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336. スタジオでの授業の翌日のこと
2025.2.10 mon
久しぶりに、緊張と焦りが私をバッという感じで目覚めさせた。睡眠がまだ必要な時に感じるこの感覚。脳が煮詰まったような重さ。ドロドロとゆっくりと血液が流れていそうな。
目が覚めてから、毎朝行っているルーティーン 筋トレやダンスと呼んで良いのか分からない、身体を動かして感じる時間、歌の練習、作曲 の全てに取り掛かり、それを終えるまでにかなりの時間を要している。まだその全てを終えていないのだ。
4時間ほど、「現在ここ」にいられない自分と闘った。昨日スタジオで見た景色が何度も頭の中をよぎる。
果たせるかどうか分からない約束をしてしまった。それも2つも。
一つ目は、この講師 と呼ぶのには違和感があるのだけれど と関わっている間に、何としてでも彼の肉声による評価を受けたいと思った。それは先に言わなければ、言い出すことを辞めてしまいそうな気もしてたから。
もう一つは、
人の為に何かをしようと思えた時、自分の為に何かをする時よりもずっと大きなエネルギーを持って私を突き動かす。私は筋トレを途中で辞めて、どうやったら引き受けたもう一つの約束 作詞の手助け に向かえるのかを考えた。というよりはそのことで他のことに気が回らなかった。
分析をしてしまっては、この短期間で歌詞というものは浮かんでこないかもしれないという不安から、まずは感覚で書こうか、もしくは、もらった歌詞を生むにあたって生まれてきたストーリー 彼に提供されたもの を自分なりに具体的なイメージを持てるように、小説のように書き連ねるか。
気づけばイメージされた景色と共に歌詞が浮かんできたのでメモをする。
何かを形にする場合、多くの場合は出来上がった製造物でしか、その人となりを判断できない。人が注目することの多くは形になったものだなと思う。
散歩がてらよく行く魚屋さんに向かった。昨日スタジオで聴いた音楽をかけて、ヘッドフォンで聴きながら。
何度かりょうくんの顔が浮かんだ。くだらないことを書いたラインをりょうくんに送ってしまいたくなったけれど、今日はそれをしないことにした。
講師であるエンジニアの彼は、どうしてあんなに色々なことを知っていて、またそれをできるのだろう。昨日英語で書かれたネットの記事を読んでいた彼に後ろから声をかけた時のことを思い出してぼんやりと考える。どのように夢中になり、何を削ってきたのだろう。
目の前に映る飲食店に吸い寄せられそうになる。私はすぐに食べ物へと逃げる。食欲というのは複雑なものだということを書いてある文章を思い出したりもした。
でも今はそうしてはいけない。そうしたくない。ただそう思うのはいつものことで、この後の食事を皮切りに、過食の海へと飛び込んでしまうかもしれないという僅かな振動を感じながら。でも今日は、今日はそうせずにいられる気もしたし、もしそうなったとしても、そうなった身体の状態で、昨日した約束に向かえるかもしれないと思った。
私は、何かを削らなければならなかった。それは現実的ではないとしても。
時間を割くためというよりは、視界から、何かをごそっと取り削ぎたかった。
形にするということは、どうしてこんなに苦しいのだろう。自然と産まれてきた時間がどんなに豊かで愛おしいものだったとしても。
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