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Eric Thielemans イガキアキコ 高岡大祐 @四貫島PORT

四貫島PORTにて
Eric Thielemans(drums)イガキアキコ(vln)高岡大祐(tuba)
今回のエリック関西ツアーラストでした。
ありがとうございました。

先日共演した米子さんが営むナイスな会場PORT。
近隣からクエストラブモデルのドラムセットを借りてきてもらって、イガキは生とPA使用、高岡は生。
前日のspace eauuuと似た場所に梁があるのでこの日もセットに変化はあるかと思ったらエリックは入ってくるなりすぐに手を叩いて反響を調べて
「この部屋は一つだ、問題ない」と。
よく見るとステージ上の梁は鉄骨で、天井との間にわずかな隙間がある。ここを音が抜けるので!ディストーションを引き起こす反響がないのだと思われる。


大体そうなんだけど、1段上がったところは誰も上がりたがらないですね。
トイレ近いところに横向きにエリック、すぐ隣ピアノ前に高岡、そしてまたすぐ隣にイガキ。
前日はお互いにかなり距離があったけど今日は近い。
このほうが自分はやりやすい。

エリックに考えてもらったプログラムを元に
一部はイガキとエリックのデュオから。
二人共微かな摩擦音のような密やかな音から始まる。2人のスピード感の咬みがとても良い。触ったら即音が出る楽器使いがこういう時は少し羨ましくなる。

次は高岡ソロ。
実は希望したのではなくて、やらないか?という提案に乗ったもの。嫌なわけではないけど、凄くやりたかったわけでもなくて、どうしようかなと。
なんにせよやる前には何も考えていないのです。
なんか今はリズムじゃないな、って感じがして、様々なモジュレーションを人力でコントロールする流れになった。
自分で音を出して音同士が干渉しあってコントロール出来たり出来なかったりするのを連続。
途中、声だけになって、ますますそれをやり、声にたまにtubaの音を混ぜる。
エフェクターも変調するものも使わず、肉体だけで音をダイナミックに変化させるのはなかなか大変だが、やりがいがある。
一部最後は3人で。距離の近さが親密さを支え、声高になる必要がなくて自然に演奏できる。


休憩挟んで2部はエリックソロから。
何をやってくれるのか期待が嫌でも高まる。
小さなものをさするところから、小さな波がどんどん大きくなるように広がってくる。
あの例の、音が手から離れていかない感じの、不思議なサウンド。キックの音は何故か音程が消える前にドロップし、ある叩き方で指先を使った時だけタムの音が一つロングトーンになる。不思議だ。
静かにして圧巻の演奏。

次は高岡とデュオ。
これも色々あったのだけど、演奏のラストに何故か近所の猫達が鳴き始めて2人ともそれで終わったのが印象強かった。

次はイガキと僕がデュオだったんだけど僕かボケてて立ち去ろうとし「どこ行くんですか」と弄られる。
2人とも遊ぶように声から、イガキがtubaのベルに顔突っ込んで歌う。何しとんねん。
そこからエリックが入ってきて再び3人でになった。
ここからも色々あったが、最後の場面の、全員が可能な限りの小さなソフトな音で、歌うように(実際に歌いもし)奏でていた長い時間が、何よりも素晴らしく感じた。
自分も、出せる限界まで音を絞り、かつ、最も綺麗に音が出せる限界の状態で演奏するのは、緊張感とともに至福の感覚でした。
関西ツアーを終えるに相応しい終わり方だったように思えた。


観に来ていたワタンベ、思い切って名盤a snare is bellと著作をまとめ買い。幸せそうやなあ。
2回目観に来てくれたミノリも楽しそうだ。
聴く人をハッピーにする何かがエリックの音楽にはある。
物凄いものを観た、という実感も強い。

個人的にはこの日は、自分のソロが考えさせられた。
前日のライブで自分は何が出来ていたのか出来なかったのか。
ある意味では、エリックから連日受けていた強い影響下にあったことを自覚し、そこから逃れるのでもなく、自分を押し通すのでもなく、その場にある響きを聴くことで、何をやりたいというよりも「今何をやるべきなのか」ということに、立ち戻れたのかもしれない。勉強になる。
さて、これにて東へ向かって旅ラストの豊橋へ!
これにて関西の日々は終了。

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