【書籍要約・紹介】戦略的に休養する方法:うつ病・適応障害などの精神疾患にも良いと思った本
日本人の休暇に対する考え方、世間的な見方は、諸外国とは全く違うと思います。そもそもの休暇の発想がだいぶ違います。
日本人はうつ病や適応障害で仕事や家事を休んだとしても、適切な休養ができていないことが多いようです。適切に休めないと、全く効果が無いどころか、逆効果になり、なかなか治療が進まないかもしれません。
そこで、この記事では休養について、オイラが参考になった「休養学―あなたを疲れから救う」をご紹介いたします。
※こちらの本は既に「うつライフの初診の診断や通院をご紹介」でもご紹介していますが、今回は要約と共にご紹介します。
※注意
うつ病の急性期と呼ばれる診断直後などの時期は、読書は全くできないと思います。できたとしても全く頭の中に入ってこないと思いますので、ご自分が読書が問題なくできるようになるまで、無理に読書はしないようにしましょう。
その休み方、古くないですか? ~休養の仕方をアップデートする~
休暇というと何を思い浮かべるでしょうか?
色々思い浮かべると思いますが、恐らく大半が「疲労を回復する」ことが目的になっていると思います。
一方で、脳の疲労を実際に回復させることを意識している人はいますでしょうか?恐らくほとんどの人が考えたことも無いかと思います。
オイラもそうでした。脳に疲労なんてあると思っていなかったんで、頭を休めるなんて考えてもいませんでした。
だから髪の毛薄いのか?(え?
実はこれまでの日本人の休み方は、昭和時代からさほど変わっていません。環境やできることが変わっただけで、疲労を取り除くことを主眼としていて、疲労を感じなかったら遊びに行く、または家族サービスでどこかへ行く、ということぐらいだろうと思います。それは、休むことが「肉体が感じる疲労」を取り除くことが目的になっているからです。
そのあたりのことを詳細に説明し、これからの余暇の考え方や取り組み方を説明している本がありました!
著者の片野秀樹さんは、一般社団法人日本リカバリー協会代表理事であり、「休養学」と言う学問を提唱されていて、日本で軽視されている疲労と休養について、本書で詳しく解説されています。
それでは、書籍の要点をかいつまんで、いくつかご紹介します。
1.休み方が現代に合っていない
現代社会はデジタル化が進んだおかげで、パソコンで仕事をすることが多く、座りっぱなしで頭だけ使う仕事が多くなりました。
便利な反面、アナログ時代にあった客先に出向くなど、仕事上で必要な移動なども省略され、Web会議やメールやチャットのやり取りのみで完結する仕事が急増しました。
印刷コスト削減などのためペーパーレス化が進み、すぐそこのプリンターへさえも歩かなくなり、何ならトイレ以外は席を立つことさえ無くなってきました。
あらゆることが効率化され、その空いた分にWeb会議などが入ってきます。チャットで連絡を取り合うことも珍しくないため、すぐに返さないと何となくストレスになる事も多く、ちょっとした隙間時間に息をつく暇もありません。(Web会議中にチャットを返すなんてこともありました)
こうした中で、肉体疲労を取り除く休暇の仕方をしても、あまり意味がありません。それどころか、肉体的な疲労は無いのになぜかだるい、なんてことも起こり得ます。
単に肉体を休ませるだけでは、疲労は取れないと著者は言っています。
これってまさにうつ病の時と似てませんか?何も考えてないのに疲れ切ってしまっている。このような状態に陥りやすい時代なのかもしれません。
オイラは「お前何も考えてないな!」とよく言われるのはこのためだったか?(え?
