書評 大阪ガス河本さんの「最強のデータ分析組織」を読んで
どーも、消費財メーカーでデータサイエンティストをやっているウマたん(https://twitter.com/statistics1012)です。
個人活動として、スタビジというサイトやYoutubeチャンネルでデータサイエンスやビジネスについての発信をしています。
この記事では、「最強のデータ分析組織」という書籍について解説していきます!
著者は大阪ガスにて長年データ分析業務に従事してこられた河本さん。
前著の「会社を変える分析の力」という書籍が有名で、
なかなかデータ活用が進まない既存産業において早くからデータ活用を推進してこられた日本のデータサイエンティスト第1人者です
本著「最強のデータ分析組織」では、より組織作りにスポットを当てた内容になっており、
データ活用に強い組織になるためにはどうすればよいのか、
データをビジネスに活かすためにはどうすればよいのか、
語られています。
この記事では、そんな「最強のデータ分析組織」について私の経験もふまえて3つのパートに分けて解説していきます。
・データ分析に必要なマインド
・データ分析でビシネスに価値を生むために必要なこと
・データ分析組織が会社内でプレゼンスを発揮するまでのロードマップ
以下のYoutubeでも詳しく解説しています!
データ分析に必要なマインド
まずはじめにデータ分析に必要なマインド。
一環してこの書籍で語られているのは「データ分析はビジネスに活かされてはじめて意味がある」ということ。
データ分析をビジネスに活かすためには、「見つける力・解く力・使う力」の3つが必要だと河本さんは言います。
※河本さんは使わせる力という表現を用いていますが、自分も業務に介入していくイメージを持ってあえて使う力という言葉に変換しています。
データ分析というとどうしても解く力の部分だけが注目されがちですが、問題を解くだけでは価値は生まれません。
データ分析で得られた知見がビジネスの現場で役立てられてはじめて価値が生まれるのです
分析結果や予測精度がすごいこととビジネスに役立つことは全く違んです。
河本さんは、昔データ分析をして業務担当者に結果を持っていって
「すごい参考になりました!」という言葉をもらっていたらしいのですが、ある時気付いたそうです。
参考になりましたという言葉は、参考程度にしかなりませんでしたというネガティブな反応である、と
私自身、分かりやすい!参考になる!すごい!という言葉をもらいながらも結局ビジネスに貢献できないデータ分析を何回もしてきました。
データ分析をしてもそれがビジネスに貢献できなければ何の価値もないということはデータ分析を生業とする人間として必ず胸に刻んでおきましょう!
データ分析でビシネスに価値を生むために必要なこと
それでは、ビジネスに価値を生むデータ分析をするためにはどうすればよいのでしょうか?
データ分析というとPCに張り付いているイメージがあるかもしれません。
しかし、それでは見つける力と使う力は発揮できません。
だからこそデータ分析官は受け身の姿勢ではダメなんです!
自分からガツガツ業務担当者にヒアリングして課題を抽出する気概がないと努まりません。
業務担当者へのヒアリングが必要な理由は大きく2つ
・課題設定をしっかりすり合わせておくため
・現場に導入する時に腹落ちしてもらうため
課題設定をしっかりすり合わせておく
1つが課題設定をしっかりすり合わせておくということ。
データ分析チームだけで議論をしていても、そもそもの課題が抽出できない場合も多いですし、課題を間違って設定してしまう場合も多いです。
書籍の中でも取り上げられていますが、仮に1ヶ月先の予測じゃないと使えないのに、1日先の高精度の予測分析をしても業務フローに載せられません。
ある特徴量を調整することで出力の異常を抑えることができたとしても、その特徴量がアンコントローラブルであれば意味がありません。
このようにしっかりビジネスに活かすためには机上の空論ではダメなのです。
現場に導入する時に腹落ちしない
また最終的に導入する際の現場の腹落ちも非常に重要。
ヒアリングをしっかり行わず、データ分析チームだけで進めた分析課題を
最終的に現場に導入しようとしても、現場はなかなか納得しないでしょう。
最初から業務担当者とデータ分析チームで課題を出し合い、ゴールの認識合わせをしてその上で腹落ちしてもらう必要があります。
データ分析組織が会社内でプレゼンスを発揮するまでのロードマップ
さて、ここまででデータ分析に必要なマインドやビジネスに活かすために必要なことについてまとめてきました。
とはいえ個人がそのようなマインド・スキルを持っていても組織として強くなれるわけではありません。
データ組織が会社内でプレゼンスを発揮するようにするためにはどうすればよいのでしょうか?
河本さんは、最初は雑用・御用聞きからはじまったと言っています。
ここは非常に共感出来ます。
データ分析は他の業務と違い成果が可視化されにくく、最初から提案をしてもなかなか相手にしてもらえません。
そこでまずは、相手の困っていることを単純な集計業務のような雑務でも引き受けてあげる。
目に見えて相手の役に立ってあげることが大事です。
しかし、ずっと御用聞きでは存在価値はありません。
徐々に課題を見つけては提案をして主体的に分析業務を請け負うようにしていきましょう!
もしその提案によって大きな成果が出れば、徐々にプレゼンスが高まっていくことは間違いないでしょう!
プレゼンスが高まってくると様々な分析依頼が舞い込みます。
しかし、そこで重要なのは負け戦は選ばないことと上手く手離れさせていくこと
リソースが限られているため、全てのデータ分析に手をかけられるわけではありません。
そこで負け戦になりそうなデータ分析は丁重にお断りしましょう!
負け戦に該当するものはこのようなもの
・現場担当者の本気度が足りない
・どれだけ頑張っても得られる効果が小さい
・素晴らしい予測をしても行動できない
あくまで、しっかり効果が出て現場が動きビジネスに落とし込める未来が見えるデータ分析課題に取り組むようにしましょう!
また手離れさせていくことも重要です。
なるべく会社全体としてのデータリテラシーを高めるために
事業部門でもできる分析は断る
事業部門自信のデータ分析力を高める
ようにしましょう!
ビジネスは土俵ではないからデータ分析に従事しようとするのではなく、ビジネスの現場を駆け回って自分もビジネスに介入していくことがこれからのデータ分析官に求められることなのです!
フットワークが軽く現場担当者と距離の近いデータサイエンティストが、既存産業にデータで改革を起こすためには必要。
是非データからビジネスに価値を与えられる人材になってください!
それでは、本日の覚えて帰って欲しいキーワード!!いってみましょう!
・データ分析をしてもそれがビジネスに貢献できなければ何の価値もない
・課題設定のすり合わせと現場導入のためにしっかり業務担当者へのヒアリングを行う
・強固なデータ分析組織を作るためには、御用聞きから提案そしてデータ分析課題の取捨選択と手離れが重要である
以上、データサイエンティストのウマたん(https://twitter.com/statistics1012)でした!
スタビジというサイトやYoutubeチャンネルでデータサイエンスについての発信をしていますので、こちらもよろしくお願いします!
それではまた今度!
Let's statistics×bussiness「スタビジ」!