決戦の地はスナック。地域の闇をくぐりぬけるための「〇〇の指輪」
地域おこし協力隊から地域の起業家へ
前のnoteから少し時間が空きました。仕事で「地域おこし協力隊から地域の起業家へ」と題したイベントを行い、その準備などに時間を取られていました。
イベントはタイトルの通り地域の中で「協力隊」⇒「起業家」になるために何が必要か?を解説するもので、協力隊経験者の実例をもとに「お金」と「時間」の使い方を中心に私が説明をしました。
準備を進める中でこのnoteのテーマについてもたくさん考えました。これまでは「闇」の部分を話題にしてきましたが、大事なのは「光」でも「闇」でもなく「その間の歩き方」だと思っています。今回はその部分で書いてみたいと思います。
私と地域おこし協力隊の共通点
最初のnoteで書いたように私は地域おこし協力隊ではなく、受け入れる側ですので立場的には逆と言えば逆です。でも、行政からお金をいただいている点と都会(私の場合は東京)から拠点を移して町に入り活動する点は共通しています。
私は実家は山口県の下関市で、大学で静岡へ、そして社会人になってからはほとんど東京(2年ほど神奈川)で働いていました。東京での仕事は約20年で田舎では仕事をしたことはありませんでした。もちろんこの地域に知り合いはゼロです。厳密には出張ベースで2年ほど関わっていた町ですので、担当の役場職員の方は知っていました。この辺も協力隊になる方が、まずは窓口になる役場職員とつながるのと共通だと思います。
ただ、ひょっとすると協力隊よりも少し不利なところもあったかもしれません。「地域おこし協力隊」という名前が引き寄せるものについてnoteを書きました。確かにその名前がゆえにいろいろとやりにくくなる側面はあるのですが、「協力」とついていますので最初の入り口時点で「敵」と認定されることはまずないかと思います。
ですが、私のように企業の人間として地域に入る場合は「地域外の企業乗り込んできたぞ」と警戒される可能性があります。事実としてすごく冷たく当たられましたし、アウェイだなと思いながら仕事をしていました。
そして私が地域に入って4年半、会社としては7年半になりますが、今現在、私はとても楽しくこの地域で仕事をさせてもらっています。まさにホームです。この事実が私なりに「光と闇の間の歩き方」を書けるのではないかと思わせています。
勇者よ地域ダンジョンをクリアせよ
地域おこし協力隊は、地域という名のダンジョンにアウェイから入って進み、ホームにたどり着く、そんなミッションを王様から与えられた勇者のような存在です。
ダンジョンの中でさまざまな困難を乗り越え出口にたどり着くには何が必要か?さまざまなスキルやアイテムを駆使して乗り越えていく。RPGでは剣や鎧といった武器防具、そして薬草などの回復アイテムや指輪のような属性強化アイテムなんかがあります。
地域ダンジョンを攻略するためには自分の武器をしっかり使うことです。武器とは「好きなこと」や「得意なこと」になります。加えてダンジョン攻略のルールをしっかりと知っておくことも大切です。どんなゲームもルールがわからなければクリアはできません。
好きなことから始まる
私は小さいときからゲームが好きで、小さなときにゲームプログラマーになりたいと思い、実際にコナミ株式会社に入社し(もう25年も前ですね)ゲームプログラマーになりました。実は今ここで働いているのもあるゲーム企画がきっかけです。
中学校の同窓会では「ほんとにゲームばかりしてたよな」みたいなことを言われます。今はほとんどゲームをしないのですが、当時は攻略本を見ながらいろんなゲームをクリアしました。
ちなみに完全に余談ですが、私の世代はRPGと言えばドラゴンクエスト(ドラクエ)です。中学生のときにドラクエに出会い、夢中になって遊びました。社会人になり転職し、最後にフリーランスになったのですが、そのときに初期のドラクエ(1~4くらいの時期)制作メンバーと出会い、一緒にゲームを作る機会にも恵まれました。そしてその制作費を出してくれたのはポケモンを制作している会社でした。
話を戻します。小さな頃大好きだったゲームですが大学生になったあたりから少しずつゲームをしなくなりました。親元を離れ同世代の友達と一緒にドライブにいったり、ボウリングをしたり、飲みに行って歌ったり、そんなことが楽しかったです。
カラオケとの出会い
私はカラオケが好きです。大学時代は「B’z」をひたすら歌っていました。もちろん「ミスチル」も「ラルク」も「GLAY」も。流行った歌はとにかく歌いました。
今でもカラオケを歌います。最近では復活してついに新曲を出したELLEGARDENがお気に入りです。2022年9月8日リリースの「Mountain Top」は絶賛ヘビーローテーション中です。
そんなカラオケ好きな私ですが、カラオケに出会ったのは大学生になってからです。地元の下関では、カラオケボックスは高校生くらいのときから出始まりましたが、「人前で歌うなんて…」と思っていましたし、ちょっと「不良の人たちが行くところ」的な印象もあり、私は行ったことがありませんでした。
なのですが、私が大学に入学したころはカラオケが大流行り。飲みに行って2次会は毎回カラオケ。もちろん持ち歌は無いですし、歌うのも恥ずかしいしで夏休み前までは一曲も歌いませんでした。歌えませんでした、が正しいですね。
