ヘアピンまみれさんと真のインテリ
ヘアピンまみれさんと真のインテリ
先日、とあるバーチャルBarでヘアピンまみれさんという方の隣に座った。マスターも映画好きということもあって映画話で5時間くらい話をして盛り上がり徹夜をしてしまったのだが、今まで知らなかった事が惜しまれるくらい面白い方だった。
Youtubeで“ヘアピンまみれ”で検索、動画を古いほうから見始めたら、とにかく面白い。ちょうど良く随所に視聴者を飽きさせないツッコミポイントが多く用意されていて、思わず引き込まれてしまう。2作目でいきなりパロディが入るのだが、ものづくりする人御用達のサイエンスチャンネルのTHE MAKINGのオープニングまで手書きのノートで再現しているのは笑ってしまった。サイエンスチャンネルとは、科学技術振興機構が運営している、よく小学校で見せられる教育ビデオテイストのものづくりの過程を解説するヤツである。
ザ・メイキングはYoutubeにアップロードされているものが正だが、誰かが勝手にニコニコ動画に転載して「ホモと学ぶ○○ができるまで」という名前で大量にアップロードされており、コメントの盛り上がりも盛況である。
ご自身でも仰られているが、ヘアピンまみれさんはものづくり系動画を沢山見てきていて、その上でツッコミ所を加えた構成になっているので、学びあり、笑いありの素晴らしい構成になっている。タイトルや間の取り方、構成からオモコロやふっくらすずめクラブの影響も見られる。学び+オモロなので動画視聴時の満足度がとても高い。ニコニコの民としては、ニコニコ動画にいったん全動画アップロードしてほしい。絶対伸びるから。概要欄とかでニコニコ→自分の他動画リストやYoutube、 Twitterへの導線を作ってあげれば、フォロワー爆増も間違いなしだと思う。
ヘアピンまみれさんと言えばもう一つ外せないのが“伝わる人にしか伝わらん例え”である。ターミネーター2のシュワちゃんの皮の剥ぎ方とか、カエルが潰される時の音とか、“俺はまぁわかるけど…”みたいな変な例えが多い。でもコレも愛される要素だと思う。あるお笑い芸人さんは「10%の人にネタが伝われば良い」と言っていた。“自分は分かるけどねー”という特別感は視聴者にそのコンテンツに参加している感じを持たせる。オタクがよりディープな知識合戦を繰り広げて交友を深めるのと感覚は近いかもしれない。Vtuberの今酒ハクノがよくニンジャスレイヤーのネタを持ち出して笑いをとっているが、わかる視聴者10%もいないのではないだろうか。それでもわかる自分はとても楽しい。ヘアピンまみれさんの場合は映画から引用されたネタとJOJOの奇妙な冒険から引用されるネタが多い。JOJOは市民権を得ているし(私はかじった程度だが)映画も見る人は見ているのでちょうど良いバランスの共感を産んでいるとだと思う。
さて、インテリの話だが、「真のインテリとは文明が滅びた後に大地に麦を撒き、育てることのできる者である」という言葉を聞いたことがある。出典は忘れた。ヘアピンまみれさんは“想像だけで楽器を作る”という事をされているが、自分の知識一つで車輪の再発明をされている。
動画へのコメントで「無人島でも生き残れそう」というコメントをつけている人がいたが、インテリとはそういう事だ。何もかも不足していても知識を武器に手を動かし、困難を乗り越えていく、そういう姿勢に人は感動し勇気をもらう(クソデカ主語)
CNCやレーザーカッター、3Dプリンター等、現在は高度に組み合わされ、プログラミングされ、制御されたものづくりのための機械は沢山ある。でも文明は必ず滅ぶ。ものを作るのは機械ではなく人の意志だ。道具としての機械が偉いのではなく、その道具を使う人間がものを作り出すのだ。
そういう意味で、ヘアピンまみれさんのお手軽な工具を使ったものづくり動画はものづくりのプリミティブな試行錯誤、発見の喜び、失敗の悲しみ、成功の喜びを分かち合える素晴らしい構成になっている。
最後にヘアピンまみれさんが最近アップロードされた動画が破竹の勢いで伸びているのでここにも貼っておこうと思う。オススメだから絶対見てほしい。
想像だけで「カーッ!」の楽器を作ってみた【ビブラスラップ】
https://www.youtube.com/watch?v=1DSokq0zvik