モネ〜連作の情景@上野の森美術館
*このnoteは3,900文字近くあります。流し読みで2分〜3分。長くてごめんなさい。
楽しみにしていたモネを見に行った。
上記に書いたことは、
・混んでいたこと
・ミュージアムショップは長蛇の列だったこと
・ショップで買ったもの
ここでは企画展についての簡単なまとめ(備忘録)を自分用に。
美術を体系的に学んでないのであくまで感覚的な個人の感想。
企画展の構成
100%モネ、という謳い文句の通り75点の展示作品がすべてモネ。
いつも予習していこうと思いつつ時間なく当日を迎えてしまう。
第1章から第5章に分かれた展示となっている。
第1章 印象派以前のモネ
第2章 印象派の画家、モネ
第3章 テーマへの集中
第4章 連作の画家、モネ
第5章 「睡蓮」とジヴェルニーの庭
以下のリンクより各章の紹介を見ることができる。
全体の感想
各展示スペースがこじんまりとしていて、人が少ないならば落ち着いて鑑賞できそう。
全体的に落ち着いたブルー系の会場で明るすぎないので、疲れている私には良かった。
モネの作風と比較的優しい色使いが多いこともあって、終始穏やかに見ていられることも大きい。
画家によって作風が違うから、100%モネ、というモネだけの世界ということもある。
基本的に紅茶でもワインでも茶葉やぶどうの品種が混じらない方が好きだから、その人だけの企画展という方がいいのかもと改めて気付かされた。
作品リストには番号がふってあるが、展示室ではナンバリングがない。
会場でも係りの方が順番でなく空いているところから適宜見るようにと案内していた。
いつも思うけれど一定数の人はベルトコンベアみたいに壁に沿って順繰り同じ時間で進んでいく。
その近さだと照明のせいで光って見えにくいから引いて鑑賞するとかないんだろうか。
そんな時にベルトコンベア民が途切れるのを待つのだが気遣いしてくださるベルトコンベア民は、私のように引いて鑑賞している側の後ろを通って下さる。
近づいてタッチを見たり、引いたらどう見えるかの観点でも鑑賞したい。
空いている絵を探してはじっくり見た。
総じて、モネという人は、美しいと思うものをそのまま作品にしてくれる人、素直な人だと感じた。
画家の目を通して、同じ風景が違って描かれる。
モネの作品はその点ノーマルというか多くの人が、
『そうだよね』
『こんな風に美しかったよね』と思える世界感あって、だから人気が高いのだろうと思う。
家に飾りたいと思える絵も多い。
以下は各章毎の特に心に残った絵。
第1章 印象派以前のモネ
印象派以前のモネもやはり絵が上手いと当たり前の感想を持った。
サロン(官展)の審査基準が厳しくなって入選しづらい時代。
審査基準が厳しいというよりは新しい絵が出てきたから、比べることが難しくなってしまったのかもと素人的に思う。
例えば、今まで木の椅子しかなかったのに、プラスティックや他の素材の椅子が出てきた時にどう比較していいか最終は戸惑うのではなかろうか。
今でこそ、やっと多様性なんて言葉が出てきたけれど、長い長い間、脈々と同じ物差しで測ってきたんだもの。
絵に戻すと、ここの章の作品もやっぱりいい。
印象的でなくても画風が好き。
No.3 桃の入った瓶
モネの静物画は珍しい。
ガラス瓶に入ったオレンジ色の小さな桃。黄桃だろうか。
ガラスの中に重なる桃とかガラスの感じとかをゆっくり鑑賞。
No.6 ルーヴル河岸
1867年頃のパリ。
街中を書いたモネにしては珍しい作品。
許可を得てルーヴル宮殿の東ファサードから見下ろした風景画。
初来日の作品。
この絵を見て思い出したのが、
別の画家で松岡美術館で見たピサロの絵。《カルーゼル橋の午後》
もも@ももんがさんが写真を撮られていた。(ありがとう!)
