オンラインセミナー「力強く、きれいなループを作る」を解説します。
先日、ZOOMを使って第2回目のオンラインセミナーを行いました。
今回のテーマは「力強く、きれいなループを作る」。
これは、「こんなテーマでセミナーをやってほしい」
とお客様からのリクエストがあり、
今回はそれにそってやってみました。
今回は対話形式で…
ZOOMの双方向性の特徴を生かして、
こちらからの1方的な情報提供ではなく、
参加者の意見なども積極的に問い入れる
対話形式にしてやってみました。
なので、セミナーというよりはオンラインミーティングといったほうが適切だったかもしれません。
対話形式の難しさに気が付いた
議論白熱。
なかなか面白いものとなりました。
しかし、この対話形式の難しさというものにも、同時に気が付かされました。
それは、
時間がかかる
ということです。
時々議論の方向が本題を離れてしまいやすいのです。
それはそれで予期していない展開がおこって面白いのですが…
それをそのままにしてしまうと、
とんでもなく時間が必要となります。
今回も気が付けば2時間以上もの時間がたってしまいました。
この方法は、時間がたっぷりあった
ソクラテスの時代にはよかったのでしょうが、
主催者がうまくリードしないと、
まとまりがなくなってしまいますネ。
改めて自分のこのあたりの能力の足りなさを思い知らされました。
でも、この形式は面白いので、
もっとうまくできるように勉強して
続けていきたいと思います。
YouTubeにその様子をアップしました。
そのままでは長すぎるので、
編集して主要な部分を抜粋
その様子をYouTubeにアップしましたので、
まだご覧になっていない方はご覧ください。
チャンネル登録もぜひよろしくお願いします<m(__)m>
これより、この動画の内容の補足説明をしていきます。
そもそも力強いループ、きれいなループとはどんなものか?
力強いとか、きれいなループというのは少々抽象的でとらえどころがありません。
そこでまず、それらはどんなものとするかと、
定義を決めてから議論に入ることにしました。
力強いループとは
まず、力強いループとはどんなものかと考えてみました。
おおむね以下のような感じではないかと思います。
風に影響されないループ
この動画では明確に結論付けしていませんでしたが、
私の考えでは、
この力強いといえるループは
風に影響されにくいループ
この一言に尽きるのではないかと思います。
では、そのようなループとはどのようなものか
考えてみました。
1.スピードがある
スピードが速いラインは風にも強く、いかにも力強い感じがします。
ただ、これに関しては必須というわけではないでしょう。
スピードは遅くても風に影響されにくいループは存在します。
2.ピン!と張っている
ラインがピン!と張っているラインも力強いと言えます。
これも抽象的で分かりづらいですね(-_-;)
なんとなくニュアンスは分かっていただけるでしょうか?
