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データサイエンティスト書評「機械脳の時代-データサイエンスは戦略・組織・仕事をどう変えるのか?」

どーも、消費財メーカーでデータサイエンティストをやっているウマたん(https://twitter.com/statistics1012)です。

個人活動として、スタビジというサイトYoutubeチャンネルでデータサイエンスやビジネスについての発信をしています。

この記事では、「機械脳の時代 データサイエンスは戦略・組織・仕事をどう変えるのか?」という書籍について解説していきます!

この本では、どのようにデータサイエンスをビジネスに落とし込んでいけばよいのか、データとビジネスに関わる全ての人にとって重要な課題が述べられています。

データサイエンスをビジネスに活かすには、データサイエンティストだけでなく様々な関係者で作り上げていくチームプレーが必要なのです。

著者はマッキンゼー出身で様々なデータサイエンスPJを手掛けてこられた方でデータサイエンス研究所の代表をされています。

私自身、事業会社でデータサイエンスを用いたビジネス課題の解決をおこなっている身として非常に共感できる内容でした。

今までも人間の労働力は機械によって置き換えられてきましたが、考えること自体は依然と人間の仕事でありそれが代替されることはありませんでした。

現在起きている変革は、この「考えること」そのものの一部を機械が代替するようになるというフェーズ。

この時代を、著者は産業革命期になぞらえ「機械脳の時代」と呼んでいます。

この記事では、そんな「機械脳の時代」について3つのパートに分けて解説していきます。

・機械脳の時代と必要な人材
・機械脳でできること
・機械脳を作るABCDEフレームワーク

以下の動画でも解説していますよ!

機械脳の時代と必要な人材

まずはじめに機械脳の時代と必要な人材。

この書籍では、現代を機械脳の時代と独自の言葉で捉えているように、「機械学習の時代」や「ディープラーニングの時代」と呼ぶことに警鐘を鳴らしています。

もちろん最先端の技術も大事ですが、この時代を技術だけで捉えてはいけません。

産業革命を蒸気機関革命と呼ばないように、現在起きている革命は要素技術に関わるだけではなく社会の隅々まで及ぶ広範なものなのです。

要素技術にのみ焦点を絞ってしまうのではなく知能の担い手が変わる「機械脳の時代」と認識するべきなのです。

そしてこの機械脳の時代に必要な人材はデータサイエンティストだけではありません。

データをビジネスに活かすのは個人プレイではなくチームプレイ。

必要な人材規模でいうと、データサイエンスとビジネスの架け橋となれる人の方がずっと多いのです。

全員が統計学や機械学習の理論・エンジニアリング能力を身につける必要はありません。

データサイエンティストとある程度目線を合わせて会話をすることができ、その上でビジネス要件に落とすこめる人材が必要とされています。

機械脳でできること

続いて機械脳でできることについてみていきましょう!
この書籍では、機械脳でできること大きく3つに分けています。
・可視化
・分類
・予測
機械学習タスクでは分類・予測に最終的に落とし込まれますが、その前手にデータの正しい収集と可視化がないと始まりません。

ほとんどのソリューションがこれらの組み合わせにより生まれているのです。

例えばコマツ製作所のコムトラックスでは全ての重機にセンサーと通信チップを仕込み

重機の位置や稼働状況を把握できるようにしました。

いわゆるデータの可視化ですね。

これにより重機の盗難が減り、かつ重機の故障を予測することもできるようになり重機稼働を最適に保つことが可能になりました。

今まで取得できなかったデータを収集・可視化できるようにし、それを予測に活かしビジネスインパクトを生む、まさに機械脳の好例といえるでしょう。

これ以外にもこの書籍では様々な詳しい事例を挙げながらまとめています。

様々な事例を頭にインプットしておくのは大事ですが、自分のビジネス領域でその事例がそのまま使えることは多くありません。

自分のビジネス領域に転用して、どんな目的のためにどんなデータを活用するべきなのか考えていきましょう!

機械脳を作るABCDEフレームワーク

最後に汎用的に使いやすいフレームワークについてふれておきましょう!

実際にこの書籍では機械脳によるビジネス課題解決においてABCDEというフレームワークを用いています。

分かりやすいのでここでも取り上げておきましょう!

A:Aim 目的
B:Brain: 機械脳の種類
C:Coding プログラミング作業・実装
D:Data データ選定と整備
E:Execution 実行

データサイエンスのフレームワークで汎用的に用いられるCRISP-DMと基本的には同じ考え方ですが、まずはどのビジネス課題をどのように解決するかという目的が最も大事。

その上でどのようなデータが必要なのか、どんなアルゴリズムが有用かという議論をして、コーディング実装して実際にビジネスに落とし込んでいきます。

このデータを何かに使えないかな、や最先端の手法を使ってみたいななど、DやBから入るPJは成功するわけありません。

必ず目的から入りそれを実現するためのBCDEの要件を考えていきましょう!

そしておさえておいてほしいのがEの部分の重要性。

結局ABCDがスムーズにいってもExecutionの部分で現場とにぎっていなかったため実現できないというケースは多いです。

そのため社内でのプレゼンスを確立するための調整が必要になってくるのです。

ここまでで今の時代に起こっている実情と、データからビジネスに価値を生む事例や考え方をまとめてきました。

この書籍で述べられていることがデータサイエンスPJの現実であり今後既存産業が乗り越えなくてはいけない壁です。

これらを実現するためには全てを網羅的にできるデータサイエンティストが特別必要なわけではありません。

データサイエンスを活用したPJはチームプレイによって実現するのです。

自分は数学の素養がないからデータサイエンスは難しいと臆することなく、データサイエンスの素養を磨いて既存産業のデータ活用を推し進めていきましょう!

それでは、本日の覚えて帰って欲しいキーワード!!

いってみましょう!
・現在起きている革命を要素技術に関わるだけではなく社会の隅々まで及ぶ広範なものと捉えることが大事
・データをビジネスに活かすのは個人プレイではなくチームプレイでありデータサイエンスとビジネスの架け橋となれる人の需要も高い
・データをビジネスに活かすためには、まずは目的を明確にしてその後にどんなデータが必要なのか検討していくべきである

以上、データサイエンティストのウマたん(https://twitter.com/statistics1012)でした!

スタビジというサイトYoutubeチャンネルでデータサイエンスについての発信をしていますので、こちらもよろしくお願いします!

それではまた今度!
Let's statistics×bussiness「スタビジ」!



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