2.休むことのマインドセットを変えよう
諸外国に比べて、日本人は意外と休んでいるほうだと著者は言っています。しかし、著者が運営する日本リカバリー協会の調べでは、約8割もの日本人が疲労しているということです。これは、日本人の休み方が諸外国と違うことが挙げられます。
8割ってヤバいですよね?日本人のほとんどの人が疲れているって、それこそ非常事態ですよね。
諸外国は家族や恋人などと余暇を楽しむこと、運動やスポーツをすることが余暇にすることで上位に挙げられる一方、日本は「何もしない」あるいは「寝ているだけ」が上位に来るそうです。
諸外国に比べて何もしないことを休暇と考える日本人は、肉体疲労を取ることが目的となっているようです。
しかし前述した通り、疲労の質が大きく変わったために、身体は疲れていないのに、頭は疲れていることが多く、結果的に肉体にも疲労感が残るようになっているらしいのです。
この「頭が疲れている」状態を引きずったまま働くと、脳がオーバーヒートを起こす気がします。ただでさえ前述したような忙しない時代なのに、人間関係やその他の要因でストレスがかかり、うつ病などの精神疾患につながるように思えてきました。
今度から熱さまシートを貼って寝ようかしら?www(そうじゃねぇよ
3.フィットネス疲労理論を意識しよう
フィットネス疲労理論と言うのをご存じでしょうか?いわゆるオーバーワークと言われる、負荷をかけ過ぎたがために逆効果になってしまう現象です。これが疲労にも適応できるというお話です。
スポーツの世界で、自分が出せるパフォーマンスを式で表すと
「パフォーマンス = 自分の体力 ー 疲労」
となります。
例えば朝起きたばかりの時が体力100としましょう。
会社に出勤して仕事をして20くらいの疲労感を感じたとすると、パフォーマンスは100 ー 20 = 80 になります。
つまり、疲れたらその分パフォーマンスは落ちるということです。
ところが、疲労感は一時的に忘れることができるそうです。この結果、朝が100なら一日中100のパフォーマンスが出せると勘違いするそうです。
これは怖いですよね。勘違いしているのに「自分はまだやれる」と鼓舞して頑張ってしまうのは、日本人が好きなセリフで好きなシーンだと思いますが、世界的に見たらナンセンスなんですよね。
諸外国は疲労を感じたらそれ以上は無理をせず、ストレッチやマッサージなどをして終わらせます。肉離れや大きなけがにつながることを考えたら、正しい判断だと思います。
しかし、休養を理解しているアスリートでさえ、時にトレーニングを休めなくなることがあるそうです。
皆さんは超回復理論を聞いた事は無いでしょうか?激しいトレーニングの後に一定期間休養をすることで、トレーニング以前より身体能力が上がるというものです。
これが回復していないうちにトレーニングをしてしまうと、パフォーマンスが低い状態からスタートすることになり、トレーニング前よりパフォーマンスはさらに下がります。
それでも休まずトレーニングを続けることにより、さらに低いパフォーマンスでトレーニングをスタートさせるので、下り階段を下りるようにパフォーマンスが下がり続けていきます。これを繰り返すことをオーバートレーニング症候群と言います。
ビジネスパーソンはアスリートのようにトレーナーはいません。そろそろ休むべきなどとコントロールしてくれるわけが無いのです。ですから自分でペースをコントロールしなければ、オーバートレーニング症候群になってしまうと著者は説明しています。
いや~、筋トレが趣味なのに全然理解していなかったです (;^_^A
なぜか脳は別に考えてしまうし、疲労は肉体的なものだと思っていたので、身体を休めたら「休んだ」と思っていたのですが、全くダメダメでした。
確かに、適応障害と診断される前は、土日2日間休んでも、全く足りないと思っていました。頭の中を休ませることができてなくて、全く疲労が取れなかったんだと思います。
このほかにも、疲労による損失額の説明や、最高の「休養」をとる7つの戦略、眠るだけでは休養にならないなど、もう目からウロコな情報が満載でした。
私はkindle版を読んだのですが、紙の本を手元に置いておこうかなと思うくらいです。
うつ病などの精神疾患で休養が必要な場合は、非常に参考になると思います。また、ご家族にも読んでいただけたら、きっと有益だと思います。
ご興味がありましたら、ぜひご一読ください。