インスタントコーヒーが良いものに変わったら

 昔の原田知世さんの映画『彼女が水木にきがえたら』みたいなタイトルになってしまったけど、そういうこと。インスタントコーヒーを少しだけ良い物に変えてみたという話。オーよく見たら水着が水木になっている。イヤだ。彼女よ水木に着替えるな。

 食事の後のコーヒーを淹れるのはわたしの役目。役目といってもルールだからじゃない。奥さんがコーヒー好きだから。好きな人の好きな事をしてあげたいというわたしの愛の才能のなせるわざ。今も勉強中よSOUL。

 愛とは何か? 知らない。知りたくもない。それを知る事に何の意味が? 愛の何たるかを語れなくてもわたしは奥さんを愛している自信がある。言葉にする事が全てじゃない。

 ただ難しいのは、自分がそう思っていても相手には一切その愛が届いていない恐れがあること。だから言葉や態度での分かりやすい愛情表現が必要。その分かりやすい愛情表現が奥さんにコーヒーを淹れることだったりする。なんか打算的かなわたし。

 インスタントコーヒーはすごい発明。簡単だしそこそこ美味しい。もはやわたしにとってコーヒー=インスタントコーヒー。だからたまに手間をかけてドリップコーヒーを淹れてみても、香りはともかく味は分からん。

 『ネスカフェ プレジデント』という小さい瓶に入って1,000円くらいするインスタントコーヒーを買ってみた。今までのコーヒーは何かでっかい瓶に入った茶色い粉で、お湯を注ぐと泥みてえになる汁だった。すごく安い。

 うーむうまい。プレジデントうまい気がする。気分はまさに大統領。アメリカの。執務室で飲む至高の一杯。このコーヒーを飲み終えたらアイツらを呼ぼう。スペースシャトルに乗って地球に迫っている小惑星を内側から核で爆破して人類を滅亡から救ってもらおう。

 人類を救うって。この地球上には人類以外の生命がいないとでも思っているのか? そういうところに人間の思い上がりが見え隠れして気分が悪い。でもわたしだってきっとそんな時に近所の猫畜生がどうなろうと関係ないから傲慢な人類の一翼をしっかりと担っていたようで残念至極。

 プレジデントすぐなくなる。奥さんとわたしに加えて最近は高校生の娘も調子ブッこいてコーヒーを嗜んだりするものだから減りが早い。買って一週間もしない内にもう半分なくなった。どうしよう。ココロは豊かになるけどフトコロが途方もなく寒い。

 あゝ。ココロがフトコロならいいのに。


いいなと思ったら応援しよう!