【動画解説】YouTube動画『基礎から始めるフライキャスティング』#1ロールキャストを補足説明します。
先日より、YouTubeでフライキャスティングのシリーズ動画
『基礎から始めるフライキャスティング』というのをはじめました。
そのやり方や利用法、練習法などを、
初心者の方が見てもわかりやすいように解説しています。
まだご覧になっていない方はまず動画をご覧ください。
ここでは、基本的には動画の内容に従い、
それをここで再確認するのと同時に、
動画では伝えきれない部分を補足するように
解説していきます。
ロールキャストの特徴
ロールキャストにはいくつかの特徴があります。
その特徴を先ず下にあげておきます。
バックキャストをしない
通常のフライキャスティング、
いわゆるオーバーヘッドキャストでは、
前に投げる前に一旦後ろへ投げてから、
それを引き戻すように、前に投げ返します。
ムチを振るのをイメージしていただけたら分かりやすいと思います。
フライキャスティングでは、この後ろに投げることをバックキャスト、
前に投げることをフォワードキャストと呼んでいます。
しかし、今回解説するロールキャストはバックキャストをしないキャストです。
この後ろに投げないということが
ロールキャストの最大の特徴だといえます。
また、そのことで2つの大きな利点があります。
1.後ろに広いスペースを必要としない。
通常のオーバーヘッドキャストでは、
上で書いたように、一旦後ろへラインを投げるので、
そのラインの長さ以上の開けたスペースが必要です。
後ろにそれより近い位置に木などの障害物があれば、
フライはそれに引っかかってしまいますよね?
ところが、ロールキャストではこのバックキャストをしないので、
基本的に、前に投げる前に構えたロッドよりも
後ろに障害物がなければキャストすることができます。
2.練習では、フォワードストロークのみに集中できる
バックキャストをしないロールキャストは、
フォワードキャストのみに集中することができるので、
特にこれからフライキャスティングを覚えていこうという、
初心者の方にはうってつけのキャストです。
人が何か新しいことを覚えようとした場合、
覚えるべきことがらは
できるだけ少ない方が良いのです。
バックキャストが必要なオーバーヘッドキャストでは、
一度に2種類のキャストを覚えなくてはならず、
初心者の方には少々荷が重いといえます。
そのほかの特徴
ロールキャストには、バックキャストをしないということのほかにも
いくつかの特徴、利点があります。
それらをご紹介します。
スラックを取ることができる。
オーバーヘッドキャストをはじめ、
ほとんどのキャストは、投げる前のラインの状態が
まっすぐ、あるいはそれに近い形になっていないと
うまくキャストできません。
ところが、ロールキャストは蛇行しているラインを
まっすぐにすることができる数少ないキャストの1つなのです。
そして、それがこのキャストが最初にマスターすべきだということの
大きな理由の1つとなっています。
ちなみに、このラインの蛇行はラインスラック、
あるいは単にスラックと呼ばれます。
水面に置かれたラインの蛇行、スラックは
ロッドを後ろに移動させる動きとともに取れていくのです。
オーバーヘッドキャストをするにしても、
芝生の上などでしたら、自分でラインを持って引っ張ることもできますが、
水面でやろうとした場合は、自分で引っ張るなんてことはできません。
そんなことをしたら溺れてしまいます( ´艸`)。
投げるたびに自分が後ろに下がってまっすぐにするというのも
あまり現実的とは言えません。
それよりも、キャストの前にロールキャストをして、
ラインをまっすぐ伸ばすようにすれば簡単ですし、実際的です。
沈んだフライやライン、大きなフライをピックアップできる
シンクティップのラインを使ったり、
ヘビーウェイトのフライを使うなどして、
フライが水中深く沈んでいる場合は、
オーバーヘッドキャストで、
そのままラインをピックアップしようとしてもうまくいきません。
ピックアップとは、水面にあるラインを抜き上げ、
バックキャストをする行為のことを言います。
無理に抜き上げようとすれば、
ロッドを折ってしまうこともあるので、要注意です。
このような場合、一旦ロールキャストをすることにより、
水面に引き上げてからバックキャストをすれば、
スムーズにキャストすることができます。
うまくすれば、ロールキャストで空中に浮いたラインが
再び着水することなくバックキャストをすることもできます。
