コロナ禍の小学校リモート授業を眺めて感じた”教育の型の未来”
今年の6月、マーケティング人材育成サービスを提供するグロースXの取締役COOになり5ヶ月ちょっとが経ちました。
日々の経営執行で走りながら、手を動かしながら、過去の経験から感じていたこの点が線になりつつあるConnecting the dotsな備忘録noteを。
教育コンテンツをデジタルで提供することの意味
ずいぶんと前に経験したコンサルティング案件で、BtoCの教育コンテンツをデジタルで提供している企業を支援させていただきました。その経験を通じて強烈な印象に残ったのは、教材をデジタルで提供することがもたらす価値です。
デジタルの教材で学ぶ現場では、ユーザーのあらゆるログがデータで残るようになる。その結果、ユーザーの解答にかかる時間や離脱のきっかけになった部分を特定できるようになり、教えかたが悪い箇所や、そもそもユーザーには理解が難しいテストの問いなど、悪問がわかるようになる。
いまいちな品質の箇所がわかれば、それを改善できるようになる。それを繰り返していくと、教習内容やテストの品質は高まり、ユーザーの学習の継続率はあがり、理解度はあがり、ユーザーの成果が出るようになる。
当たり前のようですが、これらはアナログな提供媒体=紙では到底できなかった細かさと速度で修正される。
「教材のデジタル化がもたらす便益とは、ユーザーのログに基づく永続的な改善で、教材の質と成果を高められること」だと強烈に印象に残った経験でした。
コロナ禍の小学校のリモート授業を眺めて思った気付き
コロナ禍に入り、非常事態宣言が発令された時期、当時小学生だった息子は学校の授業がリモートで行われるようになり、息子は毎日のように自宅でZoomで先生の授業を受けていました。
その様子を眺めていた自分は、「これ、今頃、日本中の学校の先生が自分のクラスに向かって、同じようなリモート授業しているのだろうな。労力を考えると、すごい重複のコストだな」と思いました。
更に言えば、大変不謹慎で先生方や雇用を守るという視点からは怒られるであろうが・・・
・そもそもリモートで授業をやるならば、その教科を教えるのが日本一うまい先生がひとりだけ授業を録画し、それを日本全国に展開してもよいのでは?
・その授業動画だけではついてこれない生徒に寄り添ってフォローするようなチューターや、生徒間の交流は別の仕掛けで担保できる補完機能があれば、リモート授業をやる先生役は多くいる必要はないのかも?
なんて思いました。(実際に、塾の人気先生のオンライン受講は、はるか昔からそのやりかたを実現し、成り立たせている)
ここで言いたいのは「学校の先生はいらない!」という短絡的で挑発的な話ではなく、「リモート授業であるならば、日本一その授業がうまい講師がひとりいれば成り立つ方法もありそう」という気づきでした。
教育の未来をずっと考えていた人からすると何も新しい話ではないと思います。ただ、体感として「すごい先生ひとりの授業録画を日本中に配信すれば授業が成り立つ可能性」を感じたことが個人的には印象に残りました。
グロースXのプロダクトに触れて驚いたこと
2021年1月、グロースXの創業メンバーであるCEOの津下本さんと取締役の西井敏恭さんに「前に構想を話していたプロダクトが形になってきたので株主になりませんか?」とお誘いいただき、人間的にも能力的にもリスペクトしていた経営陣と株主の会社だった(他の2名は西口一希さんと田岡敬さん)ため、二つ返事でプロダクトも見ずにYesと返事していました。
グロースXの株主になってから、企業向けマーケティング人材育成のプロダクトに触れて気づいたのは、まさに「デジタルコンテンツで教育を実施し、ユーザーのデータフィードバックによって永遠に改善される」という、これからの教育ビジネスの要件と思っていたことを満たしていたことでした。
「eラーニングならば、どれもそれは満たせるのでは?」と思うかもしれないですが、動画のeラーニングが中心の教材だとそうもいかない部分があります。
自分も講師として呼ばれ、録画・編集いただいて教材として展開された経験もあるのでよくわかるのですが、「この講座の、この部分はユーザーの反応が悪いから」と、講師を呼び出し直して、収録と編集をやり直すのを繰り返すというのは金と時間のコストが高くつき、意外に現実的ではないのです。
動画は動画だからこそ提供できる良さもあるのですが、テキストと画像が主体の教育コンテンツは低コストなことで、改善ループを永遠に細かく回せることの良さがあり、それが個人的に考える「今後の教育コンテンツの中心に据えるべきもの」の要件にハマって見えました。
グロースXのプロダクトをよく知らないという方、よかったらタクシー広告の動画をみていただければ。概要は雰囲気でなんとなくわかるかと。
要するに、グロースXのアプリで教える教育コンテンツは、Zoomのリモート授業で言うところの「日本一の講師のコンテンツ」を目指せば良く、そのためにPDCAを回しつづける、と理解できました。
実践的で全体感のあるマーケティング教習の模索
マーケティングの世界は、多くの素晴らしい書籍や講義が存在します。ただ、同時に、これほど多くの書物や講義がありながら、それをうまく理解し咀嚼し自分の業務に落とし込むのが難しいという声が多いのもマーケティングの世界です。
自分もマーケティング書籍の著者の端くれなのでよくわかるのですが、
・普遍性をもたせようとすれば抽象度があがっていき「わかりにくい」と言われやすく
・具体性を強く意識するほど、時代変化で陳腐化したり、業界や施策は無限のバリエーションがある故に「自分がやるべきことにぴったりフィット」と思う対象者は減っていく
・マーケティングと呼ばれる業務と施策の範囲は広く、しかも変化も早い
という難しさがあります。
もちろんグロースXもまだ正解を見いだせていないのですが、これまで350社以上に導入、1万2千人以上のユーザーの方に体験いただき、それらの方々のフィードバックによって
・多くの人には難解と感じてしまうアカデミックな説明によりすぎず
・かといって、現場の施策の細かなDoHowだけにも絞り込まず
・マーケティングの全体感と、重要な顧客理解と、各種4P施策の入り口の要点をおさえる
・変化の激しい施策やツールのUpdateは随時反映
そんなバランスの人材育成カリキュラムを目指し、日々改善を積み重ねています。
あと、もうひとつ。グロースXの発想で他と違うとおっしゃっていただき、最近理解できたことは・・・長くなりすぎたので、また明日更新予定の後編で話します(笑)
P.S
グロースXで社員と業務委託パートナーの方の募集に向けて、Zoomセミナーを開催します。
新しい人材育成コンテンツのつくりかた~そだてかた、人材育成サービスを超えて業績にインパクトを与えることを志向したい方には、多くの機会がある会社だと思います。ご関心ある方、ぜひ。
開催日:2022年11月15日(火)19:30~20:30
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