主にループの下側部分の形が
途中が垂れ下がっておらず、
直線に近いものが
こんな状態だと思います。
3.ターゲットに向けてまっすぐ飛ぶ
このことは、ライン全体が目標に向かっているため、
ラインに与えられた力が逃げません。
やはり力強いと言えます。
4.余分なスラックが入っていない
これは、ループの上側と下側とで少し意味合いが違いますが、どちらのスラックもない方が力強いとえます。
蛇足ですが、ここで専門用語を少しご説明しておきます。
スラックとは、ラインにできる皺のことです。
ループの上側の部分は
アッパーレッグ、トップレッグ、あるいはフライレッグ
などと呼ばれています。
下側の部分は
ローアーレッグ、ボトムレッグ、ロッドレッグ
という名で呼ばれることがあります。
もし、あなたが今後
教わるインストラクターの方や、
見るコンテンツの中で、
このような用語が使われていた場合に備えて
知識として覚えておいてください。
アッパーレッグのスラックは3.と関連しており、
この部分にスラックがあるということは
3.の要件にかなっていないということになります。
ローアーレッグにできるスラックはループが
出来始めた後のロッドの動きに影響されます。
この時にたとえば
ロッドが振動していると、
その分がラインのスラックとして現れます。
きれいなループとは
力強いループというのは以上のような要件を満たしたものになります。
きれいなループというのも通常は
1.のスピード以外はほぼこれらと同じだと言えます。
整った形の、タイトループは誰の目から見てもきれいなものです。
スピードはゆっくりでも、速くてもきれいなものはきれいです。
タイトループとナローループ
この動画の中でも議論されていた
タイトループとナローループというものですが、
一般的には、この2つは同じものだと捉えられているように思います。
しかし、私としては
その言葉の響きから、少しだけ違うものだと思っています。
…しかし、これは本当に私の”独りよがり”の可能性があります。
これについての明確な違いを説明されているのを私は見聞きしたことがありませんので、これに関しては軽く”聞き流して”ください。…
ナローループというのはその名の通り、狭いループのことを言います。
FFIインストラクターの試験の項目として40フィートの長さのラインで、
幅4ft、1.2m以下をナローループとして定めていますので、
それを目安にするとよいでしょう。
ただし、MCI(マスターインストラクター)の試験では
ライン長50ftで3ft、90㎝以下ですので、
より完成度を高めたければ、これを目標にしてください。
ナローループの反対はワイドループです。
タイトループというのは私の解釈では
上でも上げた、
ピン!と張りのあるループです。
多くの場合ナローループはタイトループであるといえますが、
この解釈だとワイドループでもタイトなループはあるということになります。
どのようにすればよいか?
では、このようなループを作るにはどうしたらよいのでしょうか?
1.のラインのスピードを速くするのは
ロッドを速く振る
ロッドを長い距離振る
ホールを用いる
などをすることで、ラインスピードを上げることができます。
ロッドティップの直線的移動
2.と3.については、
キャスト中、ロッドティップが
まっすぐ動くということが
最も基本的で、最もたいせつなことだといえます。
これは英語のロッドティップの直線の軌跡、
Straight Line Path of the Rod Tipの頭文字をとって
ロッドティップのS.L.P.と表現されることも多いので、
インストラクターの方がこの言葉を口にされたら、
「ロッドティップをまっすぐ動かすんだな」
と思ってください。
ラインはそれを直接動かしているロッドティップの動きに従うので、
まっすぐラインをキャストするためには、
ロッドティップがまっすぐ動くということが必要不可欠なのです。
S.L.Pを成功させるには
それでは、このS.L.Pをうまく行い、
力強く、きれいなループを作るには
何に気を付けたらよいか
ということをご説明します。
乱暴にロッドを振らない
この動画の中で、参加者の方がバンブーロッドを振る練習をする中で、
その方の先生が「ロッドにお伺いを立てろ」と言われていたというくだりがありました。
これを受けて私は
「それはおそらく、ロッドを乱暴に振るなということだろう」
と発言しました。
初心者から上級者まですべてのレベルにおいて
最も多い失敗がこれです。
特に遠投しようとしたり、
風が強い日に、それに負けまいとして
ロッドを振った場合に起こりがちです。
別の言い方をすると、