仮に一回のロールキャストでは沈んだラインを
水面まで引き上げられなかった場合は、
2度、3度とロールキャストを繰り返せば、引き上げることができます。
また、フライが浮いている場合でも、
バスバグのようにバルキーなフライを使用している場合、
ピックアップする時に水を”カミ”過ぎてしまい。
大きな抵抗となり、ピックアップできないこともあります。
無理に引き抜こうとすると、抵抗が大きすぎて
ピックアップできなかったり、
仮にできたとしても、フライは大きな水しぶきを上げて、
魚を驚かしてしまいます。
おまけにバックキャストのラインは
ヘナヘナと、力なく後ろの地面に落ちてしまう
なんてことにもなりかねません。
引っかかったフライを外すことができる
それから、ロールキャストは引っかかってしまったフライを
外すことにも使えます。
フライのリトリーブ中やキャストの途中など、
フライが何かに引っかかってしまう場合、
フライは通常キャスター側に引かれている状態で
引っかかります。
その場合、それを外そうとして、手前に引いても逆効果。
引っかかっている相手が木のような比較的やわらかいものでしたら、
フックはさらに深くまで刺さってしまいますし、
石のような硬いものでしたら、フックポイントを痛めてしまいます。
ここでロールキャストをしてやると、前に飛んでいくラインが、
障害物を通り越すときにはフライは手前ではなく、それとは
反対側に引かれます。
その時に、ロッドを後ろに引いてやると
向こう側に引かれる力が増し、うまくすればフライを外すことができます。
外れなかったとしても、数回これを繰り返してやれば、
外れることも良くあります。
それでも外れないこともありますが、外れる確率を上げるのには、
以下のことに気を付けるとよいでしょう。
引っかかったと感じたら、
それ以上強く引かず、ラインがたるまない程度の
緩いテンションを保ちながら、ロールキャストをするようにしてください。その時、引っかかったままのラインの長さで
ロールキャストをしようとすると、うまくいかないことも多いと思います。
ラインを滑り出しながら、あるいは自分が前に出ながら
ロッドを後ろにもっていくとうまくいきます。
キャストの前に…
実際のキャストの説明の前に、2点ほど触れておきます。
練習はできるだけ水辺で
ロールキャストの練習は、
できるだけ水面がある場所で行ってください。
このキャストは、投げる前にラインの先端が水面上にないと
うまく投げられないのです。
ライン先端に水の抵抗がないと、キャストしたときに、
ライン先端が後ろに向かって滑ってしまい、うまくいきません。
この時に、ラインの先端を水が”つかんで”いることにより、
くわえた力が逃げることなく、前に飛ぶ力として伝わるのです。
この、ライン先端が水によって”つかまれている”ことを
アンカー、グリップ、あるいはスティックなどと呼ばれ、
ロールキャストを行う際の重要な要素となります。
お勧めのグリップ
ロッドのグリップにはいろいろな種類がありますが、
ぼくがお勧めするグリップは、動画でご紹介した、
サム・オン・トップと呼ばれる、
親指をグリップの上に乗せるタイプのグリップです。
グリップにはそのほかにもいろいろなバリエーションがあります。
グリップのバリエーションなどについては、
別の機会に詳しく解説したいと思います。
人によって、しっくりくるグリップは違うと思いますので、
サムオントップではうまくできない、
なんだか違和感があるといった場合などは
いろいろ試して、ご自分に合うグリップを選んでください。
いずれにしても、
グリップは強く握らないように気を付けてください。
強く握る必要があるのは、キャストの最後の一瞬だけです。
それ以外では、ロッドが落ちない程度に緩く持つことが
”キモ”だといえます。
元プロ野球選手の松井秀喜さんが現役のころ、
バットを振るときには、卵を持っているのを想像して、
それをつぶさないようにバットをスイングされていたというのを
耳にしたことがあります。
また、ボクサーがパンチを打つときにも、こぶしは強く握らず、
インパクトの瞬間だけ握るというのも聞いたことがあります。
そのほうがスピードも、威力もあるパンチが打てるのです。
その他のスポーツでも同様のことは枚挙にいとまがありません。
手を強く握りしめたままでは、正確で、スムーズ、
そして素早いスイングやストロークを得るのは難しいものです。
あなたが何かのスポーツをされているのでしたら、
思い当たるフシがあるはずです。
フライキャスティングでも全く同じです。
実際のロールキャストの流れ
