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これ以上不幸にならないために


2年ほど前、ふらっとギリシャに行ってきたんだけど、紅の豚のモデルにもなったナヴァイオビーチに、半裸のギリシャ人に混じってボーッと立っていたら、突発的な青海波に襲われて、携帯とiPadを飲み込まれちゃったんだ。さらには、デジタルカメラのSSDを上書きしてしてしまい、思い出は頭の中にしか残っていないという情けない状況で帰国した。

その後、iPadはアテネで中古のものを購入し、携帯は日本で買い替えたんだけど、デジカメのデータだけは復旧できなくて、自宅の物置に収納されたままでいたんだよね。

最近、ひょんなことからデータ復旧ができたんだけど、パルテノン神殿とナヴァイオビーチの動画データだけ復旧できない。
やっぱり一番記録しておきたい思い出は、頭の中にしか残せないものなんだな、とようやく諦めがついたんだけどさ。

ところでこれは、不幸な出来事なのだろうかね?
一般的には、きっとそうなのだろう。

でも、これから、もっと悪くなるとしたら?
悪いことが起こり続けるとしたら?
まだ、今はいい方なのかもしれないよ。

鬱病の人には、「明けない夜はない」とか「悪いこともあれば、必ずいいこともあるさ」とか言うとといいってされているけどさ、
これ以上不幸にならないためには、最悪の事態を想定するってのも大事なんじゃないかね。
結果的に、思ったより悪くなかったなって思えたなら御の字じゃない?

『サザエさん』を観て、自分の家庭環境を比較したら
何だかおれんち狭いなぁとか思って、不幸になるやつは多いけど、
『戦場のピアニスト』とか『マッドマックス』観てから
自分の住まいを鑑みたら、
すげぇや、水が出る! ガスも出るぞ!って感動できるじゃない?

約10年前、ギリシャ政府は借金が返済できなくて破産したんだけど、
経済学者達は、日本は状況が違うから大丈夫だって言い張ってるよね。
でも、大丈夫だと思って安心してるとこに起きたら目も当てられないよ。

さっきの理屈でいうなら、最悪の事態が起こる想定をしてたほうが、いざという時慌てずに済むと思うんだけどな。

こういうことを大っぴらに言うと、すぐ「お前は無知だ」と断罪する人が現れるけど、最悪の事態はその比ではない。

これからもっともっと生き辛くなる。
深い諦めと似た覚悟がいるほどに。
誰もがいつか死ぬのと同じように。
最悪の事態は、意外と予定調和の中にあるのかもしれない。
でも、明日を生きるのに足る力が欲しい。

それには、自分をうまく騙して、今を生きやすくする術。
これを早急に身に着けるべきだと思うんですよ。

だって、俺たちはとっくに「保身の帝国」にいるんだからさ。


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