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鹿追町の2つの美術館(福原記念美術館・神田日勝美術館)
*なかなか行く機会もない美術館かもしれず(道外の人)、備忘録的に書いていることもあり、いつもの如く文字数が多くなっている。ごめんなさい。
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北海道旅行の2日目は、美術館に行くことにしていた。
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神田日勝記念美術館
近くにあり、車なら2分程
福原記念美術館
道東に展開するフクハラというスーパーの創業者、福原治平氏が作った美術館。
2日目のお昼は帯広で食べることにしていたので、それを踏まえて美術館を探す。
中札内のアートビレッジは冬季はやっていないし、帯広の美術館は何回も行っているので、他のエリアで探していて見つけた場所。
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トムラウシ温泉の間にあったので
ここに決めた
鹿追町
人口4,939人。
帯広の北にある町。
『千と千尋の神隠し』に出てくる湖底線路のようだと話題になった然別湖(しかりべつこ)がある。
地名は、アイヌ語の『クテクウシ』〜鹿を追うをそのまま漢字にしたもの。
福原記念美術館
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創業者は、福原治平氏。(美術館による詳細はこちら)
この美術館には、福原治平氏のコレクションが多数あり、ジャンルも様々なのでいろんな作品が楽しめてとても良かった。
主な収蔵美術品は斎藤斎の油彩画、藤井範子の日本画をはじめとして田中彰の彫刻、寺島龍一、神田日勝、平山郁夫、片岡球子、中川一政の絵画等、日本を代表するアーティストから地元・十勝で活躍するアーティストまで、約500点の作品が収蔵されております。
展示作品数は約150点。
日本人画家の絵画を中心に、彫刻、書、掛け軸、リトグラフ、ガラス工芸などを5つの展示室に分けて展示しております。
入館料:600円
*JAF 会員は500円
*神田日勝記念美術館との共通券もある。(JAF会員で600円だった)
ランチ&カフェえんじゅも併設されていて、地元の人がいらしていた感じ。
(美術館を利用しなくても入れる雰囲気なのかもしれない。)
布張りの椅子で、私は好きだった。(今風のかたいモダンな椅子が苦手故)
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席同士の感覚も広く
ゆったりとしていていい
(狭苦しいのが嫌)
年に1回展示替えが春先にあるようなので来年もまた行ってみたい。
藤井範子さんの作品で他にも見たいものができたし、斎藤斎さんの作品も見てみたい。
斎藤斎(1911ー1996)さんのこの解説は響いた。
1911年 熊本県に生まれる
1936年 東京美術学校卒業
光風会初入選
1946年 光風会会員
1976年 日展会友
1977年 現代洋画代表二百人展出品
日本の風景画百人展出品(求美編集室主催)
貧困を恐れず 斎藤斎
私は少年時代から今日に至るまで、絵描き以外
の日々を過ごしたいと思った事はない。
絵描きは貧しく、人並みの暮らしはできないものだ
と先輩画家達を眺めていたから、末は野か山で餓死
しても仕方ないと思いつつ今日まで生きのびてこら
れたのは、もういけないと思った時、つぎつぎに助
けて下さる先輩や友人達がいたからだと思っている。
私は貧しい家に生まれ、中学の頃はしばしば月謝を
滞納したが、両親が親類や知人に頼んで借金して
歩いたのを覚えている。せめて中学だけは出して
やりたいと願ったのだろう。美術学校の試験に合格
はしたが、さて学資がないと当惑した時、先輩の方々
が心配して下さり、肥後奨学金が出るようになった。
ある先輩は「月謝の方はまかせろ」といって下さったり
して、幸いにも卒業できた。しかしそれから先の貧困は
苦しかった。。好きな道を歩いているのだと、貧しさに
負けなかったのは、幼い頃から食事にも事欠く日々の
連続だったためであるが、どんなに苦しくとも、自分
の進む道は変えてはいけないと思う。
最後の「好きな道を歩いているのだと、貧しさに負けなかったのは、幼い頃から食事にも事欠く日々の連続だったためであるが、どんなに苦しくとも、自分の進む道は変えてはいけないと思う。」
ここに画家の強い決心が表れていて、貧しくても好きな道を断念しなかった斎藤斎さんに心を打たれた。
周りの人たちも優しく素晴らしい方でこの方が画家となる道を繋いでくれた。
この方の作品は「北海道鹿追町然別湖畔ホテル福原 文化の館内」でも見られるようだったのに閉館したみたいで残念。
アプローチにも彫刻
この日は曇ったり照ったりという感じでこの時は、遠くの空に青空があって、美術館のあたりはまだ雲だった。
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少年が上を向いているということは演者は鳥たち?
