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2021年8月16日のTOKYO854の放送内容です|Blooming Days -日々是好日-|倉嶋桃子

みなさん、こんにちは。倉嶋桃子です。

先週の放送で夏休みの話題を番組で取り上げましたが、そのお話の時に思い出した景色があります。
それは、小学6年生までは、ほぼ毎年海水浴へ行っていた象潟町(現秋田県にかほ市)へ、家族と車で向かう際に、街道沿いに立ち並んでいた「ねむの木(ネムノキ)」。

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ふわふわとしたピンク色の綿毛のようなお花がとても綺麗で可愛らしく、この「ねむの木(ネムノキ)」が見えてくると、そろそろ目的地に近づいているという目印になっていました。

象潟という町は、俳諧師「松尾芭蕉」が訪れたことでも有名な地で、芭蕉が訪れた当時の象潟は、波が穏やかな入り江に百数十の島々が浮かび、宮城県の松島と並ぶ景勝地だったということで、その美しさを中国の四大美女の一人と言われている「西施(せいし)」になぞらえ、「象潟や雨に西施がねぶの花(ねむの花)」と詠んだことでも有名な所です。

この「ねむの木(ネムノキ)」は、別名「ネム」「ネブ」とも言われており、東北から東南アジアまでの暖帯から亜熱帯に分布するマメ科ネムノキ属の落葉高木。
開花時期は夏で、日当たりの良い場所を好み、河原や山裾、公園や神社、人家の庭先などでもよく見られます。なお、秋田や山形では、古くからクロマツ、アキグミなどとともに海岸砂防林として使われていたそうです。

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和名の「ねむの木(ネムノキ)」の名前の由来は、鳥の羽に似た形状の羽状複葉(うじょうふくよう)という葉が、夜になると眠るように閉じることから名付けられたと言われ、漢字名の「合歓木(ごうかんぼく)」の名は、中国において「ねむの木(ネムノキ)」が葉を閉じる様子を、夫婦の共寝する姿に似ていて夫婦円満の象徴とされていることから名付けられたそうです。
また、かつて秋田ではお盆が近づくと、家々でこの「ねむの木(ネムノキ)」の葉を乾燥させ、臼でついて「抹香(マッコウ)」という粉末状の香を作ったことから、「マッコノキ」とも呼ばれているとか。

夜になると葉を閉じる「ねむの木(ネムノキ)」ですが、植物が眠るような動きをすることを「睡眠運動」と言い、この運動は、「ねむの木(ネムノキ)」以外にも、ダイズやオジギソウ、ニセアカシア、アメリカネムノキ、といったマメ科の植物のほとんどに見られる現象です。

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光合成をする植物は、光を感じるときには起きていて、暗くなれば眠ると思われがちですが、1729年フランスの科学者ド・メランは、光が入らない部屋に「ねむの木(ネムノキ)」と同じマメ科のオジギソウを入れて様子を観察してみると、ほぼ24時間周期で葉を開いたり閉じたりすることを確認したそうです。
この現象は、人間が光を遮断した環境でも睡眠や覚醒、その他の生理現象を繰り返すように、生物も同じように変化するということで、「生物時計」「体内時計」と呼ばれています。

マメ科の植物が「眠る」という現象について研究している、東北大学大学院 理学研究科化学専攻教授教授 上田 実先生によると、

「典型的な睡眠はヒトをはじめとするほ乳類や鳥類に見られるだけで、動物の全てが眠るわけではありません。それなのになぜ植物のマメ科が「眠る」のでしょう。動物の睡眠では脳を休めたり記憶を整理したり、成長ホルモンで体をメンテナンスしていることが分かっています。ではマメ科植物にとっては、どんな意味があるのでしょう。」

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この謎について、マメ科の植物の観察や成分分析、分子の組成などを調べたところ、植物を眠らせる物質や起こす物質は、植物の「睡眠運動」によってバランスコントロールされていていることが解明され、マメ科の植物を眠らせない実験をすると枯れてしまうという結果になったそうです。

つまり、「ねむの木(ネムノキ)」においても、植物の生命維持に必要な「睡眠運動」が同じように行われているということになります。

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他にも、「ねむの木(ネムノキ)」が葉を閉じる理由として、夜だけでなく、気温が高い日の昼間も閉じていることもありますが、これは乾燥を避けたり、直射日光を避けるためだと考えられていたり、夜間に強い月の光を浴びると、「ねむの木(ネムノキ)」の体内時計が崩れてしまうため、葉を閉じて月の光を浴びにくくしているとという話もあるようです。

通勤途中にも「ねむの木(ネムノキ)」を見かけることがありますが、花を見るたびに、今後も象潟で過ごした夏休みのことを思い出させてくれることでしょう。

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さて、今回は、今から14年前のこの日、埼玉県熊谷市・岐阜県多治見市で最高気温40.9℃を観測し、74年ぶりに日本最高記録を更新したということで、「気温と人々との暮らしへのかかわり」をテーマにお送りいたしました。

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番組では、ポッドキャストによる配信をおこなっています。
従来のPodcastは、著作権の問題で音楽を除外したトークのみのものでしたが、クラウド音楽サービスを利用することによって、ラジオ放送と同じ構成で、トーク・番組内でかけた音楽、両方をお聞きいただくことが出来ます。

番組では皆様からのメッセージをお待ちしております。「試してみたよ」「作ってみたよ」といった番組で取り上げた内容のご感想、皆さんが感じる幸せのひとときなど、ぜひお聞かせくださいませ。

それから、番組の構成上、時間の都合でリクエスト曲にはお応えできない場合がございます。ご容赦くださいませ。

今週も皆様にとって素敵な1週間になりますように。

倉嶋桃子でした。

<参考資料>

ネムノキ – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/0c5o

ねむの木(ネムノキ、合歓木)の育て方 | LOVEGREEN(ラブグリーン)
https://blooming-days.njs.xyz/j7so

樹木シリーズ79 ネムノキ | あきた森づくり活動サポートセンター
https://blooming-days.njs.xyz/95ac

抹香 – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/lyzx

植物の眠りを分子で解く
http://manabinome.com/archives/3109

合歓(ねむ) – 万葉の生きものたち
https://blooming-days.njs.xyz/8so4

8月ネムノキ – 木智塾 ~木の知識を深める~
https://blooming-days.njs.xyz/12c9

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