
平安文学、いとをかし@静嘉堂文庫美術館
静嘉堂@丸の内
今年最初の美術館は、静嘉堂文庫美術館@丸の内。
移転してから行きやすい。
今は、国宝7件、重要文化財84件を含む、およそ20万冊の古典籍(漢籍12万冊・和書8万冊)と6,500件の東洋古美術品を収蔵している。










もし先に入ってしまったら受付でスタンプを押してもらって再入場する



今回、展示室3に俵屋宗達の国宝の屏風、展示室4に国宝2つ(曜変天目と太田切)が展示



新しくなって昔の静嘉堂文庫とは違って、ちょっと寂しくなる。
平安文学、いとをかし
出品目録はこちら。
お墓参りに行くのに東京駅を通るから、近いここを見に行ってからと思っていた。(お墓参りは母インフルエンザ罹患によりなくなった。)
本展では、国宝 俵屋宗達「源氏物語関屋澪標図屏風」、国宝 「倭漢朗詠抄 太田切」をはじめ、国宝3件、重要文化財5件を含む平安文学を題材とした絵画や書の名品と、静嘉堂文庫が所蔵する古典籍から、みなさまを「いとをかし」な平安文学の世界にご案内します。今なお輝きにあふれる平安文学の魅力に触れてみてください。
俵屋宗達
国宝 源氏物語関谷澪標図屏風」
俵屋宗達の国宝指定は3つ。
そのうちの1つ。
醍醐寺に寄進をしたお礼として、岩崎家へ贈られた国宝の屏風。

人がいないときに、と後回しにしたらそのまま忘れた
(痛恨のミス)やはり疲れてる

移転前にあった静嘉堂文庫美術館で、2015年に修復を経て10年ぶりに公開されたが、その時は首都圏にいなかったので見にいけなかった。
『源氏物語』第十四帖「澪標」と第十六帖「関屋」を題材とした本作は、宗達の作品中、国宝に指定される3点のうちの1つとして著名です。明治29年(1896)頃に、醍醐寺への寄進の返礼として、静嘉堂の創始者である岩﨑彌之助に贈られました。
絵具の剥落や画面の亀裂等の損傷がはなはだしく、静嘉堂文庫美術館では、国及び東京都の助成を受け修理事業に着手してまいりました。このたび無事に修理を終え、静嘉堂にて約10年ぶりの公開となります。
モチーフを限定し直線と曲線を見事に使いわけた大胆な画面構成、金・緑・白を主調とした巧みな色づかいなど、宗達画の魅力を存分に伝える傑作の新たな装いを、この機会にぜひお楽しみください。
当時の静嘉堂文庫美術館サイトより
国宝
「倭漢朗詠抄 太田切」
北栄からもたらされた唐紙に、日本で金銀泥で花鳥や草木の下絵を描き加えた料紙を用いたもの。まさに調度手本の代表的な作品
https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/29843?page=3

「日本の下絵と中国の紙」「和歌と漢詩」「仮名と漢字」と和漢の対比を妙とする本作
(上記写真解説より)



昨年、和漢朗詠集はたくさん見た。
流れるような文字がとても美しかった。
この展示室4、国宝が2つも展示されているのに人が少なかった。
第一展示室に列ができていて、見逃した人がいないか心配になるくらい・・・。
小さめな展示室に国宝が2つ・・・混雑を心配したが人があまりいなくてゆっくり鑑賞できた。
単眼鏡
今回、単眼鏡を持参したが本当に良かった!
というより、今まで用いなかったことが悔やまれる。

江戸時代18-19世紀 木製漆塗
お嫁入り道具


拡大したら笑っていた!
小さな人物の表情や着物の柄など、細かい部分までよく見える。
他の作品も、とても小さな人物の顔でも拡大すると表情豊かで楽しい。
江戸時代のベストセラー、絵入源氏物語
慶安3年(1650)に絵師・山本春正(1610~82)
により、『源氏物語』の本文全文をおさめた最初の版本『絵入源氏物語』が出版されると、増刷を繰り返すほどの人気を博しました。本書はその人気を受けて万治3年に刊行された、横本の『絵入源氏物語」です。挿絵は全226図におよびます。

光源氏は空蝉の寝所に忍び込むが、
空蟬は小(上着)を一枚残して逃げ去る。
いくつか展示があったが、白黒でも十分楽しめる絵入物語。
土佐光起 紫式部図
初公開。

着物は拡大したら、萩に見えた

それを踏まえた作品
単眼鏡で見たら、紫式部の着物をはじめ細部が細かくて素晴らしいと思った。
住吉具慶
源氏物語図屏風
江戸時代17世紀の作品。細やかで華やかな色使い。

明石の君は光源氏との間に生まれた幼い姫君と須磨から大堀の山荘に移る。
雪の日、明石の君と姫の乳母は行く未
を案じた和歌を詠み交わす。(解説より)

