最高のプロダクトチームのつくり方
こんにちは。ブルーモ証券代表の中村です。
弊社は米国株資産運用アプリを提供するスタートアップで、今年6月で創業2周年を迎え、現在3期目です。
この2年間でプロダクトチームがだいぶ成長して、手前味噌ですがかなり良いチームができたと思っています。
「前職が財務省・マッキンゼー」という、テックとは程遠いバックグラウンドの創業者が、どうやってモダンなプロダクトチームを組成していったか、具体的なTipsとともに紹介できればと思います。
同じようにプロダクトチームづくりで苦戦しているアーリーステージのスタートアップ創業者や、未来の仲間に届くと良いなと思って書いています。
ブルーモのプロダクトチーム解説
2024年8月時点でのチーム構成
2024年8月時点で、ブルーモのフルタイム役職員(取締役・社員)は全体15名です。そのうち、プロダクトに関係するチームは11名となっています。
プロダクトチーム以外のメンバーは、金融オペレーション・コンプライアンス・コーポレートですが、4名程度でリーンに運営しています。
プロダクトチームの構成は以下になります。
PM(兼務):2名
デザイナー:1名
エンジニア:8名(モバイル2名、Railsバックエンド3名、Goバックエンド2名、インフラ1名)
PMはアプリ機能部分をCEOの中村が、バックエンドシステム部分を事業部門ヘッドの吉岡が担当しています。それぞれ別の業務と並行してやっているので、全体の工数感的にはフルタイム1名分が割り当てられているようなイメージです。
CTOの小林も現状ではバックエンド開発の1チームのテックリードを兼務しており、全員が手を動かしている状態です。
組織全体で見てもエンジニア比率が50%を超えており、デジタルプロダクトを作るスタートアップの初期構成としては良い数字だと思っています。
採用チャネルの分解
創業前からいた中村・吉岡・小林を除く8名のプロダクトチーム採用経路は以下になります。
リファーラル:1名
オーガニック応募:3名
採用媒体でのスカウト:4名
オーガニック応募自体は一定のボリュームあったのですが、社員採用だけでなくインターン・業務委託を含めて、大体の採用通過率は10%くらいです。
会社としてはより質の高いメンバーを一定数揃えるため、媒体も積極的に活用しました。
会社全体で採用実績のあった媒体:LinkedIn、BizReach、転職ドラフト、YouTrust、AtCoderJobs
良いチームをつくるために実践したこと
弊社で良いプロダクトチームをつくるために気をつけたことを、採用ファネルに沿って「基盤→採用計画→認知→応募→アトラクト→選考」というフレームでTips的に紹介したいと思います。
基盤:どんなカルチャーを作りたいか明確にして、その通りに行動する
会社とはカルチャーであり、長期的にはそこに合った人しか採用できないと思っています。
ブルーモは創業時に自分たちを「プロダクトドリブンなB2Cサービスを提供する組織」として定義しました。プロダクトが競争力の源泉で、営業組織に依存しないのが特徴なので、エンジニア・デザイナーの働きやすいカルチャーを作ることを目指しました。
明文化された行動規範(Values)としては、「顧客体験への執着」「自由と責任」「みんなでつくる」の3つを設定し、それに沿うように創業から2年間行動してきました。
社内の取り組みは割愛しますが、Valuesに対応するように「モノづくりが好きな人」「仕事への責任感の強い人」「柔らかい人」を採用することでカルチャーを強化しており、逆にBrilliant Jerk(優秀だけど嫌な奴)の採用は避けてきました。
こうしてコツコツとカルチャーを作って1年半くらいすると、そこに惹かれて入社してくれる人も出てきました。最近入社いただいたメンバーは、少しブルーモで働いてみて、雰囲気にアトラクトされて入社を決めてくれています(関連入社エントリ)。採用活動もPLG化しているかも知れません。
採用計画:社員採用は慎重にしつつ、業務委託・副業を積極活用する
ブルーモは2023年10月から2024年5月まで、半年以上も社員採用がありませんでした。2023年4月に8億円の資金調達をしてスピードアップしているスタートアップとしては異常な動きでした。
これは採用を止めていたわけではなく(人は全然足りませんでした)、ガンガンスカウトも打っていたのですが、チームにフィットした人が見つかりませんでした。
スタンフォード大学時代の成長企業経営の授業でも、AプレイヤーはAプレイヤーを連れてくるが、BプレイヤーはCプレイヤーを連れてきて、組織崩壊を起こすと言われていたので、採用する人材にはとことんこだわっていました。
