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2024年11月26日 BOILERZ 岡山・実験音楽納屋

昨日は岡山 実験音楽納屋 Space for free improvisation
front act 赤田晃一(sax)&片山wakaba 貴志(per)
BOILERZ 高岡大祐(tuba) ワタンべ(ds)
ボイラーズのツアーラストでした。
ありがとうございました。

ライブがいろいろと凄かったのでそちらから。
ものすごい宿で今回の主催の赤田さんと合流して荷物積み替えて会場へ。
え、どこにあるの?というような細い旧山陽道の道沿いの農家然とした家の中にあるかなり大きな納屋を改造した場所に。
すげえ。

実験音楽納屋


まず驚いたのはアップライトピアノが二台あって、その一つがプリペアドピアノ専用になっていること!

プリペアド専用
通常用


それ用に金属のネジなんかはその場に用意されている。
店主の津下さんは即興に関する文章も書いておられるとのこと。
今年オープンしたばかり。

内観
準備中



つい数日前に決まったというフロントアクト(募集でした)には赤田さんとなんとte_riのドラムのワカバ君。マジ?
彼はボイラーズの元になったバンド・ボリショイズを観ているという偶然も。
なんでもかなり遠いところからこの雨の中を1時間以上かけてスクーターで楽器持ってきてくれたらしい。嬉しいです。

赤田ワカバ デュオ



最初は20分ほどの赤田ワカバデュオから。
赤田さんのサックスを聴くのはかなり久々だったが、最初の方に鳴らせていた音が以前とまた違うタイプのもので新鮮でした。
そして彼らしい「日本の伝統フリージャズ」的なサウンドも。
ワカバ君、キックはなくてカホンでキックを出していたのだけど、なんか小さくて変だな、と思ったら右足の踵で必死こいて叩いていた。そりゃ大変や。

続いて我らボイラーズ。
この日はアンプなど借りていたのでエレクトロニクスも用意していたが、最初は生で行こうと思い立ってそれで。

BOILERZ


この会場は非常に古い納屋で、むき出しの太くて長い梁が現代の家とは比べ物にならないくらいたくさん入っている。
自分たちのセットに対して平行に走っているので、そこを区切りにして天井付近では音がかなり寸断される。
ベルを傾けて客席に向けると音はスムーズに奥に飛ぶ。
こういうときは響きを聴いて、使いようだ。

広島と同じセットなのに、シンバルとタム大型深胴のスネア)を組み合わせたワタンべの打奏の音の音程が、半音ほど低い。
雨の湿気と部屋の反響故か?
広島ではその基音がF♯とB♮だったけど今日はFとB♭。
はっきり云って楽です。

しかし面白いのは、この楽器では鳴りの苦手な音ゆえにちょっと避けがちな音を中心に演奏すると、演奏のアイデアや発想が、全く違ったものになって、今までやったことがない演奏になったりするの、今回のツアーで実感していた。
なのでやりやすいと逆にやりにくい(どっちやねん)。
手慣れた動きは、慢心を呼びやすいし、未知の演奏に挑戦する即興においてもっとも大事なことを阻害するから。
KILL THE 手癖!

二部の高岡


休憩挟んで二部はマイクとアンプ、エフェクトも使用の心づもり。
でも頼るつもりはないので、ワタンべが静かに奏でるシンバルの響きをいかしたい。
笛奏法でかすかな音を出して、途中からエフェクトを薄くかけるけど、なんか思っていたよりも音量が出ない。
tuba吹いていると、視界の半分は楽器で見えないし、空いているのは利き手ではない左手なので、エフェクト操作はほぼ手探り。
後で気がついたんだけど、blooperの効きすぎるローパスフィルターが入りっぱなしになっていた・・・そりゃほとんど聴こえないわ。
なんだけどこれがいい感じで、何かよくわからないかすかなエフェクト音みたいなのが不思議な雰囲気でよかった、とワタンべ。

途中からエフェクトを普通に戻して自分の分身を作る。
tubaじゃなくて声だけ。グラニュラーっぽく不規則な再生にしたら勝手にピグミーみたいになった。これは楽しい。
ワタンべもたくさん歌う。
ドラムも歌う。
それならばtubaだけアンプリファイドしているのはなんか変な感じがするので、ループは回しておいてたまにツマミいじって壊して、入力をゼロにしてtubaも生音にした。
ワタンべが奏でる、数えられないけど何か周期を感じさせる脈動するビート、スイングとグルーヴ、僕が残したアブストラクトな声のループ、自分もその上で生声で歌い、tubaはそれらで鳴っている音程をスケールの基調にして演奏する。
ぐるぐるぐるぐる。

ワタンべ


ツアー最後の夜にこれか!たまらないな!
ライブを連日重ねると否が応でも終わり方に関して意識が向いてしまう。自分勝手に終わるのも相手に委ねるのも、違うと思う。
終わり方を考えないのが好きだ。
どうとでもなれ!どうせいつか終わる。
どうせいつか死ぬしどうせいつか力尽きるし、いつか全ては変わってゆく。
ならば、ライブぐらい、演奏ぐらい、どうなっても良いと思うがままにやっていいんじゃないか。
せっかく、こんなに長く続けられて、今が最高なのだから!

全く思いもしなかったような、急になにか動きが止まって、影だけが停止を気が付かずに数歩前に歩いて消えた、みたいな終わり方、だったと思う。

これにてボイラーズ四国中国ツアーの演奏は終了。
ものすごくたくさんのはじめまして、長い時間を経た再会、驚きと笑いと熱を持った旅の終わり。
自分の思いつきでつけた名前だけど、BOILERZ、いい名前にしたと思う。静かに熱く沸騰する。

ものすごく手応えと充実感のある旅だった。

控えめにとっても凄く毎日充実の演奏だった。
自分はともかくワタンベの昇華具合たるや。
まるで他の部屋にいるみたいに全く異なるグルーブ、伸縮する長いフレーズを奏でながら圧倒的に高岡の音を「聴いている」というのを感じさせる演奏力。
なぜできるようになったかの秘密は道中の話で知った。

行く先先の人達はほぼ全く私達が何者かも知らないままライブが続いていた。
それが良かったか悪かったかは、毎晩の終わった後の長く大きな歓声、またやろうと熱くなる主催と店主達、全ての会場で想像以上に売れたCDに反映されていました。
空間とそこにいた人達がボイラーズを作りました。
感謝しています。

特にワタンベに。

さて、関西ではことあるごとに彼とは演奏するのですが、次はどんな旅をしようかなあ。観たい聴きたいって人、いたら声かけてください。

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