光源氏は紫の君と葵祭の物見に出ようとする。紫の君の髪が伸びたことに気がついた源氏は、手ずからその髪の裾を切りそろえる。(解説より)
他にもたくさんの場面が描かれている。
こちらも単眼鏡で人物の顔や着物、周りのものまで見て楽しむ。
国宝 曜変天目
そして、撮影は禁止だが国宝がもう一つ。

この曜変天目を見るのは何回目だろう。
昔の静嘉堂文庫で1回、新しくなってからは3回目くらい?
初めて見たのは、昔の静嘉堂文庫で。Sと見に行った。
三菱一号館美術館で展示された時にも見に行った。
そういえば、2019年に国宝の曜変天目3つが同時期に展示される企画があった。その時は、ミホミュージアムに見に行った。懐かしい思い出。
今回の曜変天目(稲葉天目)は展示室4で見ることができる。
曜変天目は展示されると人だかりになるのに、ここの展示だと結構見られるからかさほどでもなかった。
曜変天目は世界に3つしかなくて、その全てが日本にある。
それだけでもすごいと思う。
今回もしっかり拝見してきた。
3つとも見に行ったが、やはり最高峰と言われる曜変天目(稲葉天目)は美しい。
幼少期、病弱だった三代将家光のために薬断ちをしてきた春日局は、晩年病気になっても、一切薬を飲まず、身を案じた家光により薬と共に下賜され、将軍自らこの碗で服薬させたという逸話がある。(春日局は飲むふりをして飲まなかった。)
その後、春日局の子孫である淀藩主稲葉家に代々伝わったため、「稲葉天目」と呼ばれるようになった。1918年(大正7年)に三井財閥の小野哲郎(小野夫人煕子は子爵稲葉正縄の娘)に売却され、1934年(昭和11年)に三菱財閥第4代総帥の男爵岩崎小弥太が購入したが、彼は「天下の名器を私如きが使うべきでない」として、茶碗としては生涯使うことはなかったという。結局岩崎家で使用されたのは、小弥太の三回忌の際、未亡人の孝子が仏前で茶を点てるのに用いた一回きりであった。
お陰で損傷もなく美しい姿を見ることができている。感謝。
高野切

(高野切は3人の筆者がいつそうで、こちらは最も若い筆者と推定され、
のびのびと軽やかな筆運び)・・・解説より
展示室1
一番混んでいた気がする。


枕草子の一部を章段を抜書きした抄出本(室町時代)
こちらが「天才貴公子・藤原公任が編んだアンソロジー(解説より)」
「和漢朗詠集」鎌倉時代13世紀。

展示室2
「平治物語」や「住吉物語」、「駒行幸絵巻」が展示。
「平治物語」は、鎌倉時代に書かれた絵巻物で題材は、平安時代に起きた「平治の乱」。
現存する絵巻は3つ。
「三条殿夜討巻」:ボストン美術館(アメリカ合衆国マサチューセッツ州).「信西巻」:静嘉堂文庫
「六波羅行幸巻」:東京国立博物館



首の場所は、人々の目線を追うと分かる
信西巻には、信西の最期が描かれています。信西は平清盛のパートナーのような立場の学者・僧侶です。三条殿の夜襲では何とか逃げられた信西ですが、藤原信頼が中心となる公卿会議で、信西一族追補の決定が下されました。信西は逃げますが、見付かってしまい自害。源義朝・藤原信頼軍は、信西の首を切り落とし、京都へ戻り獄門にかけました。絵巻には、信西の首を見上げる人々の姿も描かれています。
信西巻は、群青色(ぐんじょういろ:あざやかな青色)を用いた風景表現が見られるのが特徴。戦いの場面であることから、躍動感があり、武具甲冑が精緻に描かれています。
はるか昔のことが、こういう絵巻物で残っていることがすごい・・・
現代を絵巻物にしたらどうなるんだろう・・・・
情報が多すぎて何を取り上げるのかとか、そもそもどういう画法で描くのか・・・。
でも、「明治絵巻」、「昭和絵巻」、平成絵巻」あったら見てみたい・・・。
令和なら・・・「流行病」(コロナ)の絵巻物とか・・・・。
おまけ
丸の内界隈
この後、美術館を梯子。皇居三の丸尚蔵館へ向かう。
静嘉堂文庫の壁面。ここにある「瑞祥のかたち」に行きたかった。



この地図に私の大好きな場所(歩いて巡る)が詰まっている。
静嘉堂文庫から皇居三の丸尚蔵館まで徒歩15分とあるが体感はもっと短い。

鳩居堂も日本橋丸善も徒歩
皇居って本当にいい場所にあるなあと思う・・・。



人もあまり多くないし、散歩にもいい。
東京駅界隈





身体は疲れたが、心は回復した気がする。
こんな時間を持てたことに感謝。
皇居三の丸尚蔵館は午後の見守り時間に書く予定。
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