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「ブルワーの仕事は8割掃除」ほんと?

こんにちは!谷澤です。

醸造技術に関する話はブログに書いていまして、今日は、技術じゃない話について書いてみようと思います!テーマは、「ブルワーの仕事は8割掃除」は正しいのか、ということについて。

醸造技術に関する記事は、☟から

掃除以外の仕事もたくさんある

仮に8割掃除が本当に正しかったらば、週5日勤務のうち、4日は終日掃除をしていることになる。そんな訳がない。仮に週に1回の仕込みがあって、それで本当に仕事は終わりなのか。

瓶詰めは?樽詰めは?
醸造学を勉強する時間は?
税務処理をする時間は?
新しくレシピを作るための準備は?

きりがない。実際にインターンをしていたときも、月に5~8回仕込みをすることもざらで、それに加えて、瓶詰め樽詰め、樽の出荷準備やフェス準備(これは別にブルワーがやる必要もないとは思いますが)
やることで満ちていた。

醸造所によっても異なるはずですが、最大あっても5割くらいかなという感想。

「掃除8割」は、全然かっこよくない✋

日本のクラフトビール文化は他の国に刺激されて育ってきた文化なのは間違いない。文化後進国なのだ。

「裾野を広げましょう!!」

これは非常に素晴らしい掛け声で、絶対に業界全体でやっていかないといけない。でも、消費者の裾野を広げることに傾きすぎてないだろうか。生産者側の裾野を広げることももっと重要視されていいはずだ。

なぜなら、色んなブルワリーが出てきて、色んなアイデア、経験が蓄積されて、新しい技術が生まれるからだ。飲み比べができる、新しいスタイルが増えるから消費者もあれもこれもと欲しくなるはず。パイを広げるためにも、新しい世代がどんどん醸造に興味を持つようにしないといけない。

それを踏まえて、改めて、「掃除8割」を省みる。

どう考えても、次の世代が興味を持つはずがないし、大学や専門学校を選ぶとき、掃除8割の世界に行くために時間を割くだろうか。

2つの真意👀

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色々と想いの丈を述べてしまったが、本当はこの「8割掃除」発言は、2つの真意があると考えている。

①醸造は清潔さが何よりも大事
②過酷な仕事にも耐えられるタフな人だけで、業界を支えたい

①は、言わずと知れたことで、これはどんな醸造書籍を読んでもまず書いてある。ビールに限らず、チーズなどの発酵食品の製造だって、「まず最初に器具を殺菌しよう」と書いてあった。それくらい器具、環境、全てを清潔にするのは重要だ(もちろん例外はあるが)

でも、それなら、素直に「清潔にしましょうね!」で良いはずでは。無理に誇張表現する必要はないと思う。

②は、昔ながらの考え方を自分なりに咀嚼してみた。どうせ業界を担うなら、仕事の8割が掃除と言われても真面目に頑張れる人材が欲しいよな、と。

この考え方は、わからなくもない。僕もブルワーになりたいと思ったときに「薄給、8割掃除」と聞いていて、それでも好きなことがみつかったし、やってやろう!というタフな気持ちで門を叩いた。ハングリーな精神は必要じゃないとは思わないが、もうそんな時代ではないはず。色んな考え方を簡単に表明できるようになったし、わざわざ暗喩するような方法を取る必要は全くない。

生産性を上げたい👌

次世代に関することを書いてきたが、実際の働き手に対する影響はどうだろうか。

先にも上げたように、ビール文化後進国の日本において、全員持っている武器が少ないのは当たり前で、先人たちが築いてきた道もまだまだ細くて当たり前だ(細いが、偉大であるのは間違いない)
勉強一つとっても書籍は英語だし、加えて、理解すべきは「化学」の世界。かれこれ3年以上独学で勉強してきたが、いまだに基本的なことだって分からないこともざらにある(僕の生産性が少ないのも大きな要因であるのは間違いない)。

そんな中で、貴重な労働時間を掃除に8割かけていいのか。本人はやる気に満ちていても、業界全体が「8割掃除」を認可している状況ならば、いつかは「やることがなければ、掃除」という思考に陥ってしまう可能性を作らないだろうか。

指示する側も、「とりあえずやることなかったら、~掃除していおいて」とならないか。本来、ブルワーは醸造をするもので、醸造サイクルに必要最低限の掃除が含まれている。専門的な作業が必要な掃除は、醸造家がやるべきだが、それ以外のところは地域のパート(というか、隙間時間に賢く働きたい人)にお願いしたらいいのではないだろうか。わざわざ誰でも出来る仕事を勉強に追われるブルワーがやる必要はない(掃除を通して学べるものも大きいが、単調な繰り返しになった時点で、専門家がやるべきではないはず)

パート代がもったいないなら、全力で生産性を上げて、どんどん仕事そのものを巻いていかないとならない。それくらい、やらないといけない/勉強しないといけないことで満ちていて、刺激的な職業だと、僕は思う。

「8割実験、2割勉強」はワクワクしませんか📚

ということで、これからは、新しい表題を掲げて、それを次の世代にも、今の世代にもメッセージとして発信していきませんか?

僕が考えたのは、「ブルワーの仕事は、8割実験、2割勉強」

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大事にしたかったのは、業界に興味を持った人がワクワクするような感じの表現と、勉強も仕事の一環のはず!という僕なりの強い意見です(..)
生意気で、きっと色々な失礼があるのかもしれませんが、芯となっているのは日本のこれからのクラフトビール文化を盛り上げたいという気持ち一つです!

よかったら、是非色んな意見が交換できたらと思い〼


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