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物、ものを呼ぶ@出光美術館/国宝・酒井抱一・伊藤若冲などを満喫・・・



出光美術館

大好きな美術館。

出光美術館は、出光興産の創業者であり、美術館創設者の出光佐三(1885−1981)が70余年の歳月をかけて蒐集した美術品を展示・公開するため、昭和41年(1966)、東京都千代田区丸の内に開館しました。美術館は皇居のお濠に面した帝劇ビルの9階に位置します。ビルのワンフロアであることを感じさせない独特の空間は、開館当初の伝統的な和の雰囲気を残しつつ、その後の改装を経て、より快適にゆったりとお過ごしいただける環境へと整備をかさね、現在に至っています。
展示は日本の書画、中国・日本の陶磁器など東洋古美術が中心です。テーマに沿った内容で、年6回の展覧会を開催しています。併設として、コレクションを代表するルオーの作品を紹介する専用展示室があるほか、アジア各国および中近東の陶片資料を集めた陶片室は、充実した陶磁器コレクションをもつ当館ならではの施設として親しまれています。

https://idemitsu-museum.or.jp/about/outline/

所在地:東京都千代田区丸の内3ー1ー1
施工 :株式会社 大林組
建設 :1966年(2006年改修)

建設から56年・・・老朽化もあり、三菱地所らが共同で建て替えることになった。

古めかしいビルが好きだった。
東京駅の皇居側も段々と新しいビルになって、久しい。

前川國男設計の煉瓦ビルも存続を願う会が発足されたが、皇居三の丸尚蔵館に行く途中、今はもう跡形もなくなっていた。

個人的には残して欲しかった・・・。建て替えではない道を探って欲しかった。

建て替えられる新・本店ビルのビジュアルは、現時点で未発表。ビジネス・歴史・文化が共存する街「丸の内」の美しい街並みに調和し、日本の玄関口である東京駅と、緑豊かな皇居外苑を結ぶシンボリックな場所に相応しい、洗練された気品のあるデザインを目指すとのこと。
主なコンセプトは次の通りです。
1.最高レベルの災害対応力
2.国産木材の積極的な利用
3.最高レベルの環境性能の追求
4.新しい働き方や多様なニーズに対応できる柔軟性

https://mag.tecture.jp/business/20211003-41223/

保険会社だから有事に本社ビルが立ち行かないと困るのだろう。
コンセプトの1番に、「最高レベルの災害対応力」がある。
4番はどういうふうになったら実現できるんだろうか・・・。

でも、建て替えではない道を探って欲しかった。。。
気品はともかく「洗練された」の行方が気になる。
周りのビルにはあまり「趣がない」。

建て替え後のイメージを見つけた。
(できれば日本人の建築家にして欲しかった・・・文句が多い。)

なぜこんなことを書いたかといえば、出光美術館の建て替え後の雰囲気が気になるからだ。

今はエレベーターの扉も古めかしい、昔の雰囲気があって好きなのだ。

東京駅や日本橋界隈の高島屋や古い建物も今後昔の雰囲気をなんとか残してもらえないのだろうか。(自然災害との戦いになるんだろうけれど・・・)

仕方ないことではあるけれど、街並みが変わっていくのは寂しい。

話を今回の企画展に。


物、ものを呼ぶ─伴大納言絵巻から若冲へ


参考:出品リスト鑑賞ガイド

今回の見所はいくつかあるが、やはり・・・

・出光美術館が所有する国宝2点が見られること
・書跡・絵画コレクションの重要文化財が一堂に介すること

だと思う。

本展には、当館が所蔵する2件の国宝が展示されます。ひとつは、すぐれた筆跡の数々を折帖(アルバム)に貼り込んだ古筆手鑑の代表作「見努世友」、もうひとつは群像表現の卓抜さとストーリー展開の巧みさが際立つ傑作「伴大納言絵巻」です。当館で「伴大納言絵巻」が展示されるのは、平成28年(2016)年以来。今回は、三巻のうち、上巻をたっぷりとご覧いただきます。また、「見努世友」と一緒にならぶのは、同18年(2006)以来、実に18年ぶりのことです。ふたつの国宝に同時に出会える機会を、ぜひお見逃しなく!

https://idemitsu-museum.or.jp/exhibition/present/

こんなに素晴らしいのに、皇居三の丸尚蔵館や東博ほどに混まないのは不思議・・・。

今回は、国宝の他にもチケットに印刷された伊藤若冲も目当ての人は多いだろう。

伊藤若冲

私の周りにも好きな人が多い。
だから若冲を見ると、葉書を買って出している。

出光美術館のサイトより転載

これは見応えがあった。

「枡目描き」の手法で描かれている。
西陣織の図案を見て思いついたそうだ。

まず、淡墨で縦横約1cm間隔の線を引き、画面全体に方眼を作ります。その上から、絵柄に合わせたごく淡い色を薄く塗って下地を作ります。次に、方眼一つ一つを先ほどよりやや濃い目の色で正方形に塗り込めます。その正方形の隅にもっと濃い色を小さく付け加えて、ようやく方眼一つの出来上がりです。必要なところにはさらに色をつけたり陰影を施したりして全体の調子を整え、完成。実に根気のいる、気の遠くなるような作業です。伊藤若冲が発明したと考えられる独自の描法です。ちなみに《樹花鳥獣図屏風》の高精細複製品を用いて、当館の実技室担当職員が数えたところ、一双で11万6,000個を越える方眼が確認できました。

https://spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/archive/jakuchu/

静岡県立美術館の実技室担当職員さん、11万6,000個を数えるとは・・・・・すごい!

