YOU&IDOL
ホテルを出た後、ファミレスに入って昼食を食べた。ずっと手を繋いでいた。
ファミレスに着くと現実に戻ってきた感じがした。
俺はビールとつまみを頼んで、彼はランチセットを頼んだ。
俺があまりにも料理を頼まないから
「お腹空いてたんじゃなかったの?」
と笑っていた。
彼が沢山食べているのを見ているだけで酒が飲めた。もっと食べさせたくなった。見つめると戸惑っているようでそれも可愛かった。
駅に戻って、あてもなく散歩をした。
雑貨屋を冷やかしたり、本屋で漢検の本を探したりした。一緒に勉強しようと約束した。
アクセサリーショップで、ピアスを選んでもらった。
彼が帰らないといけない時間になった。
彼は帰りたくないと拗ねた顔をしていた。多分俺もしていた。
彼の最寄りまで送っていくことにした。
電車はすごい人だった。頭が痛くなってきて自分の身体にむかついた。彼は俺に座席を譲ってくれた。
どんどん人が減って、お互いに無口になった。見つめ合っては肩に頭を乗せ合って、ずっとこのままならいいのにと思った。
「好きだよ」
と言われた。また夢みたいな心地がした。
俺もだよと答え彼を見ると、泣きそうな顔をしていた。抱き締めそうになった。俺も泣きそうだった。
電車の中でキスされた。我慢できなかったようで可愛いなと思った。また優しいキスだった。
駅に着いて、改札の前まで送っていった。
最後にハグをした。
「また会いに来るまで死ぬなよ」
「死なないよ」
そう話した。別れ際にまたキスをした。
今度は長かった。
その後1人で飲みに行った。1人なんて慣れているのに、その日は何だか悲しかった。
自分が何をしたいのか更に分からなくなった。
ネカフェで泣きながら寝た。