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奥がランチ&カフェえんじゅ
5つの展示室
平面図があった方が分かりやすいと思うので掲載。
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テラスからは後庭が見えて、そこにも作品が設置されている。
◆第1展示室
広々とした空間に迫力の大作絵画、彫刻を展示。
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藤井範子、 斎藤斎の作品が多い。
ここに赤い服を着た女性の大きな作品があった(斎藤斎)が、横にあったモデルの女性とあまりに違うのが興味深かった。(写真は撮らなかった。)
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湖面に映る姿から、
くちびる山と呼ばれる山
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作品名失念
作品リストがないのでやむなし
◆第2展示室
日本美術と彫刻の世界。
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極力避けた結果
片岡珠子
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この左隣に夏目漱石の書があったが、下に解説があっても
読むのは難しかった・・・!
◆第3展示室
書を中心とした日本的な雰囲気を演出。
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平沢貞通の絵葉書も
◆第4展示室
日本を代表する画家たちの見ごたえある作品。
ここには絵画以外の作品もあった。
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◆第5展示室
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今回、神田日勝の作品だけが飾られていた。
展示場所は適宜変わるみたい。
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似た雰囲気の作品があった
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この作品と雰囲気が似ている
https://kandanissho.com/collection/
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確かに人に渡すならこちらがいい
神田日勝記念美術館の絵とあまりに違うので、神田日勝記念美術館の方に伺うと、
『福原さんのところにあるのは、頼まれたりして人の為に描いたものが多く、そういう作品は署名が入っている。神田日勝記念美術館の方は、展覧会の為に描いたものなので、署名がない(なくても出品者だから分かる)。』と教えていただく。
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梅原龍三郎の雰囲気で描いた『赤い魚』
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かなり分厚く絵の具が塗られ
立体的
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梅原龍三郎『タイ』
いろんな作品が楽しめる福原記念美術館。
展示替えは毎年春先に行われるみたいなので、また来年以降来たいなと思った。
本当はもっとたくさん写真を撮ったのだがキリがないのでこの辺で。
ちなみに福原山荘にも行ってみたいが開館時期が限定されており、そこで休みが取れないと厳しい・・・。いつか行きたい場所。
神田日勝記念美術館
こちらは同じ日の午後に訪れた。
1993年6月17日神田日勝記念館として開館し、2006年4月1日に現在の名称に変わっている。
2年くらい前に一度訪れているが、加藤かおりさんの個展が印象的で、肝心の神田日勝の絵をあまり覚えていなかったでの再訪。
訪問してみたら、思い出した部分もある。
2年前にふと立ち寄った公園(あれはどこだったんだろう)でシニア女性にチケットをもらわなかったら知らなかったかもしれない。
ここは写真撮影がNGなのでロビーと外観のみ写真に撮った。中の雰囲気はホームページで分かる。
今なこの企画展が開催されていた。
神田日勝とは
北の大地で農民として生きながら、絵を描くことに短い命を燃やした孤高の画家、神田日勝。彼の残した作品は、いまなおその輝きを失わず、多くの人々の心をとらえています。
神田日勝は1937(昭和12)年、東京の練馬で生まれました。7歳のとき、一家は北海道の十勝に入植します。慣れない開拓生活の中で日勝は、農業に従事しながら、次第に絵画に情熱を傾けるようになります。身近な生活に題材をとり、一筆一筆に魂をこめて描かれた力強いその作品は、徐々に高い評価を受けるようになりますが、新たな境地に踏み出そうとしていた矢先の1970年、病気のため、32歳の若さで亡くなります。最後まで描き続けた馬の絵は、半身が未完成のままでした。
―『神田日勝大地への筆触』展図録より(北海道新聞社、2020年)
彼の一家は先民が投げ出したような劣悪な土地をあてがわれ、かなり苦労をしたらしい。
そんな一家が騙されて買った白い馬(すぐに死んでしまう)の絵などは見ていてとても悲しい気分になった。
彼の生涯はこちらのサイトに書かれている。
作品は写真が撮影できなかったので、こちらの作品紹介をリンクする。
いろんな作風がある。
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https://kandanissho.com/collection/
32歳という若さで亡くなった画家。
まだまだ私の知らない芸術家がたくさんいるのだと思う。
少しずつ広げていきたい。
北海道旅行の2日目は美術館三昧の1日だった。。。
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