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旅の交流


気にしないこと

初日の温泉の夜。

露天風呂が熱かった。

内湯にひとりだったが、外の露天風呂にいた女性が戻ってらして、もうひとりいたことに気づく。

温泉の温度が熱い。

たまたま顔を見合わせて、どちらからともなく、少し会話をした。

その人は私の地元の同じ県からいらしてて、ひとりでここまで来ていた。
(車もなしにすごい)


その女性がふとこんなことを私に言った。

『夕食の時、大人数の家族のおじいちゃんらしき人が、
"あの女の人、1人で食べてるね"と言ったのが聞こえ、嫌な気持ちになりました。』

というようなことだった。

(夕食会場は2つあり、私の方は静かだった。その女性は、自分みたいなひとりは、大家族と離して欲しかったともらしていた。)

びっくりした。

その発言内容ではなく、そのことをその女性が気にしたことに。


こんな山奥に、ひとりで旅する女性がそんなことを気にする?
と驚いたのだ。


私は、

・そんなこと全く気にする必要はない
・ひとりの時間は最高
・所詮、人はひとり
・ひとりでいるからって、孤独で淋しいわけではない
・私なら席が嫌だったら、変えてもらえるかダメ元で聞いてみる

と言ったことを伝えてみた。

彼女は、ひとりでいるからといって、孤独で淋しいわけではないに対してのことなのか、

『私、人付き合いもあまりしないから、浅くしか付き合わないんです』みたいなことをおっしゃるから、

『それも人それぞれ。
その人の自由でいいと思う。でもだったら、このやりとり負担じゃない?
ひとりの時間を今奪ってごめんなさいね』

と言ったら、
『いえ、今日一番いい時間でした。ありがとうございます。』と言われたのでホッとした。

仕事で知らない土地に行くと必然的にひとりでいることが増えた。
意外だったのは、私がそれが平気だったことだ。
それまで、ひとりで行動することなんかほとんどなかった。
だからむしろ自分は1人は無理だと思っていたのに全く大丈夫だった。
今はひとり行動も大好き。

私は、彼女に言った。


『こんな遠くまできて、
こんな素敵な場所に来て、
せっかくのひとり時間を、
他人の、
しかも2度と会わない、
自分の自分の人生に全く関係ない人の言葉で嫌な気持ちになるなんて、とてももったいない。気にする必要ない。』

そう伝えたら、女性はとても嬉しそうにしてくれたからホッとした。
きっとこれからも、彼女はひとりの旅をするだろうし、その時に今回みたいに他人の目を気にして嫌な気持ちになりそうになったら、このやりとりを思い出してくれたらいいなと思う。

そのおじいさま、言ったことなんてとっくに忘れているに違いない。
そんなことに嫌な気持ちになるのは本当に勿体無い。

そんな長く話したわけでもない。

温泉内のちょっとしたやりとり。


カフェにて


旅の最終日に必ず立ち寄るカフェで、隣に並んだ席の女性2人の会話がたまたま聞こえた。

今、千歳はタクシー不足で、その日チェックアウトしたホテルのフロントでも女性の親子連れがタクシーがないとフロントの人とやりとりしていたのを聞いたばかりだった。

迷ったが、カフェを出たところでもまだいらしたので、どちらへ向かうのか聞いてみた。

すると支笏湖だという。

私はそのあと支笏湖郵便局に行って、風景印を押して、戻るつもりだった。

友達が『自分たちも支笏湖に行くのでお乗せしましょうか?』と声をかけて、結局お連れすることにした。

シマエナガを見に関西からいらしたとのこと。
道中いろいろ話をして、最後支笏湖でお別れするときに、

『関西にいらっしゃる時はぜひお声かけてください。このご縁を大切にしたいので、LINEを交換しましょう。』と言われた。

結局交換して、シマエナガの写真をもらってさようならした。

支笏湖郵便局で押した風景印

千歳から支笏湖までの15分ちょっとの交流。

これからこのご縁は続くのか分からない。

またお会いできるかも分からない。

でもとても楽しげな女性2人組だった。

シマエナガの写真、ありがとうございます。


今回の旅の交流の話でした。

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