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雪の町

新年早々やってきた、銀世界。
北海道に移住してから、私は雪を見慣れたつもりで、やはり上には上があると、思い知らされた。
ここは日本一雪積もってる場所、倶知安町。

カーテン開けたら青い海もなければ、緑ももちろんない。
外出れば、雪原を歩くような錯覚をし、真っ白な雪は目が痛くなるほど眩しかった。
太陽はお茶目で、姿を隠し人を雪道の中に彷徨わされる日もあれば、いきなりこの世界を眩く輝かせる時もある。

パウダー雪を憧れてここへやってきた人たちのほとんどは外国人で、欧米のスキー客が多く見受けられる。雪景色も相俟って、日本にいるのに、海外にいるような気分だ。
ボードを持つ道行く人たちがスイスを連想させ、チーズフォンデュを食べたくなってしまった。

倶知安町へ来て、初めて雪夜の美しさに感動した。
職場は照明にこだわった綺麗な中庭があり、空から舞い降りた雪がほんのりと光り輝き、とても幻想的で、連日見続けてもやはり、見惚れてしまう。
常に雪降っていて、雪鑑賞が当たり前となった、そんなある日の出来事だ。
初めて雲ひとつない青空が広がり、蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山の全貌を拝めることができた。
職場の人に、グランドピアノで逆さ富士を撮るコツを教えてもらった。
湖がなくとも、そんなに綺麗なワンショットを撮ることができるんだと、感心した。
澄み渡った空とよく映える羊蹄山だが、私は黄昏時がお気に入りだった。
仄暗い空の下、壮大な山から更なる霊気を感じ、神秘的な空気を醸し出す。
逢魔時と呼ばれるこの時間帯だからこそなのだろうか。
夜になり、雪がひらひらと舞い降りたが、まばらでも夜空に輝く星々が見えていて、不思議な光景となった。

お正月に倶知安町を訪れたのは完全に予想外だったが、ここで得たこともたくさんあった。
唐突な出来事でも、ここに来て良かったと、心底思えるようになった。
2025年、早速大切な経験をしてきた。
この旅は、素敵な繋がりをたくさんくれたきっかけでもある。
全て今年を動かす歯車のパーツの一部にして、
今年も幸せになると決めた。

雪の町、またいつか会おう。
次会う時の私は、きっといまよりいい存在に変われたと信じたい。
信じよう。

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