チミケップ湖のバードコールと・・・ちゃんとするのが嫌になった話(そもそも、ちゃんとできてない)
毎朝ダイニングの横の窓のカーテンを開けると、小さな木製の鳥と鬼灯が見える。
いつの秋だか冬だか忘れてしまったけれど、チミケップ湖畔のホテルに泊まった。
この鳥のバードコールはその時にチミケップホテルで買ったものだ。
カーテンを開けて毎朝このバードコールを見る度に、チミケップ湖とその湖畔のホテルを思い出すのだ。
チミケップ湖、ご存知だろうか。
チミケップ。
アイヌ語で「崖を破って水が流れるところ」という意味らしい。
この湖のほとりに佇む写真を見て、行ってみたくなって行ってきた。
かなり前の話。
写真のような爽やかな季節ではなく、雪の季節に行ってきた。
その秘湖ぶりは、何度も行っている日本でイチバンお店から遠いという秘湯!トムラウシ温泉よりすごかった思い出として残っている。
もちろん山奥ぶりは、トムラウシ温泉なんだと思うが、アクセスはこのチミケップホテルのほうが大変だった印象。
雪と風がすごくて、なかなか着かなかった。
チミケップホテルのことがあるので、トムラウシ温泉までの道は覚悟していた割にきちんと整備されて、あっけなく着いたのだ。
とにかくチミケップホテルへの道は狭く暗く、この先に本当にホテルがあるのだろうか?と思ってしまった。
だからトムラウシ温泉に向かう時はむしろ道が綺麗で、友達と『チミケップホテルの方がすごかったよね。』と思わず引き合いに出してしまうほど。
天候が違う日にまた訪れたら違うのかもしれない。
写真を外付けハードディスクに移してしまったからすぐに写真は出ないが、チミケップホテルの前には湖しかなく、とても静かで普段とは違う場所に来られた満足感でいっぱいだった。
久しく行ってない・・・行きたいなあ。
静かなチミケップホテルの売店で先のバードコールを見つけた。
鳥の背中の丸いネジをまわすと、ネジと本体の擦れる音が、鳥の囀りみたいに聞こえる。
手触りもすべすべで持つと癒される。
実用性からはかけ離れた代物だけれど、悩んだ末に欲しくて買ってきた。
北海道では木のモノを買うことが多い。
この鳥(バードコール)を見るたびに、あの吹雪の道やたどり着いた先の静かな静かな湖畔のホテルを思い出す。
何をするわけでもなく、ただただ静かな湖畔の滞在を楽しんだ。
またいつか行けるだろうか、チミケップ湖。
雪に閉ざされた秘湖のイメージで、こんな↓印象は皆無。
北海道は内地より、先に秋が来ている。
北海道は秋から春も素晴らしい。
だけど当時は仕事に必死で北海道の良さに目を向ける余裕がなかった。
仕事も忙しくて、寒い夜に帰宅していると「なんでこんなところに来たんだろう・・・(社命による転勤)」なんて思ったり・・・地元が恋しくなったり、いろんな思いが押し寄せていたし、今でもその時の自分を思い出すとちょっとかわいそうになる。
もっと北海道を楽しめばよかったのにね・・・って。
早く行きたい。。。
11月の北海道は決めてあるけれど、とにかく温泉に行きたくて北海道からも戻った翌々日にまた近くの温泉を予約してしまった。
10月の連休も温泉に行くというのに。
最近現実逃避ばかりしている。
今、夜なのにカーテンを開けてバードコールを手にのせて・・・
自然に触れたいなあと思っている。
ストレスなのかなんなのか、何か溜まってる。
すっきりしない。
1人で温泉に行っても、1泊だとあっという間ですぐに現実が押し寄せてくる。
1人でのんびりしたい。
1人になりたい。
仕事も家事も他のいろんなことも放り出して。
卒業してから、ずーっと働いている。
いつまで働けばいいのだろう。
朝、窓辺のバードコールを見るたびに思うのだ。
チミケップ湖でも。どこでも。
ぼーっとなんにもしない時間を過ごしたい。
とにかく自然しかないところで引きこもりたい。
疲れたよ〜。
みんな偉いな、毎日ちゃんとしてて。
ちゃんとすることに疲れた。いや、多分今私ちゃんとできてないし。
というか「ちゃんと」ってなんだろう。
ショートステイから帰宅した母の洗濯物を回している。
終わったら干して、あとはまだお皿を食器棚に戻すのが残ってて、それから、母を寝かさないと。
別に大したことじゃない。全然。
洗濯は洗濯機がやるし、干すのだって何時間もかかるわけではない。
そうなんだけど・・・
朝から晩までベッドから出ないで、自由気ままに。
家事と仕事をしなくていい環境で暮らしたい。
🥱
眠たい。
疲れてるから、こんなどうにもならないことを考えるんだ。
洗濯が終わったら寝よう。
眠れなかったら画集を読もう。
このところずっと、東山魁夷の画集と芹沢銈介の別冊太陽とそして東山魁夷の「風景との対話」、串田孫一のエッセイが枕元にあって、疲れすぎて眠れない時にどれかを紐解いている。
昨日は、東山魁夷の「風景との対話」だった。
この本は落ち着く・・・。
物理的に1人になれなくても、自然がすぐそばになくても、
本の世界で1人になって、東山魁夷の静謐な静かな風景は私を美しい場所に連れていってくれる・・・。
「ちゃんと」できなくたっていいことにする。
過ぎた1日に感謝して寝よう。