わたしの料理の教科書
先日、自宅で五目豆を煮た。味見をして美味しく出来上がっていることを確認し、ふと、「感慨深いなあ……」と思った。何故なら、料理を始めた頃の自分からすれば、煮豆を作る自分なぞ想像できなかったからだ。あの頃の私が知ったら、泣いて喜ぶだろう(いや、未来の私の目頭が熱くなったのだから、泣いてもらわないと困る)。五目豆は、私にとって成長の証なのだ。
子供の頃から食べることが好きで、料理上手に囲まれて育ってきた。だからなのか、彼らの邪魔をすることなく、喜んで食べる専門で、料理本は集めていたけれど、写真を眺めて満足するだけだった。そんな私が自炊を始めた時、「知っていると出来るの差はこんなに大きいのか」ということを痛いほど思い知らされた。それからというもの、それまで以上に目の前に出された料理を有難くいただくようになった。
毎日のように手を切ったり、火傷をしたりと傷を負いつつも、料理をすることを諦めなかったのは、美味しいご飯が食べたかったから。美味しいだけなら買ってくることもできるけれど、薄味で育った私にとって、外食は味が濃すぎてのどがカラカラになってしまうことも多いのだ。何より、美味しいご飯を自分で作れたら素敵だと思っていたからだ。料理には人を幸せにする力があると思うのだ。その力は、自分の手に入れたいから。現時点で美味しいかはわからないけれど……
少しだけ肩の力を抜いて料理が出来るようになった今、時々、新しいメニューに挑戦している。私の挑戦を支えてくれる教科書がこちら。
老舗の料理教室のレシピ集である。眺めているだけでも楽しいし、丁寧な説明で、ちょっとしたコツも書かれているので、躓きにくい。さすが料理教室の本だなと感じている。
和食に特化したレシピ集なら、こちらもおすすめである。こちらも基本から書かれていてわかりやすい。出汁を使って作った味噌汁を飲んだ時、今まで私が作ってきた味噌汁って何だったんだろう?とショックを受けた覚えがある。基本が大事!と思い知らされた。
料理が得意ではないからこそ、私には、書いてある通りに作れば安心な教科書のようなレシピ本が必要なのである。でも……いつかは本を見なくても作れるようになれたらいいなと思っている。その方がなんか格好いいもの。
文:彩音
編集:真央
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