それでは、実際のキャストの流れをご説明していきます。
ラインセット
まず最初にロッドにリールをセットし、
そのリールからラインを少し引き出します。
そして、それをガイドに通して先端部分をロッドティップから
引き出します。
ロッドのおよそ3倍程度のラインを引き出したら、
その部分のラインを水面に落とします。
水面のラインには、当然のごとくたくさんのスラックが入っています。
そして釣り場についてまず最初にするキャストが
このスラックを取るためにする、ロールキャストなのです。
バックストローク
この状態からロッドをゆっくり後ろへ移動させていき、
ロッドを持っている手を顔の横あたりにかまえ、
ロッドは少し倒れた状態で構えます。
このときのロッドの角度は、時計の文字盤で1時から2時ぐらいにします。
この、ロッドを後ろに構えるときに、
ロッドに引っ張られて、水面のスラックが取れていくのです。
キーポジション
この時、ロッドは後ろに倒れると同時に
少し外側へも倒れるようにして構えます。
横から見た時には、だいたい時計の文字盤で1時から2時ぐらい、
前、あるいは後ろから見た時はだいたい12:30~1時ぐらいの位置を
目安にするとよいでしょう。
この時の手やロッドの位置はキーポジションと呼ばれ、
次のフォワードキャストをする前の基本のスタート位置となります。
このキーポジションは、ローンチポジション、ファイアリングポジション
などとも呼ばれています。
フォワードキャスト
ラインがロッドティップから真下に垂れ下がったら
フォワードキャストをして、キャストは完了です。
キーポジションから斜め下、胸の前50~60㎝ほど前のあたりをめがけ、
そこに向かってロッドを振り下ろします。
ロールキャストをする場合の注意点
ロールキャストの全体の流れを上で説明しましたが、
これだけでは、おそらくうまくいかないことも多いと思います。
そこで、ロールキャストを成功させるための
細かい注意点をあげておきます。
キーポジションで必ずロッドは少し外へ倒す
キーポジションでのロッドは少し外側へ倒すと書きました。
これをしないと、キャストしたときに
ラインが体やロッドに触れてしまい、
うまく飛ばないばかりか、フライも体に触れてしまい、
危険ですらあります。
かといって倒しすぎてはまっすぐターゲットに向かって
キャストすることが難しくなってしまいます。
具体的なロッドの倒し加減は、上でも触れましたが、
およそ30度、時計の文字盤で12:30~1:00ぐらいが適当です。
これは、アンカーとなるラインの位置が
ロッドの長さの半分程度外側に外れた位置といっても良いでしょう。
キーポジションでロッドを後ろに倒しすぎない
キーポジションでは、ロッドは外に少し倒し、
同時に後ろへも少し倒して構えます。
しかし、倒しすぎないように注意してください。
ロッドを大きく後ろに倒すと、ラインは自分のはるか後ろから水面に接し、より多くのラインが水の上にあることになります。
この状態でキャストすると、水の抵抗が強すぎ、
つまり、アンカーが大きすぎるため、ラインは途中で失速します。
そしてさらに、前に振られたロッドティップはまっすぐではなく、
上に膨らんだ、山なりの軌道を描きます。
キャストされたラインは、
それを誘導するロッドティップの動きに従いますので、
ロッドティップが山なりの軌道を描くと、
ラインもその動きに従い、上に膨らんだ形で飛んでいきます。
これだと、加えられた力はその軌道に沿った、
別々の方向に分散するため、ラインに効率的に伝わりません。
ラインをまっすぐ投げたければ、それを引っ張るロッドティップも
まっすぐ動く必要があります。
これはフライキャスティングの
最も基本的で、重要な要素の一つです。
バックストロークはゆっくりと
バックストローク、つまりロッドを後ろへ移動させるスピードは
ゆっくり行う必要があります。
慣れないうちは、投げようという気持ちから
後ろへも投げようとしてしまい、速いスピードで振ってしまいがちです。
そのようにすると、ラインは大きく後ろへ飛んでしまい、
その後着水します。
この状態で前にキャストすると、やはり水の抵抗が大きすぎ、
ラインは大きなしぶきを立て、前にまっすぐ伸びず、
途中で失速してしまいます。
タイミング
ロールキャストでの前に振るときのタイミングは、
キーポジションで構えたロッドティップから
ラインがしっかり、その真下に垂れ下がるまで待つようにします。
前を向いてキャストしていると、
後ろのラインの状態を確認するのは難しいかもしれません。
