わたしのプライド
わたしは今、『ザ・シェフ』という漫画がものすごく読みたい。全巻所有していたが以前に売ってしまった。
でもそんな事よりわたしは今、PRIDEにおいて今井美樹さんが見上げて誓ったという『南の一つ星』の正体解明に心血を注ぎたくなっている。
そしてわたしは今、南の一つ星が『みなみの魚座α星フォーマルハウト』という一等星を指すらしい事を知った。
アキボシ、フナボシ、ヒトツボッサンとも呼ばれるこの星は、地球から25光年の位置にあり、天文学的には比較的近くにある恒星らしい。
と言う事は、今井美樹さんは隣町に住む親戚の伯父さんに電話で「どんな時も微笑みを絶やさずに歩いていこうと思うの」と誓ったというイメージで相違ないだろう。
伯父さんにしてみれば何のこっちゃ分からん主張だったに違いないが、かわいい姪っ子からの電話なので「美樹の好きにすればええ」くらいの事は言ったのではないだろうか。
そしてわたしは今、ふと若かりし頃の合コンでの出来事を思い出す。「今井美樹さんといえば何色のイメージ?」 と聞かれて何となく「青」と答えたら「え、青じゃなくて白じゃない?」と女子たちから総スカンを食らった。
「うるせえなバカ。別にお前らに嫌われたって痛くもかゆくもねえんだよ。つーか逆にお前らと同じ感性を持っていなかった自分を褒めてやりてえ。あと今井美樹さんが白ならお前らはドドメ色だからなクソババアどもが」と言ってやりたかったが、実際に出てきた言葉は「あーへっ」だった。
とても悔しかったので、その後で鍋が出された時に女子たちから「やっぱ鍋にはポン酢だよねー」と話しかけられたけど「イヤオルァポンズダイッキルェダカルァ」と巻き舌で返した。
そしてそのあと二次会で行ったカラオケで女子の一人が歌ったアン・ルイスの『あゝ無情』にも、一切の合いの手を入れないという掟破りの無慈悲な攻撃もお見舞いした。
近世史上稀にみる最低最悪な雰囲気の合コンとなり、ウフフな状況になった時に備えていつもより3枚ほど多く忍ばせていた諭吉が活躍する事はついになかった。
でも後悔はしていない。女の子に好印象を持たれるために自分を偽る事などしない。それがわたしのPRIDEだ。