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宮脇綾子の芸術@東京ステーションギャラリー

昨年から行きたくて予定していた展覧会に行ってきた。

東京駅丸の内北口

写真は先週東博に行った帰りにステーションギャラリーの前で撮影。
たまたま人がいなくてチャンスだった。

昨日は9時40分頃、この前に
観光客が荷物を置いてたくさんいた

その後は10時の開館を待つ人がここに並ぶ。
私は早く着いて1番だったが先に化粧室に行って戻ったら2番になった。
(化粧室は美術館横の八重洲口への連絡通路手前にある。)

開館と同時に入る。
ロッカーに荷物を預けた。
ここのロッカーは100円を出さなくていいのが楽。

入り口
北口のドーム天井
毎回つい撮ってしまう
東京駅 
朝は午後ほどは人がいない

展覧会は、エレベーターで3階に上がり、2階の会場に降りる。
ショップも2階。

途中の階段の壁は重要文化財のレンガ

展覧会の構成

展覧会の正式な名称は、
生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った

ギャラリー内にたくさんポスターが貼ってある。

この作品もよかった・・・このざる押し潰したのか気になった
トマト 宮脇綾子さんにかかるとこんなーアートに
白菜・・・実物より綺麗だなあ・・・

観察と写実
断面と展開
多様性
素材を活かす
模様を活かす
模様で遊ぶ
線の効用
デザインへの志向

という8章で構成されている。

153点もの作品(出品リスト)があったが、よくこれだけのものを作る時間があったと驚く。

布を布に縫い付けて絵にしてあり、気が遠くなる。
単眼鏡は今回も大活躍した。

縫い目や柄の細かいところなどよく見えた。

宮脇綾子さん

1905年生まれ、1995年没。
40歳から創作活動を始める。

宮脇綾子(1905-1995)は身近なモノを対象に、布と紙で美しく親しみやすい作品を生み出しました。アプリケ、コラージュ、手芸などに分類されてきた彼女の作品は、しかしいずれの枠にも収まりきらない豊かな世界をつくり上げています。モティーフにしたのは野菜や魚など、主婦として毎日目にしていたもの。それらを徹底的に観察し、時に割って断面をさらし、分解して構造を確かめる。たゆまぬ研究の果てに生み出された作品は、造形的に優れているだけでなく、高いデザイン性と繊細な色彩感覚に支えられ、いのちの輝きを見事に表現しています。

https://www.artpr.jp/tsg/miyawaki2025

配偶者は、洋画家の宮脇晴。
知らない画家さんだった。

まだまだ知らないことばかり。

主婦だって、忙しいのによくあんなにもたくさんの作品を生み出されたものだと思う。
どれだけ時間がかかるんだろう。

『はりえ日記』なるものもすごい。

絵日記なのだが、その絵が、貼り絵なのだけれど凝っている。

雰囲気はこちらで分かると思う。

読んでみたいが在庫切れ。

戦中を過ごされた方で、布の端切れや使いふるした布製のコーヒーフィルターなども無駄にしない・・・。
時代の先端を行っていると思う。エシカルなんて言葉がない時代に、身の回りのものを無駄にしない精神で当たり前のようにされていることに尊敬・・・。

(余談)
若い頃知っていたら買っていたのに。残念。
でもあの時代は若かったからこそ、海外に行ったり山登りしたり、その時できることをしたからいいことにしよう。
美術館も行っていたけれど、他の趣味との兼ね合いで今ほどは行けなかったし、見る分野もまだまだ偏っていた。

当時はとにかくヨーロッパの美術館に行きたくて、旅行をしたらなるべく行っていたけれど良かったのかもしれない。
今は日本のものをよく見ている。

図録


私が買ったのはこちら。

今回の企画展のよりコンパクトなのと、見たいものがたくさん載っていたから。
昨日は重たくて買う気になれず。

今回の図録ももう一回行けたら行って買っても良いかもと思っていたが、
重たいのは変わらないから、Amazonで見たら無料配送で残り7点。
後で後悔したくないからポチッとした。

アプリケ作家として知られる宮脇綾子(1905-1995)。生誕120年を記念する回顧展の図録として出版された本書は、全153点のカラー図版、4編の論考とエッセイ、8本の章解説、さらに作品解説や作者の言葉などによって宮脇綾子の全体像を俯瞰するとともに、その作品をアプリケではなく造形作品として見直し、美術史の言葉を使って読み解きます。いのちの輝きを表現した宮脇綾子の新たな魅力を発見できる1冊です。

https://www.ejrcf.or.jp/gallery/publications.html


画集や図録って手に入れにくい。
あと昭和初期の人のものも入手しにくい。
(串田孫一さんで実感する)
欲しいものは買っておこう。

むしろ先の「宮脇綾子の世界展」の方がAmazonになかったから、こちらも買っておいてよかった。(えらい、私)。

ピックアップ

153点。
どれも素晴らしいのだけれど、記憶に残るものをいくつか。

日野菜 1970年

これは、よくおうみのひとさんが調理していらっしゃる。
そうでなければ知らなかった。滋賀県の野菜なのね。
実物をちゃんと見たことがなく、宮脇綾子さんの作品でこんな感じの野菜なのね、と鑑賞。
この作品は、こちらで確認できる。
(このあと、ちゃんと”日野菜”を検索した。)