なので、そのタイミングは、アンカーの位置あるいは、
アンカーの始まりとなる、
ラインと水との接点の位置で判断するとよいでしょう。
この、ラインと水との接点はポイントPと呼ばれます。
ちょうど良いタイミング、
つまり、キーポジションでのラインが
しっかりロッドティップの真下に
垂れ下がったときのポイントPの位置は
自分のすぐ前、足元のあたりにきた時になります。
このタイミングが早すぎる、つまり、ポイントPの位置が
足元よりもずっと前にある時は、
ロッドティップからのラインは斜め前に向かっており、
しっかり真下に垂れ下がり切っていません。
この状態でロッドを振ってしまうと、
ロッドがしっかり曲がらず、
飛んでいくラインは力なく途中の水面に失速して落ちてしまいます。
もしくは、このときに後ろに移動させるロッドティップの高さが高かったり、スピードが速いと、ラインは自分に向かって飛んでくることもあります。
反対にタイミングが遅すぎると、
このときのポイントPは自分を通り過ぎ、後ろに位置してしまいます。
この時のラインは、ロッドティップからしっかり
真下に垂れ下がるのですが、
今度はアンカーが大きすぎ、つまり、水の抵抗が強くかかりすぎてしまい、
前に飛んでいこうとするラインの抵抗となってしまいます。
キーポジションでロッドを
後ろに倒しすぎたのと似た現象になります。
キャストの方向
ロールキャストでは、
キャストする方向も気を付ける必要があります。
キーポジションでのアンカーのラインは
ほぼまっすぐの状態で前に伸びていると思います。
キャストする方向は、このアンカーのラインに対して
ほぼ並行で、ほんの少し内側を狙うようにします。
アンカーのラインにクロスする方向へキャストしてしまうと、
キャストしたラインは、交差し、絡まってしまいます。
反対にアンカーのラインに対して大きく内側にキャストしてしまうと、
ラインには、ねじれる力が働き力が分散してしまいます。
ロッドを振るときはスムーズな加速がだいじ
ロールキャストに限らず、
すべてのキャストにおいて言えることなのですが、
ロッドを振るときはスムーズに加速するということが
ひじょうに重要な要素となります。
最もよくあるのが、投げようという意識が強すぎるあまり、
最初に力を入れて、しまうということがあります。
つまり、ストロークの前半で一気に加速してしまうということです。
このようにしてしまうと、ラインはまっすぐ前ではなく、
上に向かって飛ぼうとしてしまいます。
そして、そのあとで力なく、たくさんのスラックを作りながら
水面に落下してしまいます。
反対に加速が不十分で、ほぼ一定のスピードでロッドを振ってしまうと、
ラインには十分なスピードが与えられず、途中で力なく失速してしまいます。
ロッドを振った後は適切な位置で突然ストップさせる
飛んでいくラインの形はループと呼ばれますが、
この、ループの形状は一般的には
Uの字を横にしたような形で、
上下の幅が狭く、それぞれがまっすぐで、
平行なものが良いとされています。
そのような形のループを作るためには、
前出のスムーズな加速とともに、
その後、適切な位置で
急激にストップさせるということが
たいへん重要になります。
そのストップの適切な位置は、
動画ではターゲットに向けた仮想の直線
(これは、ハンド・ターゲットラインと呼ばれます)
とロッドの角度で説明しましたが、
少々わかりづらいかもしれません。
もう少し、直感的にわかりやすいのは、
手の位置が、フォワードキャストのパートで触れた、
胸の前およそ50~60㎝あたりを目安にしてもらうのが良いかもしれません。
スムーズな加速と突然のストップのコツ
その、ロッドのスムーズな加速と、急激なストップをうまく行うための
チョットしたコツのようなものをご紹介します。
まず、何度も繰り返しますが、全体にリラックスすること。
このリラックスするということはスムーズに加速するためには
必ずともいえる必要事項です。
特にロッドを持つ手は強く握らないように、
可能な限りゆるく持ってください。
「それではロッドを振ったときに手の中でロッドがぐらついてしまい、
うまく投げられないのでは?」と思うかもしれません。
たしかに、そのロッドの持ち方で、手を速く動かしてしまうと、
そのようなことが起きるかもしれません。
しかし、ロッドを振るときにゆっくり動き始めて、
スムーズに加速することを心がければ、
じゅうぶん保持できるはずです。
手の動きだけでロッドの動き出しをゆっくり行うというのは、
もしかしたら難しいと感じるかもしれません。
