視覚障害当事者は『ラストマンー全盲の捜査官ー』をどう見たか? その2
※こちらは、『ラストマンー全盲の捜査官ー』1話目放送終了後に行われたTwitterスペースの内容を書き起こして記事にしています。
4部構成の2回目は、皆実さんが使用している白杖や機器のこと、そして皆実さんに対する周囲の対応などについて語っておりますのでどうぞご覧ください!
第1回目はこちら↓
参加者:和久井香菜子(和久井)、松田昌美(まちゃみ)、小林直美(なおみ)、角川よりこ(よりこ)
スタッフ以外のお客さま:(ゲスト1)(ゲスト2)
推しと同じ白杖がほしい
【なおみ】推しが白杖を持っている姿を見られる日が来るとは思わなくて感動的でした。ましゃが白杖持っていると思ったらうれしくて。
【まちゃみ】知ってる俳優さんとかだと萌えるよね。
【なおみ】同じ白杖を探さなきゃ。
【まちゃみ】やっぱりそうなんだね。我が家では絶対なおみさん、同じスペックの白杖が欲しいだろうねという話をしてたよ。
【なおみ】そうなのよ。私は今シンボルケーンの細いタイプだから、普通の太さの白杖を持ちたいと強く思いました。
【まちゃみ】買うのはいいけど、ちゃんと使うの?
【なおみ】日常では使わなそうだけど、遠出のときや初めて行く場所でなら使うかもしれない。
【ゲスト2】雅治さんが大きいせいか白杖がものすごく長く見えると夫が言ってましたよ。
【まちゃみ】長いんだ。
【なおみ】速く歩く想定かな? ましゃの身長は181cmだから私たちのものよりも長そうだよね。
【まちゃみ】それは長いだろうね。
【なおみ】自分の白杖に30cmプラスってこれくらいかと妄想してニヤニヤしてました(笑)
【まちゃみ】最初のほうで、警察の中で椅子に腰掛けて説明を受けているとき、白杖がひかかって座りにくそうでしたもんね。
【ゲスト2】折りたためないタイプだったのかな?
【なおみ】音声ガイドで折りたたみ使っていると言ってたよ。
【まちゃみ】腰掛けるときは白杖をたたむんだぞと思いながら見てました。
視覚の代わりになる「アイカメラ」、実際にはあるの?
【まちゃみ】そういえば、あの耳にかけてたカメラ、あれ欲しくない?
【なおみ】あれすごいね。誰かにつないで見てもらって、何時の方向に誰がいますと言ってもらえるなんて、めっちゃいいよね。
【まちゃみ】しかもガイドがすごい完璧だった。
【なおみ】すごいよね。アイカメラと言ってたね。
【まちゃみ】欲しい!
【なおみ】あれって現実に使っている人いるのかな?
【まちゃみ】ドラマの中だけのものかな? あってもすごい高そうだけど、使えるんだったら使ってみたいね。
【なおみ】便利そう。
【和久井】オーカムマイアイが近い感じですよね?
【なおみ】あれでもできるのかな?
【和久井】オーカムも人を認識してましたよね。
【なおみ】してました、してました。確かオーカムは、登録しておくと人の判別ができるんですよね、だから視覚障害者だけじゃなくて、人の顔を覚えられない人も使えると、まえに和久井さんと体験に行ったときに言ってましたよね。
【和久井】そうですね。他にもエンビジョンの製品を体験したことがありましたけど、指を指した文字を読んでくれていました。
【なおみ】すごいな。私今度オーカムのロービジョン用体験に行ってきます。何がロービジョン用なのかすごく知りたくて。
【まちゃみ】従来のものとどう違うんだろうね。また感想聞かせてください。
意外と知られていない、視覚障害者のアテンド方法
【なおみ】あと大泉さんがガイドしているシーンで、前から両手で皆実さんを引っ張っていたのはあるあるだよね。
【まちゃみ】あるある。「そんな介護しなくていいよ」と思う。
【なおみ】よくやられますけどね。
【和久井】ガイドのやり方を知らない人っているんですね。
【まちゃみ】います。
【和久井】あんなふうに、「1、2、1、2」とやられるのですか?
【なおみ】さすがに「1、2」までは言わないけど。
【まちゃみ】でも両手で手引きされることは結構あります。
【ゲスト1】ありますよね。
【まちゃみ】普通に手をつながれることもあります。
【和久井】知らない人にいきなり手をつながれたくないな……! 両手を持たれたということは、相手は後ろを向いているんですか?