ちなみに、『ひの菜』という別の作品もあり、同じ野菜なのに全く違って面白かった。

はりえ日記

先にも書いたが、これはゆっくり読みたいと思った。
ご本人にいつ、どのくらいの時間をかけて作られたのか伺いたい。

それとも慣れてきたら、チャチャっと作れるものなのだろうか?
そうとも思えない。

鶴亀模様の鯛 1979年

メデタイので、使われた布は鶴や亀のモチーフの模様。
鶴の羽や亀の甲羅が鯛にうまく活用されていていいなと思った作品。

夫が愛知県教育委員会より表彰を受けた際、昔の教え子が大きな鯛を持ってきてくださったので鶴亀模様の藍型染を使って作り、夫にプレゼントしたものです。

解説より

こんなプレゼントをもらった旦那様、嬉しかっただろう。
作品を見るたびに、表彰の喜びも思い出されるに違いない・・・。

縞魚型文様集・木綿縞乾柿型集

解説を読み、気が遠くなる。

宮脇綾子さんは、布を手に入れると、乾柿と小さな魚の形に切り抜いて、それぞれの文様集を作っていた。

その数、なんとそれぞれ10,000個。
乾柿と魚で20,000個。
1日1個でも27年かかる。
気が遠くなる。

またこれがとても丁寧に作られているのだが、文様集だけではない。

縞木綿千柿図屏風 1971年

いろんな模様の柿を100個ずつ屏風にして、双隻が200個の屏風が5つで、千個の干し柿の屏風の作品。
柿がひとつひとつ縫い付けてある。
いったい何年かかったんだろう。どの作品も制作期間を知りたかった。

とても根気のある方に違いない。

同じモチーフを並べる他の作品

縞の魚百尾 1973年

同じ魚を100匹並べた作品もあった。
これは、左向きの魚を横向きにして縦方向に17匹ずつ5列配置。
最後の1列は終わりだからか右を向いて並べられていた。
下が少し空いている。
20匹で5列にしていないところが憎い。

瓢箪を並べた作品

いくつか数えなかったから図録が届いたら数えてみたい。
(昨日買った図録にはなかった)

いろんな布地で作られたその作品のタイトルは、『いい形、いい布』。
確かに、その通り☺️

(追記)2025/2/3

Amazonで早速届いた

数えたら、横向きの瓢箪が10個縦に並べられて、5列だった。

アネモネ 1969年

宮脇綾子さんが好きな花。
背景はシックな色で花が引き立つ。
絵葉書欲しかったのに欠品していた。残念。


猫 1965年

あまり動物は得意じゃないけれど、これはメイさんに送りたいと思う作品だった。
でも、絵葉書にはなっていなかった。残念。
図録にあったからよし。

ピーマン断面模様屏風 1960年

これも斬新。

ピーマンを横に切ってみましたら面白いので幾つかを切って並べているうち、これはいいものが出来そうと、藍地の上に原色を交互に使い、図案風に仕上げてみました。

解説より

3個×8個=24個の布が4枚で仕立てられている。
ピーマンの断面は丸い。中に十字や三角や丸などいろんな模様が入っている。

伊勢えび 1982年

これは布の使い方が単眼鏡を使ってもよく分からなかった。
どこまでが布の柄でどこではぎ合わせているのか・・・。

ものすごくビビッドな色合いの絵柄で「伊勢えび」だけに三重県の友達に葉書を送るつもり。

白菜 1975年

左側の作品
白菜の部分を緑系ではなく青系で

日本には、四季ぞれぞれに喜びがあります。食べるものにも見るものにも、冬でなくては味わえないものがあります。みんなで工夫し、考えれば、いつでも楽しい。

解説より

今年は、この作品ができてから、50年。
温暖化が進んで、四季が二季になりつつある・・・。

今、宮脇綾子さんが生きていらしたら・・・悲しいかもしれない。

白菜の絵葉書は、「白菜が高い」と嘆いていた別の三重県の友人に送りたい。

おまけ

並んでいる時に、1番に並んでいた方とお話しした。
栃木県からいらしており、早朝に向こうを出て、東海道を一駅歩くことをしていて、今回は高輪ゲートウェイと品川の間を歩いてきて、その帰りにこれが見たくて寄られたという。67歳女性。すごい・・・。

最後まで歩くかは分からないけれど、小田原くらいまで行けたらと話されていた。

私は昨日15,464歩だった。家にいる間を入れたらもう少し歩いているだろう。

足腰が動くことがありがたい。

今年8回目の美術館だった。

東京駅の丸の内北口改札を出て目の前なので、関西の方でも新幹線が近かったら十分日帰り可能だと思う。
お昼はKITTEとか丸ビルにあるし、ご興味があればぜひ・・・・。
10時に見れば、12時前には見終わる(早い人なら1時間あれば・・・)からお昼を食べて夕方まで時間がある。
銀座までも歩いて15分弱。午後も満喫できそう。

期間中、余力があればもう1度行ってもいいと思う展覧会だった。
(どれも毎回そう思うけど・・・)

来週は山口蓬春記念美術館・・・。


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blanche
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