スタートは体重移動をしてから手を動かすようにすると、
それがスムーズにできると思います。
体重移動に使う筋肉は素早く動くことができません。
反対に手などの小さな筋肉は素早く動いてしまいます。
なので、スタートではゆっくり動く大きな筋肉を使い、
加速に伴って小さな筋肉へと移行させるというイメージで
ロッドを振ることをお勧めします。
ゆっくりスタートした後は、その動きが途切れないように
スムーズに加速しながらロッドを振るのですが、
その時、ロッドをストップさせる位置、
つまり、胸の前50~60㎝あたりに壁やブロックなど、
何か硬いものを想像し、
この位置で、それまでゆるくグリップを持っていた手を握って、
このブロックをロッドでたたくようにイメージするとよいでしょう。
ハンマーで釘を打つというイメージですね。
この時、ロッドの角度は上の写真や動画でも説明した、
ハンド・ターゲットラインから40~45度程度、
時計の文字盤を例にすれば、おおよそ
10時ぐらいの角度で止まっていると思います。
その位置でループが上に舞い上がってしまうようでしたら、
もう少し前にロッドが倒れた位置で止まるように、
反対にループが広くなるようでしたら、もう少しロッドが立った位置で止めるといったように微調整してちょうど良い位置を探してください。
これをイメージしずらいようでしたら、
動画でも説明しているように、実際にこの位置に
ロッドを持っていない方の手を差し出して、
ロッドでこの手をたたくと良いでしょう。
きっとあまりにも勢いよく飛んでいくので、驚かれることでしょう。
左右どちら側からでもキャストできるように
ロールキャストに限ったことではありませんが、
特にロールキャストはキーポジションでのラインには動きがなく、
ロッドティップから垂れ下がっているだけなので、
風の影響を受けやすいものです。
ロッドハンド側から風が吹いていると
このラインがそれに流されて体やロッドに触れてしまいます。
その状態でキャストしてしまうのは
危険だというのはお分かりですね?
ですから、風の状態に合わせてどちらの側でもキャストできるよう、
練習しておくことが大事になります。
利き手と反対側でキャストするときには、
ロッドを持つ手を変えてキャストしても良いですし、
持つ手は変えないで、ロッドを身体の前、
あるいは頭の上でクロスさせてキャストしても良いのですが、
これまでに説明した注意点は守るようにしてください。
特に、クロスさせてキャストする場合は、
キーポジションでのロッドを外側へ倒す角度が
小さくなりがちなので注意してください。
慣れてきたらロングキャストも可能に
短めのラインで慣れてきたら、
少しずつキャストできるラインの長さを長くしていくのも
良い練習になります。
一旦短めのラインでロールキャストをして、
ラインをまっすぐ伸ばしたら、
もう少しリールからラインを引き出して、
最初にやったように、ロッドを低く構えて左右に振り、
ラインをガイドから滑り出させます。
これで、少し長いラインをキャストする準備ができました。
そして、ふたたび水面にできたラインスラックを取り除くように
バックスイングをして、再びロールキャストをします。
ラインが長くなった分、これまでよりも体の動きを少し大きめにして、
ロッドの振り角も少しだけ広くしてみてください。
フォワードキャストでロッドをストップさせると同時に
持っていたラインを放してやれば、
空中を飛んでいくラインに引かれて手元のラインが引き出されていきます。
この方法で距離をのばす方法もあります。
これはシュートというテクニックで、遠投をする場合には必須ともいえるテクニックです。
また、これまでロッドと一緒に持っていたラインを反対の手に持ち換えて、
フォワードキャストの時に、ラインを持っている手を後ろに引いてやれば、
飛んでいくラインのスピードが上がります。
そして、この時に持っていたラインをはなしてやれば、
さらに遠くまでキャストすることができます。
これはホールといわるテクニックで、
やはり、遠投する場合にはなくてはならないテクニックです。
別の機会に詳しく解説したいと思います。
ロールキャストに向いたタックル
ロールキャストは基本的には通常のオーバーヘッドで使用しているタックルでも、その他ほとんどのタックルですることができます。
ただ、ロールキャストに特化して、よりやりやすいバランスというものはありますので、それを少し説明しておきます。
ロッドとラインのバランス
ロッドとラインのバランスは、ロッドの硬さに比べて、
ややラインの重量が重めにしたほうが、よりやりやすいといえます。