一方、社員採用できる(お互いのWillがマッチしている)人が見つからない間の工数補助としては、副業や業務委託の方を積極的に活用しました。
1人分の工数が生じないポジションがあったり、社員メンバーのチームに与える影響の大きい創業期スタートアップでは、こうしたパートタイムメンバーの活用をお勧めします。
認知:採用ギャップの深刻度に応じて媒体のアクセルを踏む
冒頭お示しした通り、弊社はシード期のスタートアップとしてはかなり色々な採用媒体と契約してスカウト運用もやってきました。
一般にアーリーなスタートアップの採用はリファーラルが効果的で、媒体経由での採用はアンチパターンとされていると思います。
弊社の場合、みんな友達がいない初期メンバーの元からの繋がりに採用候補者になるような人が少なかった(マッキンゼーで何年働いてもエンジニアの同僚はほぼできません)ので、エンジニアの母集団形成に苦労しました(いまもしています)。
スタートアップとして認知が弱いのは仕方なく、弊社が求めるクオリティの人材を採用するのに必要な接触数がオーガニック・リファーラルでは足りないと判断したため、効果がありそうな媒体は一通り入れることにしました。
事業計画に対して採用がボトルネックになっている場合、一般的なアンチパターンは無視して、資金投下してやれることは全てやるべきだと思います。
結果、弊社はシード期のスタートアップにも関わらず、プロダクトチームの半数をスカウトで採用しています。
逆に事業計画に対して「良い人がいれば」くらいの採用ニーズになってきたら、媒体の契約は取捨選択して、一旦終了しているものもあります。
応募:ストック型の採用広報に投資する
基盤となる会社のカルチャーがある前提ですが、会社の内部の話はカルチャーデックと採用広報記事を通じて積極的に発信してきました。
特にカルチャーデックは創業半年時点には最初のバージョンを出し、創業1年時点の2023年6月に大幅リニューアルしたかなり充実した内容のものをリリースしています。
採用広報記事では、プロダクト組織の働き方を記事(デザインシステムをつくっているところなど)が特に外部からも関心を持っていただき、好評でした。
会社全体の広報も同じなのですが、こうした外部発信は採用ファネルの下部で継続的に効き続けるので、ストックとして複利で効果を発揮します。
採用経路にオーガニックが結構多いのも、採用広報への投資で興味関心層の応募までのコンバージョンを上げられていることが要因だと考えています。
アトラクト:ミニマムな人事制度は早期に整備する
アーリーなスタートアップにとって、整った人事制度を適切に運用するのは困難です。また、人事制度は中途半端に運用すると不公平感を生むことになり、結果的に組織崩壊を招きます。
こうした観点から、ミドル〜レイターになるまで人事制度は整備しないのが一般的だと思っています。
しかし、弊社は早期(創業1年時・2023年6月)には、最低限の等級制度と人事面談サイクルを整備しました。
「整った人事制度を適切に運用するのは困難」は、あくまで経営側の都合であり、メンバーにとってはある程度あった方が良いのは間違いないです。採用においても組織に安心感を持ってもらうため、早期に最低限の等級制度は整備しました。
まだ評価・報酬制度は整備できていませんが、等級制度があるだけでも、採用時の期待値や定期的なFB時の基準としてコミュニケーションがしやすいですし、待遇についても不公平感を生まないので良いと考えています。
選考:アウトプットを必ず見る
弊社は選考プロセスで、必ず副業・業務委託期間を挟むか、少なくともワークサンプルをアウトプットとして出してもらっています。
どんなに過去の経験が良い方でも、実際に働いてみると違ったということはあり得ますし、面接で口下手な方でも一緒に働くとパフォーマンスが良いケースもあるので、必ず擬似的に一緒に働いてから採用を決めてきました。
デメリットとしては、特にエンジニアは選考のプロセスで必ずコーディング問題を解いてもらい、そのレビュー面談を挟んでいることもあり、その時点で離脱する方も多いです。
通過率を上げるために工夫できるかも知れないのですが、我々のようなアーリーのスタートアップは色々大変なので、入社時点で高いモチベーションがないと続かないです。モチベーションのスクリーニングも含めて、アーリーではアウトプットを必ず見る選考はフィットしていると思います。
プロダクトチームのメンバーから見たブルーモ
最後に、ブルーモのプロダクトチームメンバーの記事をいくつかご紹介するので、良ければ読んでみてください。
また、ブルーモは良いプロダクトチームができてきたとはいえ、開発しているものがチャレンジングなため、現時点でもエンジニアが全く足りていないです。We're hiringなので、是非興味ある方はご応募ください。