人生で一番しんどかったし、人生で一番幸せだった
出産。
これまでの人生で、中学生の時の部活の練習ほどキツいものはないと思っていたけど、
出産は、……部活の練習なんかより、断然キツかった。
今言及しているキツさは、肉体的なキツさと精神的なキツさ両方の合わせたもので、
出産については、まぁ、終わりが見えない。
部活の練習だと「あと100回…、あと1セット…、」と終わりが見えたものだけど、
出産の場合はそれが一切見えない。ゴールは確かにあるのだけど、いつ辿り着けるのかは人によってバラバラで、分からない。
ちなみに私の場合は、出産に16時間掛かった。案外長かったけど、初産の場合は平均的だそうで…。
(後で調べたら、16時間は平均よりちょっと長いぐらいっぽい。)
出産前は、痛みを我慢出来る謎の自信があったし、陣痛の途中まではなんとか声を出さずに「これなら静かに耐えれるなぁ」と余裕ぶっこいてたけど、
子宮口が6cmまで開いてから、そこからなかなか子宮口が開かず、陣痛は強くなったり弱くなったりを繰り返し、ついには陣痛促進剤を使うことに。
「自力でいけなくてなんかショックです、…あと料金とかどれだけ掛かります?」
かなり痛かったけど、最初にお金の心配をしてしまった。自分のお金への執着心、恐るべし。けど、そんなことより、私の為にも、赤ちゃんの為にも、早くこの痛みを終わらせてあげたかった。
そこから少しずつ、促進剤を投入。
進みがどんどん早くなる。
そこから痛みは増し、ずっと叫び倒し、どうしようもなく、弱音を漏らしていた。あまりの醜態すぎて、逆に、コロナで付き添い禁止になってて良かったかもしれないと思った。
傍についてくれていた助産師さんに、「すいません、めちゃ叫んじゃって。」「これ、いつ終わるんですかね。」「え?まだ痛くなるんですか?」「あと何回これやるんですか?」「もう無理です…。」と、どうしようもないことを何度も言った。それ以外にも訳の分からないことを何度も言った気がする。
最後のいきみも痛すぎて、何がなんだか分からなくなって、腹の底から叫び倒して(無駄に腹から声出てめちゃくちゃでかい声になってしまったと思う)、申し訳ないことをしたなと、今心から反省している。
けど、そんな私に、周りの助産師さんやお医者さんはずっと優しくしてくれた。褒めてくれた。みなさんこれを生業にしてるし、慣れてることとはいえ、「本当にみんな天使だったな」と初産の私は感じる。だから、反省と同時に、彼らへの感謝の気持ちが強すぎて、一人一人に菓子折りあげたいぐらいである。
長く続く痛みを乗り越える為に、「これまで辛かったことに比べたらマシ!」とか思いたかったけど、出産の終盤では、そんなことを考える余裕すらなかった。
「早く終われ!早く赤ちゃん出したい!」
そう思って、何回もいきんだ。何回いきんだか、忘れた。必死すぎて、たぶん面白い顔をしてたと思うけど、感染対策のマスクで隠れてて、逆に良かったかもしれないと思った。
何回かいきんでようやく破水して、「もういきまなくていいよー、ハッハッハッで行きましょう。」と助産師さん言われ、指示通りに呼吸。
そして、独特のドゥルンという感覚とともに、赤ちゃんが産まれた。まずは、自分の股からこんな大きな生命が出てきたことに感動した。まもなく、その大きな産声にも感動した。とにかく、すぐに、すでに、愛おしかった。これが“母性”というものだろうか。
結果、私の出産は、16時間とまぁまぁ時間も掛かったみたいだし、深夜からの陣痛で寝不足もあったし、お産の進みが遅くて陣痛促進剤を使ったし、ちょっと難があったようだ。
しかも、赤ちゃんにもちょっとしんどい思いをさせたみたいだった。そのせいで、赤ちゃんは産後すぐに治療を受けている。
これは、俗に言う“安産”とは言えないのか?
いや、私としては、産声をあげ、なんとか生きようとしている生命体を無事に母体から出せた事、それだけで満足している。というか、満足しかない。何せ、自分の産んだ赤ちゃんがこの世で一番可愛い。その子が目の前にいる。それだけで、“安産”だろう。と私は思いたい。
(というか、そう思わないと、すぐに周りのお母さん方と自分を比べてしまいそうで、自分を責めて病みそうになるからこそ、自己暗示的にそう思いたい、と思っている。)
私の出産は、産前産後の手厚いサポートなくしては、たぶん無事に産まれてこなかったんだなぁと思うと、
まず、出産に医療の力を借りられる『人間』で良かった、と思うし、
医療の力が強い『日本』で良かった、と思うし、
『医療の力をフルサポートで受けられる病院』を選んでいて良かった、と心の底から思う。
何のトラブルのない出産なんてないよなぁ、となんとなく思っていたけど、
満身創痍。お股もいつの間にか裂けていた。会陰切開もしたらしい。
最初からまぁまぁズタボロになったおかげで、乳が出ないぐらいで動じることはない。お股が痛くて歩行困難になっても平気だ。
赤ちゃんの為に、ママ頑張るけど、結果は期待しない。全て上手くいくとは限らない。これぐらいの心持ちでいいや、と思えた。
今後も何かとトラブルがあると思う。出産してからがのほうが大変、とよく聞く。
でも、身体的にあんなに痛いのは、さすがに出産の時がピークでは?と今の時点では思っている。これ、なめてかかってるのかなぁ。これからは完全に未知の世界だ。
人生で一番、の記録がどんどん塗り替えられていくのだろうか。
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後記:
出産を終えて、すぐに思ったこと。
「いや、これ、二人目とか無理やろwwwwww」
それでも欲しくなるものなのかなぁ?
一人目が上手くいったとしても、どのお母さんも共通で、痛いものは痛いと思うのに…。
3人産んだウチのオカンすごい(笑)
医療体制もままならないのに5,6人は平気で産んでる昔の人はもっとすごい(笑)
子ども10人越え大家族のかあちゃんはかなりやばい(笑)
…人それぞれ、痛みの感じ方も違うだろうね。それこそ比べてもしょうがないけど。
私は、もう当分出産はいいや、と思った。
またあんな痛い思いをするのは、…ご勘弁、かな。痛みの記憶が新しい今の時点では。
もしワンチャンあったとしても、経産婦として迎える出産だとしても、無痛が選べるのなら、そうしたい。
それと、今の子が、なんやかんやあって、やっと授かった子というのもある。今は二人目の心配より、その子に全力を尽くしたい。
結論: 出産は、痛い。
出産して分かったことが多すぎて、まるで景色が違う。だからといって、マウントは取りたくないな。不妊治療や流産を経験している身からすると。
なんていうか、どんな形だっていいんだと思う。はっきりとは言わないけど。それぞれの形でいいんじゃないかな、うん。
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そんな感じで、締めます。
お疲れ様でした、私。赤ちゃん。夫。
以上。
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