チムニーと女の子.46 妖精の尻尾 & 青たちのアーチ
チムニーと女の子.46 妖精の尻尾 & 青たちのアーチ
2021 / 2 / 11 20:30
fairy tail .... fairy tail ....
教えて おくれよ .... fairy tail......
あの実は、
あの果実は 何の 実 なの?
そして、この 硝子越しの 果実 は?
****
手を繋いで 橋の向こう側へ
「 ねえ、もう 目を開けても いいかな? 」
( まだ、まだ .... まだダメよ )
あと、少し このまま 一緒に
もう少し 歩いていくの.... 。
まだ 目を 開けちゃ ダメよ。
......
男の子は 風の音、風の匂いが 変わったのを 感じとりました。
水の音が 遠くに ....
どんどん 水の流れる音が 遠のいていくのが分かります。
女の子は 口元を ギュッと結んで 男の子の左手をしっかりと握ったまま
ぐんぐん と 歩いて....
光に導かれるままに…..。
小道から 林の中へと
光が 大木で 遮られて 少し 影に...
風が吹き ときおり 枝葉の 隙間から 輝き こぼれ落ちる木漏れ日....
女の子は 口角を 少しあげ
さらに奥の方へと 進んで、
ぐんぐんと男の子を 引っ張っていきます。
木々の 枝葉と 風の声
光と 影とのコントラスト
小鳥たちが さえずりながら 羽ばたいていく ....
「 ねえ、まだ、 ... まだなの? 」
....
あの雲が 教えてくれたのは 確か こっちの方向だと、
みんなが この森の 奥へと
帰っていったの。
もう一度 あの風と あの雲たちと お話したくて.... 。
柔らかい アイボリー色の 風が やってきました。
ふんわり
くるり
・・・・
女の子 と 男の子の周りを 一周して
風のヴェールが ふたりを包み込み
アイボリー色の ふわふわのブランケットで
包み込んだかのように
やわらかく 暖かく そっと ガードしてくれます。
なんだか 足取りが 軽くなった ふたり....
手を しっかりと 繋いだまま 森の中を 更に 進んで行きます。
少し垂れ下がった木の枝
果実が たわわに みのり 色づいて
女の子は ふと 脚を止めたり、
小走りになったり、
急にまた 立ち止まったりと、その度に 男の子は ドキドキしてしまいます。
だって、ずっと目を閉じたままなのですから。
一瞬 女の子は 垂れ下がった枝、赤い実 に手を伸ばしそうに なりましたが、
( 何が あっても 絶対に 手をはなしちゃ いけないよ。 )
ばあやの声が また 遠くから
女の子の耳に 囁いて....
片手は バスケット
もう一方は、
……
ギュッと 男の子の手を しっかり 握って。
男の子も 繋いだ手を....
女の子の手を 握り返します。
ギュッと......
風が また 少し 吹きました。
赤いスカート の 裾が 揺れてすこし
捲れると……
女の子の足は 傷だらけ
たくさん たくさん
歩いて
つまづいて
膝には 絆創膏が たくさん
本当に あちこち 傷だらけ....
声が... 声が
何処からか 見守る 婆やの声 が、
{ .... ちゃんと 前を みてね }
{ 空ばかり見ていちゃ あぶないからね.... }
{ ...... あっ!ほらっ!! また!!! }
女の子は 小さな 石ころに つまづいて
ふと、
転びそうになりました。
男の子は とっさに 繋いだ 手を グッと 引っ張って
女の子の 傾きかけた 体を 真っ直ぐに 戻しました。
あっ その時、
女の子の肩に掛けていた ポシェットが揺れて
中身 が 溢れ出し......
。。。。。。。。。
貝殻の薬箱
紫色の実りたち
プチポワンの手鏡に
ベルベットの灰みのリボン
ローズマリーの道しるべ
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
貝殻の薬箱が 開き 中から
何か 丸い粒たちが .... 飛び出して......
助けて くれて、
「 ありがとう。」
( ギュッ )
貝殻の薬箱
紫色の実りたち
プチポワンの手鏡
ベルベットの灰みのリボン....
貝殻の薬箱が 開き 中から
何か 丸いものが .... 飛び出して......
勢いよく 転がっていきます。
二人より 先に どんどん 進んで....
転がった 先には ....
小さな 脇道が 見えてきました。
ゆるやかな カーブの小径が、
道が 二手に分かれています。
立ち止まった二人。
女の子は バスケットを 一度 道の脇の 切り株の上に 置いて、
転がった 丸い粒 を 足元から 一つ一つ 丁寧に 掬い上げました。
ゆっくりと 掬い上げて 再び 肩から斜めに下げていた ポシェットに直すと
今度は 紐でくるくると 結んで ポシェットが 開かないように.....。
また、バスケットのハンドルを握ると、 切り株さんに
「 預かってくれてありがとう 」
笑顔で挨拶を.... 。
二人の 目の前には 二手に分かれた 道
( ねえ、どちらに進もうかしら? )
男の子はと言うと 女の子との約束を
しっかり守って まだ しっかりと 目を閉じたまま。
( ねえ、どっちが いいかな? )
繋いだままの 手を ギュッと 握って男の子に 問いかけました。
男の子は、直ぐに 答えました。
「 こっちだよ。」
「 なんだか よく分かんないけど こっちかな?
風が そういっている.....。」
そうっ!
じゃあ、こっちねっ! ウフフ フフ......。
男の子が 顔を あげた 方向へと....
( ギュッ...... )
つづく....