朝日新聞特集「いま子どもたちは」の取材を受けて
2022年6月19日(日曜版)に始まって4日間。
朝日新聞全国版 教育欄での特集「いま子どもたちは」に美山での僕らの活動が連載された。
長期にわたる綿密な取材を受けての連載なんだけど、限られた文字数で記者の方はさぞや苦労された事かと思う。
記事が出るたびに、Facebookで投稿した内容を備忘録的にここにまとめておこうと思う。
今回感じたのは、こうした新聞というメディアの果たすべき役割は、記事にして情報を世に知らしめるだけでなく、記者の思いに触れたり、その交錯によって、取材対象の側もまた、考える機会をもらったりするということだった。
田舎町の小学生とその保護者たちに突如発生したこの取材によって、関わった人の多くが、改めて今の状況に対して、何かを感じたはずだから。
第一回 サイクルの種1 未来へ、友とこぎだす
本日から4日間、朝日新聞全国版の教育欄「いま子どもたちは」という特集で、美山のCYCLE SEEDSと、そこでいきいきと過ごす子どもたちの様子が連載されます。今日はその第一回。
地域がつくる子どもの居場所で、子どもたちは何を思い、感じ、過ごしているのか。
子どもにとってのサードプレイスは必要なのか。
今、これほどまでに便利になった社会に、実はすごく足らない部分がそこなのかもしれないと、長期に渡った綿密な取材を受けながら、改めて気づくことが多く、新聞の社会部の取材ってすごいなと、改めて感じた次第です。
その4回にわたる連載の第1回が本日朝刊に掲載されていますが、同じものをデジタルでも読んでいただけます。
有料になりますが、一月でも(お試し期間)でもいいので登録して読んでみてください。
誌面では字数の関係で書ききれなかった内容までデジタル版では今後、僕のインタビューも含め、さらに詳しい内容になって掲載されるようです。
まあ、騙されたと思って(笑)登録してこのシリーズ読んでみてください
日本中にCYCLE SEEDSのような場所が増えますように。
第二回 サイクルの種2 ウエアづくりも、仲間と挑戦
連載2回目は、地域のある子どもをピックアップしたものだった。CYCLE SEEDSから約18キロほど離れた場所からロードに乗って遊びに来る、美山のジャージをデザインした男の子だ。こういう客観的な取材を受けると、僕の知らなかったことを感じてたり、話したりしてるのかと、なんとなく彼らの成長を改めて知れてとても嬉しいものだな、と。
連載はまだまだ続きます。次回が楽しみです
第三回 サイクルの種3 美山ロード、来年こそは
連載第3回。今回登場している小6男子は、もともと自転車に乗るのが好きだった子で、運動神経も良い子だった。当時4年生だったこの子にロングライド挑戦させたら面白いんじゃ無いか(そんな予感)と思って、ロードレーサーを貸して走らせたら、果たしていとも簡単に2つの峠越えの全行程60キロを走破。そしてその時に、一緒に伴走してくれたのは、当時、高校生だった、美山のウィーラースクールの一期生、岡本智哉くん。二人の後ろ姿を見ながら、涙した記憶がある(笑)
子どもたちは、常に小さなカラダから溢れんばかりのエネルギーをもてあましていた。それを開放したのはロードレーサーという翼だったのかもしれない。
この子だけじゃない、今回の記事中の写真に写る他の子たちも、翼を手に入れた子たち。みんな底知れぬ可能性を持ち、魅力溢れる子どもたちだ。
田舎の環境も彼らに味方した。美山町の交通量の少なさも彼らには幸運なことだったのだろう。信号や交通量にストレスを受けることなく、思う存分走れる環境が味方したようにも思う。
好きに選べる自転車が簡単に借りられて、地域の多くの大人が温かく応援してくれる。そんな自分たちの町で、思う存分、心と体を楽しませられる少年少女時代を過ごした彼らが、この先、どんな道を歩んでいくのか。
僕の老後の楽しみでもある。(ブラッキー中島)
などと新聞記事のような文体で書いてみました。
第四回 サイクルの種4 自転車から世界へ、広がる関心
朝日新聞「いま子どもたちは」の最終回。
自転車だけではない、CYCLE SEEDSでの僕らの活動の「一部」が紹介されています。
実は、今回紹介されたデンマークとの交流も、僕らが持つ多様なコンテンツのひとつにしか過ぎません。そして、ここまで広がるのに、大人ばかりで考えているわけでもありません。
確かに日本の小さな田舎町が、北欧の町とどこでもドアで繋がっているというゴールは描いていましたが、実際に双方のオンライン交流の後、「私、あの子(クリスティーナ)に会いたい」と、当時中1の女の子がぽつりと言わなければ、実際の子どもたちのデンマーク滞在交流の第一歩は始まりませんでした。
僕らは確かに種は播きますが、決まった実を付ける種を彼らに渡すわけでは有りません。どんな実を付ける種を育てるのかは、結局子どもたちが決めることなので、その選択肢をできるだけたくさん用意出来るように、僕ら大人もしっかり勉強し、考え、挑戦し続けることが大切だと感じます。
子どもにとっての居場所、そしてサードプレイスとしての機能をもったこうした場所が、もっともっと全国各地に増えて欲しいとは思うけど、実際には、それを作り維持することは膨大な時間とエネルギーを要する大変な作業です。
経済的にも個人には大きな負担になります。
僕が考えるに、それを解決する方法はただひとつ、できるだけ多くの市民がビジョンを共有して参画し、みんなで楽しく分担することです。
これが地域コミュニティというものの本質でしょう。
この国に昔から合った地域コミュニティのチカラがなくなりつつある昨今、今一度その価値を改めて定義し、今の時代に合わせて進化させていく必要があります。
とにかく、長期にわたり綿密な取材を続けてくださり、本当に多くの子どもや保護者から丹念な聞き取りも行っていただいた、朝日新聞の上野記者に感謝いたします。
取材を受けた保護者や子どもたちにも、この取材を切っ掛けに、自分と家族、友人、生き方、そして町の今の状況など、あらためてしっかり考える機会になったと思います。
そしてこの連載で、美山の子たちが幸せだと思ってくださる方が増えたらいいなと思います。そしてその考えが、もっと広く様々な場所に浸透し、個人レベルの行動に移っていくことができたら幸いです。
この後、週末頃には、デジタル版で今回の連載を補完するぼくへのインタビュー記事なども出る予定らしいので、楽しみにしてます。
子ども向け自転車教室 ウィーラースクールジャパン代表 悩めるイカした50代のおっさんです。