例えば、ロッドの表示ラインウェイトが#5のロッドに#6や#7、
あるいはそれ以上の重さのラインを使うといった感じです。
3サイズほど重いものを使っても問題ないはずです。
ただし、それでオーバーヘッドキャストもするという場合は
3サイズだと少々重すぎるでしょうから、
1か2サイズにとどめておいたほうが無難でしょう。
ロッドのアクション別に考えたら、硬めのファスト・アクションの物よりは、少し胴にかかった、ミディアム~スローアクション気味の物の方がやりやすといえます。
これは、ロールキャストはオーバーヘッドキャストと比べると、
キャスト中にロッドに負荷を十分にかけることが
難しいことから起こります。
オーバーヘッドキャストの場合、投げる直前のラインの状態は、
基本的には投げる方向とは正反対の方向に、ほぼまっすぐの状態になっています。
それに比べ、ロールキャストの場合は上でも説明した通り、
キャスト方向と反対ではなく、真下に垂れ下がっています。
しかもそれが、ライン全体ではなく、一部のみです。
ですから、どうしてもラインの重量を、ロッドを曲げることに十分に生かしきれないのです。
このようなときに、ラインの重量そのものが重かったり、
ロッドが柔らかめだったりしたら、ロッドは少し曲げやすくなるのは、
想像できますよね?
ラインの形状
ラインの形状は、ダブルテーパーでも、ウェイトフォワード、
あるいはシューティングヘッドなど、
基本的にはどのような形状でもロールキャストはできます。
ただ、ある程度以上の距離を投げる場合は、
少し考慮しておいたほうが良い点があります。
特にウェイトフォワードのラインを使用する場合なのですが、
ベリー部分が短いものは、遠投には適しません。
通常のウェイトフォワードのラインのヘッドの長さは
30ft前後だと思いますが、
それだと、ロールキャストで投げられる距離はその距離、
多少シュートしたとしても、わずかです。
ロールキャストでキャストに使える長さは、
ヘッドの長さのみだと思ってください。
ですから、そのような短いヘッドのウェイトフォワードよりも、
ダブルテーパー、あるいはロングベリーのウェイトフォワード
の方が適しているといえます。
シュートして距離をのばすことを考えると、ロングベリーのウェイトフォワードが最適だといえます。
お勧めのウェイトフォワードラインを1つご紹介しておきます。
このラインは、ラインウェイトのバリエーションは
#5 ~#8とあまり多くはありませんが、
ヘッドは58ftと、たいへん長く、テーパーもバランスよくできているため、
ロールキャストも、オーバーヘッドキャストでも快適に楽しむことができます。
シューティングヘッドの場合は、ヘッドの長さが短くても、
軽く細いランニングラインを使用したら、シュートして距離を投げることはできます。
ただ、ロールキャストのスキルを磨くということでは、もっと長いラインを扱う、ヘッドの長いラインのほうが良いでしょう。
また、最近ではシングルハンドスペイキャスト用にデザインされた
ラインもあり、このようなラインもロールキャストをしやすいラインだといえます。
フライキャスティングを直接習いたいというかたはこちらをどうぞ
ぼくのYouTube動画やこのnoteを使った記事では、できるだけわかりやすいよう、うまく伝わるよう気を付けて作っています。
しかし、これらだけではニュアンスとか、感覚的なものを伝えるには限界があります。
やはり一番良いのは、実際にお会いしてレッスンするのが良いと思います。
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これより先は有料になりますが、ロールキャストのメカニズムについて、少し踏み込んだ説明をしていきます。
これは、実際にキャスティングを行う上では、必ずしも必要なものではありません。
あなたが初心者で、これからフライキャスティングの練習をしていこうという方だったり小難しい理屈など考えたくないといった方でしたら、
読まないほうが良いかもしれません。
必要以上に考えすぎてしまったり、混乱を招いてしまう可能性があります。
先ずは無料部分だけを読んで練習してみてください。
そのうえで、ある程度ロールキャストができるようになって、その理屈をもっとよく知りたい、あるいは理屈を理解してからでないと練習できないというタイプの方でしたら、それなりの価値のある情報だと思います。
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