【まちゃみ】もしくは斜めからの人もいます。
【ゲスト1】後ろから押す人もいるし、白杖を引っ張られることもあります。そういうときは「すみません、白杖は持たないでください、腕を持たせてください」と言います。
【和久井】そこから説明しないといけないのか……。
【なおみ】白杖を突然パッと持って、私が動かすべき杖をその人が動かしちゃうんですよね。
【よりこ】あるある。その人が白杖を動かして「トントン、ここに段があります」って階段を叩いたりとか。
【まちゃみ】あとはね、バッグのストラップをぐいっと引っ張られることもあります。これも怖いです。
【よりこ】ありますね。
【和久井】なるほどね。こないだガイドしたときに、何にも言わずにエスカレーター乗ってしまい、相手が手すりのところにドスンとぶつかってて、さすがにごめんと思ってたんだけど、今の話を聞いたらそのぐらいなんでもない気がしました。
【なおみ】そのくらいのことならよくありますね。
【まちゃみ】段差とかも降りる寸前に「段差です」と言われることもよくあります。
【よりこ】降りてから言われることもあります(笑)
【まちゃみ】あるある(笑)
【和久井】段差の場合はガイドが半歩先を歩いていると分かると言われるけど、どうなんですか?
【ゲスト1】腕に捕まっていれば分かります。
【まちゃみ】私はそうかなというのが分かるぐらいかな。
【和久井】30年ぐらい前にイベントコンパニオンの研修を受けたとき、視覚障害者のガイドは二の腕辺りを持ってもらって半歩前を歩くと、ガイドが段を降りたときに、その段の高さが分かると習ったんですよ。あと狭いところへ行ったらちょっと腕を後ろにするとか。
【なおみ】縦になるんですね。
【和久井】そうそう。今考えるとその研修は結構進んでいたのかもしれないです。
【まちゃみ】そうですね。しかもコンパニオンの研修で。
【和久井】そういうイベントに視覚障害者が来るという前提で研修が行われていたんですね。
【なおみ】来る想定をしてくれているのがうれしいですね。あと移動の面では、「知らないところを歩くのは冒険なんです」と言っていたシーンがありましたが、これもめちゃくちゃ分かります。
【よりこ】「到着したときの達成感を感じられる」ってすごく分かります。
【ゲスト1】うん、それすごく分かる。
【なおみ】あえて1人で行ってみたくなるよね。
【まちゃみ】逆もしかりで、到達しなかったときの残念感も楽しいよ(笑)
【なおみ】あとガイドと言えば、すごく細かいところですけど、犯人のおうちのトイレに入ったとき、お母さんがトイレの流す場所をちゃんと教えてましたよね。
【ゲスト1】便器の位置とか、流すところとか、すごいですよね。
【なおみ】あれ一発で教えられる人少ないよね。
【ゲスト1】少ないですね。
【まちゃみ】ガイドさんでも忘れることあるからね。
【なおみ】すごいよね。こういう描写があることが、めちゃめちゃ有難いと思いながら見てました。
【和久井】最近いろんなボタンがあるから見えてても分からないときがあるので、みんながどうしているのか気になっています。
【なおみ】パネルにボタンがいっぱいあるのとか難しいです。
【ゲスト1】トイレによって違うから、分からなくて外出て聞こうかと思って立った瞬間流れたこともあります。
【ゲスト2】ドアを開けたら流れるというのもありましたよ。
【ゲスト1】手をかざすと流れるものもありますよね。
【ゲスト2】後ろにあったり横にあったりして困ります。
【和久井】ウォシュレットのパネルの中に流すボタンがあるものとないものがあるので、それだけでも結構迷いますよね。
【なおみ】流すボタンだけ独立しているものもありますしね。
【ゲスト2】非常ボタンと間違えると困るから、押すのをためらうこともあります。
【ゲスト1】間違えて何度か非常ボタンを押したことがあります。インターホンで「どうしましたか?」と聞かれて申し訳ない気持ちになりました。
【なおみ】その点、今日みたいなおうちのトイレには非常ボタンはないので安心ですね。
【まちゃみ】でも、今日のおうちのトイレは殺される可能性があったからね。気を付けないと。
【なおみ】危険だったね。でも、犯人のお母さんや犯人を諭すときの雅治さんの声がもうすてきすぎて、私も諭されてました(笑)
【ゲスト2】犯人に対して最後のところが本当に優しくて感動的だった。でもちゃんとあとで「そうじゃないんだ、腹黒くやったんだよ」と言うのもかっこよかったですね。
【なおみ】やっぱり何をやってもかっこいい!
スペーストーク3回目は、皆実さんの超人的な「音」の扱いについて語りましたので、どうぞお楽しみに!