のあいだ、自分たちが見ていないところで働く人たちの仕事に、興味を持ってもらえたら嬉しいです。