ロッドをスムーズに加速させるとも言えます。
加速がスムーズでなく、途中で不必要に力が入ってしまうと
ロッドはその時だけ大きく曲がり、
その後いったんある程度復元します。
その結果ロッドティップの軌跡は直線ではなく、
途中で下に凹んだ軌跡を描き、
ラインはそのロッドティップに引っ張られているので、
基本的にそのロッドティップの動きをトレースするように飛ぼうとします。
結果できるループは、
この場合アッパーレッグがその影響を受けるので、
そのアッパーレッグが下に凹んだ形
いわゆるテーリングループを形成することになります。
この場合、アッパーレッグがローアーレッグと交差するため、
ラインやリーダーが絡むというトラブルが付きまといます。
このトラブルは遠投や強風時ばかりでなく、
やわらかいロッドや、
バンブーロッドのように自らの重みで
大きく曲がる傾向の強いロッドにも起こりやすいため、
特に注意が必要です。
それゆえ、前出のバンブーロッドの先生は
このように言われたのではないかと推測したしだいです。
ロッドの振りは優しすぎてもいけない
この動画では触れていませんでしたが、
この「ロッドにお伺いを立てる」という言い回しには
別の意味も含まれていると思います。
ロッドの振りは優しすぎてもいけないのです。
上でふれたように、
スムーズに加速することが必要なのです。
この、加速をすることによりロッドは曲がるのです。
ロッドを十分に加速しないと、
必要な長さのラインをキャストするのに必要な曲がりを
ロッドに与えることができません。
この場合には
ロッドティップは
スタートとストップを結んだ直線よりも上を通る
つまり、上に膨らんだ軌跡を描きます。
できるループは、
アッパーレッグはやはり、
ロッドティップの軌跡に従い、
上に膨らんだループ
いわゆるオープンループ
と呼ばれるループになります。
ロッドとラインの関係は弓と矢の関係のようなものです。
ロッドが弓、ラインは矢というわけです。
矢をより遠くに飛ばすためには
弓をより大きく曲げなくてはなりません。
少し乱暴に言ってしまえば、
フライキャスティングと弓矢とで大きく違うのは
ロッド、あるいは弓を曲げる過程が結果に影響するかどうかだと言えます。
弓を曲げるときに、その力の入れ方が不安定であったとしても
矢を放つまでに必要な大きさで弓が曲がれば結果に影響はないでしょう。
(その道のエキスパートの方に言わせたら、そんなことはない!
と言われてしまうかもしれませんが…汗)
しかし、フライキャスティングの場合、
ロッドの曲げられ方が不安定だと、
それがループの形となって
はっきりと表れてしまいます。
つまり、「ロッドにお伺いをたてる」という言う言い回しには
ロッドの曲がり具合と
ロッドティップの軌跡に”お伺いを立てながら”
ロッドを振るという意味が込められていたのだと思います。
ロッドの曲がりに見合った角度でロッドを振る
S.L.P.を実現するためには、
ほかにも注意する点があります。
ロッドの曲がりの大きさに見合った角度で
ロッドを振るということです。
この、ロッドを振る角度はアークとか、
キャスティング・アークという用語で
呼ばれることがあります。
もし、あなたが習っているインストラクターから
この言葉ができてきたら、
ロッドを振る角度のことを言っているのだと思ってください。
キャストしているラインが比較的短い場合や、
ロッドを振るスピードが遅い、
あるいは使っているロッドが堅めのロッドだった場合などは
ロッドはあまり大きく曲がりません。
その場合は、ロッドは比較的狭いアークでキャストするのが妥当です。
もしこのような場合に広いアークでロッドを振ってしまうと、
ロッドティップの動きは山なりの軌跡を描いてしまい、
できるループのアッパーレッグも同じように山なりの形となり、
ループの形は
オープンループとなります。
上の図の黒い実線がロッドの曲がりが小さいときの
適正なキャスティングアークで、
青い破線がその時のロッドティップの軌跡です。
赤い実線がその曲がりに対して
広すぎるキャスティングアーク
赤い破線がその時のロッドティップの軌跡です。
オープンループは
ラインが飛ぼうとする力(これはアッパーレッグに集中します)は、
このラインの線分方向にそれぞれ分散するため、
まっすぐターゲットにキャストするということを目的とした場合には
効率的とは言えないものとなります。
上の図の赤い矢印が各部の力の働く方向です。
これがはなはだしい場合は、
あまりにもループの幅が大きくなるため、
もはやループの"てい"をなしていないということで、
ノンループと呼ばれています。
反対に長いラインをキャストしたり、
