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位置情報データ企業のCTOが語る   自治体や企業の意思決定を支えるためのこだわり

<お話いただいた方>
大﨑 浩崇(おおさき・ひろたか)
前職で消費者向けWebサービスの開発やチームリーダーを経験。
2018年、リクルートにて障害福祉に特化した運営支援ソフト「knowbe(ノウビー)」の開発責任者を務める。
様々な新規事業に携わる中で、規模の拡大や営業・プロダクトといった各部門との距離の近さに魅力を感じ、2021年4月にブログウォッチャーに参画。データエンジニアのチームリーダーとして活躍。
2024年4月、CTOに就任し技術戦略をリード。
CTO業務とは別に、社内メンバーが執筆するニュースレターの編集長を務め、過去〜最新のテクノロジーに関するコラムや、社員インタビューを通じて、社内コミュニケーションの活性化にも取り組む。


「位置情報データ屋さん」からの変化

2021年にブログウォッチャーへ参画、2024年にはCTOに就任しました。

その中で感じたのは「位置情報データ屋さん」から「位置情報データで世の中の問題の解決屋さん」への変化。
元々は、単純に位置情報データをお客様である企業や自治体などに提供するっていう形が多かったんですけども、だんだんデータを可視化して、分析しやすくするレポートやダッシュボードなどサービスが整ったり、示唆出しができたりしてきて。

店舗出店計画、商圏分析、都市計画、観光促進、災害対策、GX促進、家賃推計……など様々な領域で企業や自治体がデータをもとに、意思決定ができるような支援がしっかりできるように変化したと思います。

そのために、私たちエンジニア領域では、ブログウォッチャーが提携する140種類以上のアプリから集められたペタバイト級のGPSデータを整理し、ビジネスに役立つ形に加工しています。
こんなに豊富な位置情報データを扱う企業は、なかなかありませんので、エンジニアとしてはやりがいを強く感じられます。
私はCTOとして、こういった技術環境を整えるために、新しい技術やツールの導入を検討したり、エンジニアチームをマネジメントしたりしています。

営業やプロダクトの担当から相談が入ったら、道筋をつけて応える

位置情報データを利活用をするのは、難易度が高いと思うんです。でも、データを掛け合わせる等で、把握できることや可能になる分析もあります。

約10年前、AR*技術生成する会社にいたのですが、そこで位置情報データも利活用していたんです。
でも、当時はデータ量が足りないなどの背景で、ビジネスとして成立しなかった。
でも、今のブログウォッチャーはペタバイト級のデータ量があり、当時とは桁が全く違う。だからこそ、このデータをどのように世の中に届けるのかが無限に可能性があり、別の難しさがあるんです。
*AR(Augmented Reality):現実世界にデジタル情報を重ね合わせる技術。「拡張現実」と呼ばれる。

とした時に、大事にしたいのは、ドメイン知識のある人たちの声を聞くこと。
当社だったら営業やプロダクト担当ですね。
様々なお客様の課題や要望を積み上げることで、次のサービスや価値が生まれると思っているので。
お客様が何のためにデータを使って、何の意思決定をしたのか。それらを一番知っている人たちの「こういうサービスを作りたい」という声には、その通りにはできなかったとしても、「できない」ではなく、「これだったらできるかも」と道筋をつけて答えたい。
エンジニアが「できない」と言ったら、そこで終わっちゃうと思うんですよ。

僕は何か物を売るとか、あんまり得意じゃないから(笑)、お客様の声を届けてくれることは本当にありがたいです。
実際そうして、生まれたサービスも複数あって。
元々、観光客分析に特化した人流モニタリングツール「おでかけウォッチャー」があったんです。

「自分でデータ分析をする時間が取れない」「見られるデータは限りがあってもいいので、もう少し安価にならないか」というお客様からの声を元に、「おでかけサマリー」という観光客分析に特化した人流レポートを開発しました。

今後も案件や経験を蓄積して、形にしていきたいですね。
ちゃんと「役に立った」と感じていただけることが大切なので、どのように扱うのか、データを用いて、何の意思決定をサポートするのか等、きちんと説明できる状態にしてお客様にお渡ししていきたいです。

ペタバイト級のデータ量を安定的に管理するため、必要な3要素

ブログウォッチャーでは、お客様がそれぞれのアプリに組み込むソフトウェア開発キット(SDK*)をサービス提供していますが、考慮すべき点がいくつかあります。
*SDK:「Software Development Kit」の略。ブログウォッチャーが提供するSDKは、お客様の自社アプリに組み込むことで、GPSなどで検知した位置情報データを取得・活用できます。

たとえば、ブログウォッチャーのSDKは多くの企業が使っていただいているため、お客様がそれぞれのスマホアプリで位置情報を用いたプッシュ通知を送る仕組みを構築するには、大規模な運用を可能にする工夫が必要です。

データ量が多い場合は、情報を素早く届けるために並列処理をしますが、そのまま行うとコストが大きくなるため、そのバランスを調整することが重要です。
私たちのビジネスが持続可能なものになるように、ペタバイト級のデータを扱う中で、品質と効率とコストのバランスを熟考し、意思決定していくことにこだわっています。

位置情報データのポテンシャルを引き出し続ける

今後に向けては、データの網羅性やリアルタイム性など、位置情報データでできることをもっと増やしていきたいです。
例えば、今、ブログウォッチャーの保有データはGPS由来のものが主ですが、ビーコンなど、他由来のデータを増やしていくと、位置情報データから捉えられる事実が増えていきます。
もっと世の中の役に立てるように、エンジニアの力で、位置情報データのポテンシャルを引き出し続けたいと思います。

<利用する位置情報データについて>
ブログウォッチャーが活用しているデータは、提携アプリをダウンロードしていて、かつ位置情報取得を許可したユーザーの情報のみを利用しています。
データの取得・活用について、詳しくはこちらをご覧ください。