2024/10/26 Eric Thielemans 高岡大祐 ワタンべ @元町space eauuu
昨夜は元町space eauuuにて
Eric Thielemans(drums)高岡大祐(tuba)ワタンベ(drums)でした。
ありがとうございました。
この日はいろんなことがありました。大きな収穫。
最近ドラムがほぼ揃ったspace eauuu、ワタンベに足りない少しも持ってきてもらって2台のセットをやっておく。
少し後に来たエリックと一緒に音出しを。
開場時間ギリギリになって、エリックから提案が出た。
今の場所だと、音が広がらずに濁る(ディストート)ので、変えたい。
その原因は、天井に一本ある細く低い梁。
ステージに値するスペースの最前あたりの天井にある。
これで音がストップして、ぶつかる。
梁は一本なので普段の客席に値するスペースが広いルームとして音響が存在している。移動するならこちらだ。
今度は角に配置して三角形になり、聴衆を取り囲むような形になった。音の粒立ち、解放感がアップ。これで決まり。
この日はエリックのソロ、BOILERZ(ダイスケ・ワタンベ)、ドラム二人、三人での4セット。
エリックのソロ、ワタンべのスネアを借りてある位置に移動して、まさかのa snare is bell!
10数年前、自分の音楽の根本を揺るがした彼のソロアルバム。天井高い教会内でスネアのロールのみの演奏、片面のみの作品。
彼のロールによる魔術的な倍音コントロール演奏自体を、この名前で呼ぶことがある。
奏でる前に構えている時点で、窓の外から流れ込む街の喧騒が、ある時から演奏に変わるようなところから始まる。
おそろしく丁寧で絹のようにしなやかなロールから、ほどなく倍音が一つずつ紡ぎ出されて、まるで人の声のように立ち上り、ししかもそれが多声化する。知っていて、何度も聴いていても、信じられないような演奏。
エリック自身も聴こえるか聴こえないかくらいのごく静かな声を漏らすのだけど、明らかに彼の声ではない声が、たくさん聴こえる。それが、例えようもなく美しい。
聴いていると、ちょっとおかしくなってきそう。
最後のシーンで、静止しているとしか見えないスティックの先がスネアの皮に触れると、静かな素晴らしい音を響かせる。どうなっているんだ?
非常に集中した繊細で雄大な表現なんだけど、息苦しいクローズドなものではない、窓から入ってくる様々な音を排除せず受け入れてともにあるようにまで聴かせてしまう、本当に魔法のような音楽。
つづいてワタンべと僕のデュオ。ワタンべからも緊張を感じる。自分も音の選びに対して神経が尖る。ここは隙間を作るよりもシーツを広げたほうが良さそうに感じた。tubaでもドラムでも役割にとらわれない演奏を。
そしてエリックとワタンべのデュオ。
ささやかでひそやかなコミュニケーションから、まるで何かを練り上げるように、うねりが生まれる。最初座って聴いてたけどとてもじゃないけど無理で、立ち上がる。これはたまらない。
ワタンべがすごくいい!引き出されているなあ。もうエリック凄いのはわかりきっているのだけど、キリがない。
休憩を挟んで全員で。
場所を変えたことによって、響きが解放されたのを感じる。
それだけに、自分は音を選択することに、若干迷いが生まれたと思う。ドラムの二人があまりに良いために、僅かな焦りが生まれたのだろう。それにしても二人が素晴らしい。
この時間だけ、自分は他よりも音の記憶が薄い。
なんにせよ、素晴らしいサウンドの時間だった。
聴衆の興奮が会場に残る。
観に来てくれた信記が、フラフラになっている。
あまりのエネルギーに、それもよくわかる。
素晴らしいライブだったと思う。
それだけに自分への課題や反省もハッキリしてくる。
自分の場合、演奏は、お客さんに対する単純なパフォーマンスではなく、共演者へ、音楽そのものに対して行うことで、
やったやったよかったよかった
では済まないものでもあります。
共演者やスタッフなど皆さんに対するケアは十分だったか。
そういうことも含めて、ライブをやっていきます。
まだまだこれから。
今日はいよいよ関西ラスト。
四貫島PORT にてイガキアキコを迎えて。
エリックの音楽の魔法、是非体験してほしいです。
http://www.bloc.jp/daysuke/