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位置情報でエコ活動!?ブログウォッチャーが挑戦するGXと脱炭素の取り組み
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、環境省が消費者の行動変容・ライフスタイル変革を強力に後押しするために推進する、新しい国民運動「デコ活」。
ブログウォッチャーはデコ活応援団(官民連携協議会)として、位置情報データの業界団体LBMA Japanとともに、位置情報データを活用した脱炭素「Location-GX(グリーントランスフォーメーション)」の実現を目指しています。
今回は、脱炭素につながる未来像と、ブログウォッチャーの実際の取り組みや担当者の想いをご紹介します!
<お話いただいた方>
伊東 大輝(いとう・だいき) 大手総合電機メーカーでネットワークサービスやアプリの商品企画に携わり、その後デザイン制作会社でディレクターとしてアプリやウェブサイトのデザインを手がける。ものづくりの上流から下流まで経験したことで、プロダクトやサービスを企画、浸透・成長させていく事業企画の仕事に興味を持ち、リクルートジョブズ(現リクルート)へ。成長の手応えを感じはじめた3年後、プロダクト企画に注力しキャリアをより飛躍させたいと、2021年にブログウォッチャーに参画。
- ブログウォッチャーがGX・脱炭素に取り組む理由をおしえてください。
地球温暖化の影響を、身近に感じるような出来事が増えてきていると思いませんか?今年の夏も、猛暑日の数が歴代最多になっていましたよね。夏休みにもかかわらず、暑すぎて観光地や公園に人がいないという状況を、自分も目の当たりにしました。
年々激化する、台風や洪水の猛威もニュースを騒がせていますし、何かできたらいいなと感じていたんです。
そんな中で、位置情報データ・マーケティングの業界団体LBMA Japanを通じて、環境省や地方自治体等の方々とお話しする機会があって。
位置情報データを通じて環境問題に取り組むこと、つまりはGXに貢献できそうだと気付いたんです。
しかも、ブログウォッチャーには、世の中のためになること、あるいは世の中を良くしていくことを、働く意味として大切にしているメンバーが多いので、カルチャーフィットしそうなテーマだなと感じました。
- 位置情報データで環境問題に取り組むって、なかなかイメージできないのですが…
位置情報データで捉えた人々の動き(移動)は、まちづくりや観光、マーケティングのために活かされてきました。移動のデータを分析することで、渋滞を防げたり、観光地にお客さんを誘致するための戦略に用いたり。
これらの技術や知見から、環境問題にアプローチできるものがないかと考えた時に、着目したのが「人々の移動によって排出されるCO2の量」でした。人が動き、モノを動かすことで社会は回っている。だから、その移動によって排出されるCO2を減らすことができたら、役に立てるのでは、と。
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- 大輝さんご自身は、元々GXや環境問題に高い関心があったんですか?
実は大学進学時は環境問題の勉強をしたくて学部を選んでました。僕が小さかった頃に、埼玉県の焼却場のダイオキシン問題がニュースになったんです。それ以前にも、全国各地で公害問題はあったけれど、同じ関東で問題が起きて、空気として自分の体にも発がん性物質が入ってきているかもしれないと考えたら、衝撃的でした。
結局、入学後は別のことに関心を持ったので、違うことを勉強したのですが。
- それから約20年が経って、改めて環境問題に向き合おうとされているわけですが、何か変化などは感じましたか?
改めて環境問題や取り組みの状況を眺めて、まず感じたのは、「問題や目標が複雑化している」ということでした。今はもう、特定の有害物質を減らす、というような話ではないんですよね。CO2の削減やエネルギーなどの問題は尽きることがないですが、一方で人間は色々やってきています。だから、これ以上何をすれば良いんだろうと。
- 誰もが環境問題への取り組みは重要だとわかっているけれど、これ以上どうしたらいいのか悩んでいる、という状況ですね…
そうですね。そんな状況を変えていくために、まずアプローチしたいと思ったのが民間企業でした。
企業の視点に立つと、政府の方針だから取り組んでみたけれど、プラスチックから紙のストローに変えたら商品の味が変わったように感じるとか、包装資材を変えたら中身が漏れてしまったとか。しかも、環境問題への取り組みが実際にどの程度、消費者の企業イメージ向上に貢献しているかも、なかなか見えなかったり。
消費者や企業、誰にとっても望ましくない方向に進んで、環境が良くなる、という状態は成立しないと思うんです。
消費者も、エコバッグの持参やゴミの分別はやっているけれど、それ以上できることがあるのか、もどかしく感じているかもしれません。
- なかなか難しい状況ですが、ブログウォッチャーはどのような課題感でGXに取り組もうとしているのでしょうか?