違う場所からの景色だし、川の反対側だが、川のほとりの立っている物が似ていたから思い出したんだと思う。
1903年の作品。
モネの作品は1867年だから36年の開きはある。
No.9 ザーン川の岸辺の家々
この絵は色使いが好き。
1871年の作品。
普仏戦争が1870年に始まり、その際に家族と一緒にイギリスとオランダに滞在していたモネの初期の作品。
この絵の色使いやオランダの家が可愛らしい。
川に映る家が、のちにモネが印象派に移っていくのが分かる気がした。
こちらもハガキを複数購入。
そしてモネの描く青空と雲はどの作品も好き。
第2章 印象派の画家、モネ
ここはヴェトイユの絵が印象的だった。
あとはモネが制作に使っていた《No.14 モネのアトリエ舟》は、大阪展の方が好みかもとそちらも見たかった。
《No.21ヴェトイユの春》はやわらかい春の陽光を感じられるあたたかい絵でこちらも良かった。
ヴェトイユは、パリから北西に60kmほど離れた場所。
他にもセーヌ川に浮かべたボートの上から描いた教会の絵《No.17 ヴェトイユの教会》も好き。
他の章含めどの作品もそれぞれに良い。
第3章 テーマへの集中
No.30 プルーヴィルの崖、朝
ここで一番心がじんわりしたのは、
《No.30 プルーヴィルの崖、朝》
福田美術館所属作品。
ここは日本画ばかり見に行っていたので知らなかった。
この作品の横に同じ崖を描いた作品が2つあってそちらももちろんいいのだが、この崖が最終的にこんな抽象的な暖色の作品になるんだ、とモネの試行錯誤というか同じテーマに臨んだ結果なのか、とにかくこの絵は好きでかなり長い時間見ていた。
同じ場所を書いた作品
No.32-34のヴァランジュヴィルの小屋や崖を描いた作品
No.37-39のエトルタを描いた作品と
同じ場所を3つ並べてあるが、その時々のモネの表現が異なって、なるほど同じテーマに集中して、いろんな作品を生み出したのがよく分かる。
No.41 ヴィンティミーリアの眺め
こちらは、ショップで販売のノートの表紙にも採用されていた。
(前述の私が買ったもの。これと《ルーヴル河岸》と《睡蓮》の3種類がある。)
この絵もブルー基調で穏やかで好き。
青と山が好きだったSなので、彼のお母様に出すために絵葉書購入。
第4章 連作の画家、モネ
今回の展示は、連作の情景というテーマもあり、同じ場所を何枚も描いた作品を並べてあって、それがとても良かった。
積みわらシリーズ
No.47 ジヴェルニーの積みわら
No.48 積みわら
No.49 積みわら、雪の効果
どれも甲乙つけがたい。
《No.48 積みわら》は大きな積みわらの影に女性と子供が座っている。
私は風景画に人がいない絵がどちらかというと好き。
この絵はさほど人が邪魔にならず、積みわらの横で人がこんな時間を過ごすのだなぁと当時の暮らしに思いを馳せた。
《No.49 積みわら、雪の効果》も好きなのに写真は撮ってなかった。
どちらかというと見るのに集中したい。
ちなみに雪なのに色は暖色系であたたかみある作品。
こちらと後何枚かは絵葉書を買って友達に出した。(この日ランチの後KITTEに行ったから風景印で出した。)
ロンドンの橋と国会議事堂
卒業旅行は、ロンドン〜ローマ〜パリを2週間旅した。
その時、モネの絵で知っていたビッグベンやウォータールー橋、チャリング・クロス橋などの名前にワクワクした。
ウォータールー橋の作品は、
No.57 ウォータールー橋、曇り
No.58 ウォータールー橋、ロンドン、夕暮れ
No.59 ウォータールー橋、日没
があった。
クリアファイルは悩みに悩み、夕暮れを購入。絵葉書も夕暮れにした。
写真にするのはとても難しい作品。
グリーンが基調で、橋の上に点々とする灯りが夕暮れ時を感じさせる。
疲れているからか、淡く優しい色調の作品が気になっているかもしれない。
素敵さが全く伝わらないので、美術館に足を運んでください( 泣)。
第5章 「睡蓮」とジヴェルニーの庭
ここでは睡蓮の作品が3つ。
ここで特に気になったのはこの作品。
北海道に住んで良かったことの一つに、冬景色を実際に見ることが出来たこと。
絵画の中のヨーロッパの冬景色など地元にいたら想像つかない。
北海道に住んで最初に思ったのは、空気の色が違うんだということ。
ヨーロッパ絵画の空と同じ色や雰囲気を感じられた。
北緯43度の世界感。
緑の色も違う。青みが強いグリーンが多い。(東山魁夷の描く緑の木を体感)
そして流氷も実際見たけれどこんな色じゃない。
黄昏時のを見てみたい。
流氷を描いた絵があることを知らなかった。
聖地巡礼でジヴェルニーの庭に行った時もピーカンに晴れていて、ここに凍ったセーヌ川の氷が溶けて流氷が辿り着くなど思いもしなかった。
お恥ずかしながらこの歳で知る。
今までたくさんモネを見てきたのに。
行ってよかった。
書いていたらもう一度見に行きたくなった。
が、他にも見にいく予定が詰まっている。
毎回思う。
嗚呼、時間が欲しい。休みが欲しい。