速いスピードでロッドを振る、
やわらかいロッドでキャストするなどの場合は
キャスト中、ロッドは大きく曲がります。
そのような場合、ロッドの振り角が小さいと
ロッドティップは、スタートとストップを結んだラインよりも
低い位置にいったん下がります。
その後ストップの位置の高さに持ち上がりますので、
ラインもその軌跡をたどり、
ローアーレッグとアッパーレッグが交差する
テーリーングループが生じます。
もっと広いキャスティング・アークが必要になるのです。
図中の黒い実線がロッドの曲がりに対して
適正な広さのキャスティングアークのロッド。
青い破線がそのときの
ロッドティップの軌跡です。
赤い実線は狭すぎるキャスティングアークのロッド。
赤い破線はそのときの
ロッドティップの軌跡です。
バックキャストとフォワードキャストの方向を180度の関係にする
フライキャスティングを語るときに、
『180度の定理』という考え方があります。
これは、バックキャストと、フォワードキャストの方向が
180度の関係を保つということです。
別の言い方をすれば、
バックキャストとフォワードキャストを結ぶ線が
直線をなすようにするのです。
これは、横から見た場合もそうですが、
3次元でそうなるようにします。
つまり、上から見てもこれが直線になるようにするのです。
横から見てこの角度が180度よりも小さい角度、
つまり、バックキャストもフォワードキャストも
上へ向かってキャストした場合などがそうなのですが…
この場合は、上下のラインが
交差し、ラインが絡むというトラブルが
生じやすくなります。
上の図の実践がループ、
矢印が次のキャスト方向です。
そのときにできるループは
このようになります。
ループの形は特に問題はないんだけど、
気が付くとリーダーが絡んでいる
ということが起きたら、
先ずはこのことを疑ってみてください。
反対にこの角度が
180度よりも大きい場合は
与えた力がラインにダイレクトに伝わらず、
ロスを生じ、
ループの形は上下が平行でなく
ループの後ろへ向かって広がる形になります。
ループがほどけきらず落下してしまったり、
ループ先端が水面に突き刺さってしまう場合は
この可能性を考えてみてください。
別の視点からのきれいなループの定義
きれいなループという定義は、
一般的にには以上の要件を満たしたものだと言って良いでしょう。
しかし、私としては
もう少し考えを進めてみたいと思いました。
実際の釣りの場面では
まっすぐ延びる、タイトループが
必ずしも求めるループではない場合もあります。
目的になかった形、
飛び方にコントロールされたループは
たとえそれがスラックが入っていたり、
ねじれたループだったり、
ある種の教本では
やってはいけないとされるものであっても、
それがキャスターが意図したもので、
その通りにコントロールされたものであれば、
それもまた、きれいなループだといえると思います。
きれいという言葉がもつ響きが
すこしニュアンスが違う感じもしますが…
ともかく、
まっすぐなタイトループをキャストできたうえで、
あえてそうでないキャストを自在に投げ分けられる
ようになりたいものです。
それらをの例を4つ挙げる
そんなストレートではないループのいくつかを、
この動画では
ヤーンロッドを使ってやってみました。
ヤーンロッドは室内で
キャスティングの練習するのに
たいへん適した道具です。
いくつかご紹介しておきますので、
まだお持ちでない方は
1本持たれることをお勧めします。
また、受注生産になりますが、
うちでも作っていますので、
ご興味ある方はご覧ください<m(__)m>
ここから先は有料となります。
もし、あなたが初心者で
まだまっすぐキャストするのが
難しいと感じているのだとしたら、
これ以降の内容はもしかしたら
混乱させてしまうかもしれませんので、
この先は読まれないほうがよいかもしれません。
ここまでの内容を、
よく理解し、
練習することをお勧めします。
もし、あなたがある程度以上
上のことを理解され、
さらに高度なラインコントロールを
知りたければ
ご購入されることをお勧めします。
また、これより先は
説明が無用に長くなってしまうことを避けるため、
ある程度専門用語も使って説明しますので、
基本的な用語を理解されていないと、
理解しづらい部分もあるかもしれません。
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これは近いうちに値上げをする予定です。
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