おばちゃんは見ていた!
〜私の実家で、私達家族が父と同居を始めてからはや18年。住んでいる町内は、回覧板を回す20世帯程を一括りに幾つかの組に分かれている。私が住む組は丸山5組だ。当時を思い出しながら、優しく愉快な住人との懐かしい思い出を綴っていこうと思います〜
私の父は、綺麗好きだ。同居するにあたり、2階に増築した父の部屋を掃除するのはずっと父である。
庭掃除、植木の選定、大掃除に至っては「外回りはお父さんの仕事」と庭は勿論、雨戸、網戸までしっかり洗う。
母が生きている頃、聞いた事がある。「あんなに綺麗好きで嫌にならん?」
母は言った。「何言ってるの。綺麗好きだから助かるの。どんどんやらせたらいい」
母強し
布団を干すのも父だ。父の部屋のベランダに父自ら布団を干す。黄砂、PM2.5予報まで確認してから干す。
私は、晴れたら2階のベランダに私達家族4人分の布団を干す。ちなみに黄砂、PM2.5までチェックはしない。
その日も、布団を干し終えて、ふぅっと下を見ると、おばちゃんがこちらを見ていた。
私は2階から声を掛けた
「おはよう!いい天気やね」
おばちゃんは叫んだ
「美和ちゃん!お父さんの布団も干さんな!」
な、なんと!
想定外
今日は黄砂かPM2.5が多い日なのであろう。父は布団を干していなかった。
おばちゃんはいつも不思議だったのだろう。こっちは干してあっちは干してない日がある。何故お父さんのは干さないのだろう?と。
ベランダ越しになぜか必死に説明する私
おばちゃんは安心したように
「そうかねぇ、良かった、よかった」と帰っていった。
家政婦は見た!ならぬ
おばちゃんは見ていた!
あれから時は過ぎ現在父は、82歳。今も健康だ。掃除、布団干し、植木の選定、雨戸、網戸洗いもしている。
ゴミ出しも父がやってくれる。私が朝まとめておくと、最後に父が庭周りのゴミ(枯れ葉、抜いた雑草など)を詰めて出してくれる。
「重いけいいよ」と言う。
こうして父がしっかりしているのは、私がいつまでも頼りないからか⁈と思わなくもない日々である。
あぁ丸山5組!
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