昼休みを一人で過ごしていた彼に教えてもらったこと
今回のテーマは、「♯昼休みの過ごし方」である。
ここ数年、月の約8割はテレワーク生活を送っている。出勤時はお弁当を購入するため、食後に時間があるが、在宅時は100%自炊するので、準備→食べる→後片付けでほぼ時間切れとなる。余った時間は切り替えるための時間として軽く仮眠をとったり、本を読んだりと静かに過ごしている。これが私の昼休みの過ごし方である。以上!
……ここから膨らませることができないため、子供の頃を思い出してみた。
小~中学生の頃は、給食を食べ終わり次第、校庭へ飛び出し、場所を確保して、クラスメイトやそこら辺にいる子たちと一緒にドッジボールやバレーボールといった球技を楽しんでいた。食後の休みは大切なはずなのだが、子供はそんなのお構いなしだ。時にわき腹を抑えながらボールと戯れるのが日課だった。楽しかったなあ……
けれど、中学生の頃、少し体調を崩してしまい、元気に飛び回ることが出来なくなった時期があった。それから暫く、外へ遊びに行くクラスメイトを横に見て、教室で静かに過ごすようになった。ぽつんと一人で過ごすのは寂しくて、外遊びが出来るみんなが羨ましかった。
これまでと違う昼休みを過ごし始めて少し経った頃、教室前方にあった担任の席で、いつも一人で昼休みを過ごしているクラスメイトがいることに気が付いた。その子をA君と呼ぼう。A君はいつも担任の席に座り、本を読んだり机に置いてある教材を使って一人で遊んでいた。この光景は私にとって新鮮だった。
何故なら、当時の私は、休み時間や教室移動、御手洗い(これ不思議だよなあ)等、何でも仲のいい友達と行くのが普通と思っており、「一人で過ごす=友達がいない寂しい人」というイメージを持っていたからだ。
けれど、A君は、誰からも悪く言われるタイプではなく、友達も多かった。しかもA君のことを好きだという女子が複数名いるような、なかなかのイケメンだった。部活では部長をしていて人の中心にいた。そういう彼が一人で過ごしていることに驚いた。
「へえ」と思い、観察していると、一人でいるのだけれど、時々、通りがかりのクラスメイトが彼に話しかけたり、静かに一人で本を読んだりと寂しそうな感じはなかった。むしろ、のんびりとした過ごし方が見ていて心地よかった。
彼は「本当だったら外で遊びたいのに」と一人で過ごす寂しさを感じていた私の昼休みをのんびりとした温かいものに変えてくれた。それからは、私も立ち話に加わったり、時には図書館で本を読んだりする等、一人の昼休みを過ごすことを何とも思わなくなった。
彼が教えてくれたのは、「一緒でもいいし、一緒じゃなくてもいい」だったように思う。「一人で過ごす=友達がいない」ではなく、「周囲にどう見られるか」について、あの時代の子供が気にしそうなことを軽々と超えているように見える感じが清々しかった。
今、大人になった私が思うのは、「一人で過ごす時間を豊かにできるからこそ、大切な人との時間も豊かにできる」ということだ。「一人の時間があるからこそ、一緒にいてくれる人の有難さがわかる」というか……まあ、そんな感じだ。
今でも時々思い出す、あの子はどうしているかなあ。
文:彩音
編集:真央
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