夏休みに練習
大学生になって友達はできたけど、2次会でカラオケにいくたびに気まずい。歌うのは恥ずかしいけどいつまでも歌わないわけにもいかない。そう思いました。
そして私は夏休みに実家に帰りました。表向きの名目は「車の免許を取るため」です。実際に車の免許もしっかり取得しましたが、もうひとつの目的は「歌える歌を持つ」ことでした。
教習所の通う時間、家に戻ってからの時間、とにかくウォークマンで聞きまくりました。みんながカラオケでいつも歌っている曲を何度も何度も聞いて、口ずさんで覚える。
サークルの先輩たちやクラスの仲間ともっと打ち解けたい。車に乗るには免が必要ですが、二次会のノリにはカラオケが必要でした。そして2次会でノリたかったです。
そうやって覚えて、初めて歌ったときには「おっ、歌うんだ」と周りが喜んでくれたのと、音程を外してしまったことは懐かしい思い出です。歌ってみると声が高いみたいで流行りの歌とキーが合うらしく、それなりに歌えたのですっかりはまってしまいました。
地域ダンジョンのクリアルール
今回のnoteは私のカラオケトークではなく、地域ダンジョンのクリアの仕方です。
ゲームにおいてダンジョンクリアにはボスを倒すことがお約束ですが、地域ダンジョンでは「ボスと仲良くなること」がルールです。もちろん戦って勝つこともできるのかもしれませんが、私はその辺は池井戸作品の鑑賞で満足することにして、仲良くなる方をお勧めします。
そして仲良くなるべき相手を見極める必要があります。私の場合は冒頭で述べたように「外から来た企業のやつ」と見られるわけですから、地域で長年会社経営をしている社長さんたちと仲良くなれればいいです。
ダンジョンでボスと戦う(仲良くなる)にはボスのところまで行く必要があります。地元企業の社長さんたちはどこにいるのでしょうか?
決戦の地はスナック
地域の社長さんたちが集う場所。ボスの巣窟はずばり「スナック」です。ここが決戦の場です。
ここが自分の武器を使うところです。私はカラオケが好きなおかげでスナックで歌うことに抵抗はありません。学生時代から磨いてきたこの武器をしっかり使えばいい。
ところで、地域の社長さん達は皆さん自分の父親と同じような世代です。
ボスが集うこの空間で流れるカラオケは演歌が中心です。曲を知らないだけでなくそもそも歌っている歌手の名前もわかりません。私のカラオケ歴は大学に入ってからです。小中学生のときも歌番組みるよりはゲームをしていました。
5時間でもひとりカラオケできる程度にはレパートリーはあるのですが、B’zもミスチルもここでは役に立ちません。ELLEGARDENなんて歌おうものなら(英語の歌でもありますし)全くもって空気の読めないつまらないやつになってしまい、仲間になるどころではありません。
そして再び「夏休み」へ
私は大学生のときの夏休みをもう一度やるんだなと決めました。井上陽水、玉置浩二あたりは少しは聞いたことがありましたし、桑田佳祐ならボスな皆さんも知っているようなので、それらを覚えようと思いました。
ウォークマンからスマホのアップルミュージックに時代は変わりましたが、やることは変わりません。プレイリストは「スナック練習用」。あのときとった免許のおかげで運転することができる車の中に昭和の名曲が流れます。
今ではそうやって増やした昭和なレパートリーをいくつもボスたちの前で歌えますし、「あれ歌え」みたいなリクエストをもらうこともあります。
そんな私が私が一番最近覚えた曲は「ルビーの指輪」(寺尾聡 1981年2月5日リリース)です。昨日忘年会の席で歌ってきました。初披露で最初の何小説家音が取れず外してしまったのも30年前と同じです。でも、たくさん拍手いただきました。ちゃんとその場にノレました。
逃げれば追いかけられる、どうせなら懐に飛び込む
地域ダンジョンの攻略には指輪を使おう(歌おう)とする気持ちが必要です。自分の好きなことと相手の興味のあることの接点を見つけて、ほんの少し努力する。
郷に入っては郷に従え、よりは、虎穴に入らずんば虎子を得ず、で私はボスの集うスナックに飛び込みました。
相手に合わせなくてはならない、と思うとイヤな気持ちになりますが、「仲良くなりたい」そう思えば楽しめます。
そして仲良くなると本当に地域が楽しくなります。ダンジョンを抜けるとそこはホームだった。そんな景色が待っています。
私が仲間になるべき相手は父親と同世代の年配の方々でした。そこと仲良くなるために私は自分が好きなカラオケもお酒も使えました。そして意図的に使いました。
あなたはカラオケもお酒も苦手かもしれません。でも、きっと何かはあるはずです。スマホやパソコンの使い方を教える機会があるかもしれません、何か地域のコミュニティに入って行事の運営を手伝うことはきっとできると思います。そういう少しの努力は必要です。ちょっと退屈ですけどRPGにレベル上げは必須です。
曲を覚えるために何度も聞き、口ずさむように、少しずつ繰り返してレベルを上げましょう。そのうち地域ダンジョンの攻略に必要な、あなたにとっての「〇〇の指輪」が見つかると思います。
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