僕は「世の中の雰囲気作り」が重要だと思います。
自分の暮らしが劇的に良くなるわけじゃないけど、何か協力したらちょっとお得になるとか、誰かから認めてもらえるとか。取り組んでいる自分を「かっこいい」と思えたり。そういう「雰囲気作り」が重要だなと。
その視点を持ち始めたら、環境省のみなさんや、CO2削減に取り組んでいる方々との会話がスムーズになりました。そもそも「デコ活」という運動自体が、国民の行動変容の後押しをするという趣旨で、継続性を重視しています。
単体のソリューションを提案しても、継続可能性が見えてこない。
でも「雰囲気作り」という課題設定をしたら、一緒にやっていけそうだと思っていただけたようです。
- 「雰囲気作り」につなげるために、ブログウォッチャーはどのような具体的施策を展開していくのでしょうか?
大きく分けて、2つあると考えています。一つは、位置情報データによるCO2の排出量分析です。
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ブログウォッチャーの技術によって、出発地と目的地を位置情報データで判別して、移動の平均速度から交通手段を割り出すことができます。移動距離に移動手段ごとの炭素排出量を掛け合わせれば、その移動によってどれだけの炭素が排出されたのかが分かります。これをダッシュボードで可視化することで、エリアごとの排出量を分析できるようになります。
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どのような取り組みにおいても、効果が見えないと人は頑張りづらいと思います。例えばCO2削減の施策を続けた上で、昨年と今年でデータを比較すると、効果の有無が見えてきますよね。
- つまり、位置情報データで、エコ活動の効果を「見える化」していくんですね。
機器を設置して、各市区町村でCO2排出量をモニタリングする場合には、大きな設備投資が必要になりますが、ブログウォッチャーのデータを用いて、手軽に各自治体等でモニタリングができれば、着手のハードルが下がると思っています。
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人力でなんとかやり遂げていたものを、データで代替するというのは、私たちの得意分野でもあります。
- もう一つはどんな施策なのでしょうか?
二つ目は、エコな移動を促すための、行動変容を後押しすることです。望ましい行動変容というのは、環境に良い選択肢を取ることです。でも人間はつい、いつもの行動やいつもの便利さを優先してしまいがち。
だから、みんなが「エコ活動をもっと続けたい」と感じられることを、BWの位置情報データを通して、できないかと検討をしました。
消費者がエコなことをして、企業から「環境に配慮した行動をしているあなた(消費者)を応援します!」というコミュニケーションがあって、消費者がちょっとお得になる。これって効果的なことなのでは、と考えたんです。企業にとって、消費者に支持・共感される関係性を構築していくことは重要だと思いますし。
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運動を兼ねて歩いて行くか、いつも通り車で行くか悩んでいる人のところに、行きつけのカフェから「CO2削減応援キャンペーン!歩いて来店でフリードリンクをプレゼント!」というプッシュ通知が届いたら、歩いて行きたくなるかもしれない…。そんなちょっとした後押しにつながる「雰囲気作り」を通して、GXに貢献できたらと考えています。もちろん、実際に歩いて来店しているのかどうかについても、判定できるソリューションを弊社で提供していく予定です。
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- 位置情報データとGX、実はかなり相性がいいんですね!今回、お話を聞いたことの、その先の構想をお聞かせください!
今後は、移動に伴うCO2削減は、先ほどお話ししたマーケティングの文脈だけでなく、健康増進や、スマートシティによる高齢化対策などの文脈にも展開していけると考えています。
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いずれは、他の企業やソリューションと繋いでいきたいですね。カーボンクレジットや、LBMA Japanで計画しているL-GXポイントのように、CO2の削減に応じて現金やクーポン、エコマスター称号等を提供することを通じて、消費者にとって何かが還元されたり、企業にも見返りがあったり、持続したいと思える仕組みを作る。共通通貨を設けることで、飲食店のような個人消費者向けの業種だけでなく、業種・業態を超えて使用できる方法も模索したいと考えています。
そして「雰囲気作り」の一歩先に踏み込んで、営利組織としての企業の利益にも還元されるような、行動変容を促していけたらと思っています。もちろん、全部をブログウォッチャーが牽引していくわけではないですが、位置情報データでGXの動きに貢献することで、データを提供してくださっているユーザーの皆さんにも、位置情報データが社会の役に立ってることを感じていただけたら嬉しいです。