九州の旅最終回 『コスパも良し!あえてド定番な鹿児島観光』
オレンジ食堂でお腹も心も満たされた我々は、最後の目標である桜島の温泉へ向かった。今回宿泊したのはリブマックスリゾート桜島シーフロント。実は我々の旅行ではこのリブマックスリゾートによくお世話になっている。
全国各地にあるこのチェーンだが、なんといってもコストパフォーマンスが大変良いのだ。お部屋も広く、内湯の温泉と二食付きで二人で二万円前後で泊まれたりする。
この条件でこの値段は他ではあまり見たことがない。
今回は年末の繁忙期だったが、じゃらんのスペシャルウィークをうまく活用して、二人で二万三千円程度で取ることができた。そのうち六千円以上はポイントで戻ってくるのだから、実質二万円もしていないことになる。旅行のプランを組む上で、コスパもひじょうに重要な要素である我々にとってはもってこいなのだ。
今回も良い意味で値段に見合わないほどの満足度だった。特に温泉。独特の硫黄の香りとお湯のとろみを内湯で味わえるときたらもう言うことはない。
妻はこれを、某天下一品なラーメンのこってりスープみたいと言っていたが、もう少しましな表現の仕方はないものだろうか…。
結局チェックアウトまで何度風呂に入ったかわからない。最後には肌もしわしわにふやけるぐらい、存分に温泉を満喫した。
翌日は今回の九州の旅最終日。といっても帰りもフェリーのため、大阪に着くのは次の日の朝になるのだが。
最終日の予定を全く決めていなかった我々は、前日たまたま出会った方に教えていただいたシロクマのお店に行くことにした。鹿児島に来たらシロクマ。食べることが一番の我々が真っ先に思いつきそうなことだ。温泉で身体を温めたと思ったらかき氷で冷やして・・・まったく忙しい。
鹿児島一の繁華街である天文館は、年越しの準備をする人たちであわただしくにぎわっていた。歩道にはアーケードがあり、華やかなBGMも流れている。天文館に降り立った最初の感想としては、まるで京都の四条河原町のようだった。バスが次から次へとひっきりなしに発着している様子もまたそれを連想させる。
この旅では、山に行ったり海に行ったり繁華街に戻ったり…そちらもまた忙しい。天文館のバス停から歩くこと五分ほど、シロクマが美味しいと有名なむじゃき本店に到着した。
ところでなぜシロクマなのか。練乳をかけたかき氷に、フルーツをトッピングした様子がまるでシロクマの顔のように見えたところからこの名前がついたとのこと。我々もその時まで知らなかった。注文を取り終えてテーブルを離れようとした店員さんに、シロクマの名前の由来を尋ねてみたのだ。やはり実際に聞いてみるものだ。ネットで調べればどんな情報でも見つかる昨今だからこそ、こうして地元の方に直接教えてもらったことが心に残るものだ。旅の楽しさはそうしたところにもあるのだと思う。
むじゃきのシロクマは言うまでもなく美味しかった。もっとも僕はコーヒー味にしたため、シロクマではなくクロクマだったのだが。お口直しにホットコーヒーでしっかり身体も温めて、鹿児島の観光を終えた。
鹿児島の志布志港から出港する大阪行きのフェリーは、市内からすぐ乗れるわけではない。まずはバスで一時間半ほど揺られ、ようやく港に到着する。ヨーイドンで鹿児島中央駅を出発したら、新幹線ならもう福岡まで戻っている時間だ。それぐらい我々の旅はゆっくりなのである。
船内では、行きには味わえなかった夕食のバイキングと大浴場まで満喫して、翌日の朝無事大阪に戻ったのだった。
港から自宅へ戻る地下鉄に乗りながら、いつの間にか日常の行動圏内に戻っていることに気付く。こんな時いつも考えることがある。日常と非日常の境目はどこにあるのかと。
妻いわく、それは場所ではないかと言う。普段の行動圏内から外れたところからが非日常の始まりだと。
僕はそれに対して時間も関係しているのではないかと言う。普段の行動圏内であっても、いつも行かない時間帯であればそれはもう非日常ではないかと。
結局どちらでもいいのだ。あれこれ考えながらその境目を楽しむことが、旅の一つの醍醐味だと思う。そう考えると、非日常は意外とすぐ傍にあったりする。
次はいつ非日常に繰り出そうかと考えを巡らせながら、今日も日常のこの瞬間を楽しんでいる。
(終わり)