チムニーと女の子 .25 星砂と 隣の男の子
(星の輝きを 集めて この中に詰めたのさ。)
みんなが寝静まった頃に そっと 夜空の
濃藍の夜空を 泳ぎながら
星の輝きを集めて……。
「 続きを見たんだね。
きっと、
夢の続きを・・・・・・」
砂がね ......
たくさん 集まって
この星の砂がね、
たくさん たくさん 集まって
いろんな形に なって いくの
風が 吹いたら また 少しづつ その 様相を 変えていくんだよ
優しい 風
柔らかい 風
強く 逞(たくま)しい 風
でも、 …… 気をつけて。
いきなり 予測できない 突風も あったりなんかするんだ...
「えっ?」
僕がびっくりすると、
( たまにだけどね... ) って。 いたずら気味に笑いながら……。
教えてくれたんだよ。
……
白すみれ色 甘く 柔らかい 軽やかな風
青く 清々しい 風
たくましく 育っていく 緑色の風
うす桃色の そよ風と
季節の 花びらが 一緒に....
風と共に 舞い降りてくる・・・・
僕の砂が 風に 飛ばされて
形が 見えなくなって・・・
そしたらね、
赤いスカートの女の子が、やって来たんだ。
(この砂を 一緒に 混ぜてもいいよ……。) って。
ほら、見て。 だから、 また この砂が 増えたんだよ。
僕たちの砂が、
新しい風に 乗れるように ……。
・・・・
「 そう、そうね 素敵な夢を 見たのね ・・・ 」
男の子は、少しうつむき加減に 目線を落とし、
視線の先には 自分の着ている Cotton地のピンストライプ、
白地に濃紺のピンストライプのパジャマの袖口を触って
小さな声で
( ちがう.. 夢なんかじゃない .... のに。)
( ママンには、見えてないんだ・・・
このボトルの砂が。このガラスボトルさえも・・・ )
白地に濃紺のピンストライプ、パジャマの袖口のくるみボタンを……。
「 少し 風が 冷たくなってきたから 窓を閉めるわね。
さあ 少し 横になってね。 」
ママンは、男の子のお部屋 ベッドの向こう側へとゆっくりと歩いて、
少しだけ 風を入れていた 窓を パタンと閉じ、軽く男の子の前髪を撫でながら
その口角を 上げて頷き 部屋の外へと 出て行きました。
……
男の子は そっと、 瞼を閉じて …… 思い返します。
あれは、夢なんかじゃない・・・・
僕は、この手で この脚で 確かな 感触を・・
あの 扉を 開けて
裏庭へ出たんだ。
そして、
あの木の下で
あのティーツリーの木の下で
このガラスボトル と そう…… あの子に出逢った。
確かな 土の感触
柔らかな芝生の 踏み心地
枕木の硬さ、 そして
カモミールの 甘い香り と、
あの子 の 微笑み そして 柔らかい 笑い声……
{ 空を飛ぶ 赤い スカート
子山羊を 抱き 飛行する 少女・・・・ }
……
ママンには、言わない方が 良かったのかもしれない...
これは、僕たちの 秘密なんだ。
赤いスカートの女の子と、二人だけの・・・・
そして、あの 子山羊だけが 知っている。
( そうか、ママンには 見えなかったんだね ......。)
「 そういえば、ここしばらく....
ピアノの音が 聞こえなくなってしまったわね。」
女の子は 、隣のお家が やけに静かなのが 少し 気になっていました。
ポロン... ポロン... と 時おり 聞こえてくる
あの ピアノの音色が ....
女の子は 実は 気に入っていたのです。
庭先に出てもお隣の無愛想な マダムとは 最近 顔を合わせなくなっていました。
( そのうちに、また 聴こえてくるかしらね。)
少し ひんやりした 朝の気 季節の移り変わりを....。
「 さあ、冬の支度を ……。 」
肩に掛けた ストールを 胸の前で 軽く 合わせなおして、
家の中へと 戻っていく 女の子。
「 ショコラの分も 用意しなくっちゃ。 ウフフ.. フフ ....」
( 何やら 早くも冬支度を 始める様子ですね。)
つづく……。
チムニーと女の子 . 25 星砂と 隣の男の子
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