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クレヨン王国が教えてくれる「自分であることの大切さ」

今回のかきあつめテーマは、「♯最近の学び」である。

少し前、実家で本棚の整理をしていたら、小学生の頃、夢中になって読んでいた『クレヨン王国』シリーズが出てきた。皆さんはご存知だろうか?

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講談社HP 青い鳥文庫 クレヨン王国より引用

クレヨン王国(クレヨンおうこく)は福永令三著作による児童文学作品シリーズ。色彩鮮やかな自然の色を扱ったファンタジー作品。作中には様々な動植物を含む自然の描写や詩歌が多く登場する。クレヨン王国とは作品の舞台となる異世界の王国の名前であり、ゴールデン国王、シルバー王妃を中心として、クレヨンの12色の大臣が12の月をそれぞれの色で治めている。ストーリーラインとしては、クレヨン王国に一般の少年少女が関わって成長していくパターン、クレヨン王国の住人達が様々な冒険に巻き込まれるパターン、寓話や童話が綴られる短編集の、主に3種類がある。(wikipediaより引用)

懐かしくて読み返したくなったので、適当に選んだ一冊を読み始めたら止まらなくなり、気がついたら最後まで一気読みしていた。「児童文学」と軽い気持ちでいたのだけれど、大人になった自分が読んでも考えさせられる内容で大変勉強になった。

今回、私が読んだのは、『クレヨン王国からきたおよめさん』である。

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秋の運動会の総練習の朝、いつもとちがう一番電車にのった亜有子は、高校生の夏江子と一緒になぐり電車に乗り合わせました。あわてておりた駅にある、カフェテラス クレヨン王国には、いろいろなおよめさんのメニューがあり、亜有子はべんきょうのお嫁さんを注文してみました。(あらすじより引用)

あらすじを読んだだけでは混乱しそうだが、期間限定で脳内に「およめさん」と呼ばれる人物がやってきて一緒に過ごすことができるというシステムのカフェに行ったことから物語は始まる(伝わるかしら)。ちなみに「なぐり電車」とは、乗客が乗車中にひたすら見えない敵から殴られ続けるという何とも理不尽な電車である(更に混乱しますね)。でも、この電車に乗らないとクレヨン王国には行けないらしい。

受験を控えた亜有子が注文したのは、「べんきょうのおよめさん」だった。その名は「一番常代」である。名前の通り、「常に一番でなければならない!」と考え、寸暇を惜しんで勉強するタイプのおよめさんだった。一見良さそうだが、問題だったのが、人を蹴落としてでも一番になろうとし、一番になった結果、人を見下すタイプの人物だったことだ。

およめさんが来てからというもの、亜有子の生活は変わっていく。脳内の常代が頑張る為、テストの成績は素晴らしい。けれど、勝ちにこだわり、勝った結果、嫌なマウントをとるため、友達は少しずつ亜有子から離れて行った。常代が活躍すればするほど、少しずつ亜有子の脳内が常代に支配されていき、亜有子らしさを失っていく。

そんなある日、亜有子は親友と大喧嘩をしてしまい、その結果、親友が家出をしてしまう。親友を探すことを通し、亜有子は大切なことに気がついていく。常代もまた、自分の過ちを理解していく。

私は、このお話が物語を通して伝えているのは、「自分であることの大切さ」、「自分であることは、努力が必要である」ということだと感じた。

「(中略)わたしは、おくびょうだったのです。わたしは、弱かったのです。わたしは、みんながこわかったのです。だから、わたしは、勝ちたかったのです。まけたらなにをされるかわからないと思っていたのです。(省略)……」

これは、常代の言葉である。勝つことで優位に立ち、それによって安心しようとする。大人の世界にもありそうなことではないだろうか。

私は、競争は必要なものだ思う。人生に何度かは、絶対に負けてはいけない戦いもあるはずだ。けれど、自分の劣等感を補うために人より力を持とうとするのなら、いつまでも満たされることはないだろう。だって、上には上がいるのだから。ましてやせっかく得た能力を人を見下すために使うとしたら、周りは敵ばかりになる。それって、本当に求めていたものだっけ?

良い時も悪い時も、変わらずあなたの傍にいてくれている人は、あなた自身が何かができるから、何かを持っているから、あなたのことを好きなのではないだろう。あなたがあなたであるからこそ、あなたをことを大切に想ってくれているのではないだろうか。

「自分が自分じゃなくなるときがあるんだってことがわかりました。京野亜有子が、京野亜有子として生きるのは、あたりまえのなんでもないことのように思ってましたが、意外に大変な努力がいるし、それだけ、やりがいもあるって思いました。」

こちらは亜有子の言葉である。私たちは、日々影響し合って生きている。毎日、いろんなことが起こる。それに対していろんなことを言う人がいる。時々、その渦の中で自分が埋もれそうになることがある。他者の価値観が、いつの間にか自分の価値観にすり替わっていないだろうか。私たちが私たち自身であることは、結構な努力が必要なのだと思う。

そんなことを考えていたら、こんな言葉を思い出した。

絶えずあなたを何者かに変えようとする世界の中で、自分らしくあり続けること。それがもっとも素晴らしい偉業である。ーエマーソン

その通りだな、と思った。さあ、他の作品も読んでみようかな。

文:彩音
編集:円(えん)
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