今回出光美術館で見ることができる「鳥獣花木図屏風」は8万個。

静岡県立美術館のサイトによれば、この手法で描かれた作品は3つだそうだ。
・《樹花鳥獣図屏風》/静岡県立美術館蔵
・《鳥獣花木図屏風》/出光美術館蔵
・《釈迦十六羅漢図屏風》/現在行方不明・・・!

静岡県に行きたい。芹沢銈介の美術館もあることだし・・・。

こうして芋蔓式に見たいものが増えて、終わりがない・・・。

もちろん、この作品以外の「群鶴図」も見事なのだが、やはり皇居三の丸尚蔵館の《 動植綵絵 どうしょくさいえ 》が最高峰(国宝)というのは見比べると分かる気はする。
(好みかどうかは別として。今回の「群鶴図」は私は好きだった。)

酒井抱一


私が見たかったのはこれ!(と類似のもう一つ)

酒井抱一(江戸琳派の祖)が好きなのだ。

出光美術館のサイトより転載

伊藤若冲と並び「第1展示室ー江戸絵画の華」に展示されている。

かなりの時間をかけて満喫した。
なんでこんなに美しく描けるのだろう・・・。

葉書のセットも購入してしまった。

皇居三の丸尚蔵館にも同様の作品があって、見に行ったが、やはり国宝の伊藤若冲《 動植綵絵 どうしょくさいえ 》の方が人だかりが多かったが、そのおかげでゆっくり満喫できた。

この歳になって若冲も普通に見ているが、若い頃は、あの色合いの強さが苦手だった。動物も苦手なので、酒井抱一の鳥の方が控えめで好みだったのもある。

いずれにしても酒井抱一の作品をゆっくり見ることができて満足。

国宝


供大納言絵巻

出光美術館サイトより転載

展示室に、絵巻のあらすじの解説もあって分かりやすかった。
平安時代の絵巻とあって、やはり傷んでいるところも多く、それが実際に重ねた年月を実感させてくれる。

描かれた当時の絵巻を見てみたい・・・。

この絵巻は、
上巻:応天門の放火事件
中巻:無実の罪で捕らえられる左大臣源信と女房
下巻:真犯人が見つかる
という仕立てになっていて、

上巻は、大納言伴善男が権力争いの末、貞観8(866)年3月10日、平安京内裏の応天門に、火を放った放火事件が描かれているが、実際に描かれたのは、放火による火災が発生してから約300年経過した治承元(1177)年、常磐光長(ときわみつなが)が、後白河法皇の命を受けて描いたとされる。

名前が、「善男」なのに、無実の人を陥れようとするなんて・・・。

古筆手鑑「見努世友」

出光美術館サイトより転載

近世に入る頃、それ以前に書写された歌集などのテキスト(古筆)は、稀少なために断簡(古筆切)に分割されはじめます。この古筆切を収納、鑑賞するためのアルバムが手鑑で、手は筆跡、鑑は手本、見本の意味です。『見努世友』は、江戸時代に古筆の鑑定を専門職とした古筆家が制作した基準作で、整然とした配列と、平安時代書写の優れたかな書跡を多数含み、形式・内容ともに最高水準の手鑑です。小浜酒井家伝来。手鑑の名称は『徒然草』13段の言葉にちなみます。

https://idemitsu-museum.or.jp/collection/calligraphy/kana/01.php

こちらに詳細があるのでご参考までに。
展示品は文字が誰のものかが見えにくかったが、目を凝らして必死に見た。
一つ一つ展示されている箇所の解説が欲しかったがないので、理解が深まらないのが残念・・・。

平安時代の書が令和の今も見ることができるのは、長い間所有してきた人たちが大切に受け継いできてくれたから。
感謝である。

第3章「調和の美」から


国宝2つもこの第3章だったが、他に・・・

・「継色紙」/伝 小野道風
・「高野切第一種」/伝 紀貫之
・「広沢切」/伏見天皇
・「中務集」/伝 西行
・「定頼集」/藤原定家

が特に印象に残った。

出品リストより転載

小野道風の文字は、「散らし書き」で余白の美を生かし、流れるよう平安時代の仮名文字がとても優美で引き込まれるようだった。

紀貫之の方は、行数も多く解説と見比べながら、なんと書いてあるか確認したが
これも読めるようになればより楽しいのに・・・と思う。
と思って、教科書的なものを見ているが今ひとつどれを買ったらいいか分からない。
まだまだ書も勉強が足りず、見ただけでパッと誰それのものと分からないが・・・
これもたくさん見て学ぶしかない・・・。

(少しずつ。。。ちなみに和漢朗詠集は雰囲気で分かるようになってきたかも。)

*ちなみに今の時代、こんなアプリがあるらしい。
古文書カメラ

でも・・・これ写真撮影不可の場所では、撮らないにしても難しいわけで・・・自力で読めるようになるのが一番なんだけど。

自分の国の文字なのに読めないとは・・・。
国語に「古文書」があればいいのに。
英語も大事かもしれないが、自国の文化の理解も大事だと思う。

今から学べば10年くらい経ったら読めるようになるだろうか・・・
どこに行けば学べるんだろう・・・。

次回は・・・
日本・トルコ外交関係樹立100周年記念
トプカプ宮殿博物館・出光美術館所蔵 名宝の競演

先に、トルコとの外交関係樹立の記念切手は買った。

出光美術館サイトより転載


年内最後となるこの企画展。
前売りはまだ販売されていなかった。

でも予定を組んで行かなくては・・・。

そして非常に残念なことに当面の間休館となってしまう・・・。
再開時期は未定・・・(涙)
再開の時に、元気で見に行けるだろうか・・・。

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