何とかなる。でもどうなもできないことがある。
たいていのことは、何とかなる。
忙しい最中、帰省の準備でバタバタして、忘れ物がないか確認しなきゃ〜ってなっている私に、亡き彼(以下、S)が言った言葉。
『今時、携帯と財布があればたいていのことは何とかなる。何か忘れても死にはしない。』
何故かSの言うことは、いつも私の心にストンと落ちて、1日の終わりにも話すと心が落ち着いて、私の安息の場だった。
今はいないから、ちょっとバタバタしたり、気持ちが焦ったりすると、Sなら何て言ってくれるだろうと考える。
2018年に急逝したS。
私の人生にこんなことが起きるなんて、と受け入れられなかった。
どんなに仕事がキツく辛くても鬱にはならないと決めて奮闘していたけれど、Sの死で『喪失鬱』になったらどうしよう、と思った。
亡くなってから6回目の春。
未だに『会いたいなぁ』と思う。
この気持ちは突然私の心の中に湧くから困る。
先日も仕事で運転中、桜の木を見たら、『Sと一緒に見たかったなあ』という気持ちが込み上げてきて涙が出そうになってしまった。
彼の死の直後、『彼がいない世界でどうやって生きていくんだろう』と恐ろしかった。
地元を離れていたから、会えるのも帰省の時だけだったけれど、私にとってかけがえのない大きな大きな存在だったから、今でもSがいないことを思うと苦しい。
今も会いたいなぁと思う。
Sは、『何とかなる』『大丈夫』
とよく私の不安や心配を吹き飛ばしてくれた。
でも、『Sに会いたい』という気持ちだけは、何とかならないし、大丈夫にできない。
夢でもいいから会いたいのに夢にも出てこない。
『亡くなった人』『夢に出てこない』で検索したこともある。
そこにはこう書かれていた。
未練。
未練たらたらである。
夢で会うためには、故人に対する執着を手放せばいいらしい。
難しい。
どうしたら手放したことになるんだろうか。
Sのことを忘れたくはない。
執着って何だろう。
私の今を支えてくれる人はいる。
Sのことも全て分かって支えてくれる優しい人だ。
恋愛における男性と女性の違いで、女性は恋愛を『上書き保存』と聞いたことがある。男性は『名前をつけて保存』。
私は『名前をつけて保存』タイプだと思う。
少なくともSに関しては。
そんな簡単に消去(上書き保存)できない。
夢でも会いたいけれど、出てきてくれないS。
いつか、私があちら(どちら?)の世界に逝く時は、三途の川に迎えにきて欲しいなと思う。
地図を読むのが好きだったS。
あちらの世界がどんなところなのか、広いのか全く分からないけれど、迷わずに私のことをちゃんと見つけて迎えに来て欲しい。
そして、生まれ変わりがあるのだとしたら、歳が離れたくないから私と同じくらいに生まれ変われるように待っていてもらいたい。
大抵のことは、何とかなる。
でも、Sに会いたいと願う気持ちは何とかならない。
まだまだ未練たらたらの私だが、後を追ったりはしないから、夢に出てきてもらえないだろうか。
⭐︎タイトル画像は、鹿児島空港の桜島