あなたが生まれたその日の日 12/25

神はそのひとり子を賜わったほどに、この世を愛して下さった。
それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである。
-ヨハネ福音書 3章16節-

神の愛には到底及ばない、何度そう思ったか。
私がどれほど隣人を愛し、世界を愛そうと、神は常にそれ以上の愛を授けて下さる。
時に集める楽しみを
時に人に手助け出来る喜びを
そして
時に愛する友を


「~♪」
「マリー機嫌いいね」
「もちろん!もうすぐクリスマスだよ!」
「もうそんな時期かぁ…1年早いなぁ」
「メルそんな事言うにはまだ早いよぉ」
「そう?」
「30年ぐらい生きてる人のセリフだよそれ」
「えっ」
「でもメルは30歳になってもキレイなんだろうなぁ」
「んんんんん…」
「マリーはクリスマス好きなのか?」
「好きなのもあるけど…お祝い事だから」
「あぁなるほど、ブラジルはキリスト教徒が多いんだっけか」
「そういう意味ではアメリアもそうじゃないの?アイルランドだし」
「うちもキリストだけどそこまで敬虔ってわけじゃないから…まぁ、人並みには」
「ふーん、まぁ多分そこらの日本人よりはちゃんと祝うんでしょ」
「そおぉぉぉぉ…でも…?」
「ところでさー」
「ん?」
「何で日本ってクリスマスにはチキンなの?」
「さぁ…そもそも日本に七面鳥があまりいないんじゃないか?」
「日本人にはデカイからあまり受け付けなかったんじゃないかしら」
「え~…せっかくのお祝い事なのに…ターキー…」
「でも日本のチキンもおいしいよね、KFCとか」
「あれはアメリカ出身よ」
「…そうだった」
「…」

本当は…私の誕生日でもあるんだけど…
でも神様にはいつも良くしてもらってるからそっちを優先しなきゃね
信者の努めというやつであーる

「あ、というかクリスマスもそうだけど25ってマr
「あー!クリスマスの準備しなきゃいけないからもう帰るね!じゃあね!」
「あ」
「気をつけてなー」
「あの子どうしたの急に、というかアメリア何?」
「え、あ、25ってマリーの誕生日だからって言おうとして」
「あぁそうだったのか」
「そういう日が誕生日って大体イベント事とまとめられるわよね」
「私もプレゼントとか貰ったからこっちも何か贈りたいなと思ってるんだけど」
「そうだな、私も何か考えるかな」
「あの子何あげても喜びそうだから逆に困るわね」
「私は1つ決めてるんだけどね」
「何だよ~教えろよ~このこの~」
「た~ん~じょ~う~か~」
「誕生花?」
「頭グラグラする…そう、私の誕生花がヤハズカズラって花らしいんだけどそれを貰ったの、だから私も誕生花にしようかなって」
「25日…これ?クリスマスパレード?」
「それ」
「おもしろい形してるな」
「サイズ的にもそんなに大きくないから丁度いいかなって」
「いいんじゃないかしら」
「蛍のお墨付きが出たぞ、喜べエイミー!」
「わ、わーい?」
スパーン
「私はどうしたものかしらね」
「痛くないんだけどさぁ…解せん…」
「でもホタルが言ったけどマリーは何でも喜ぶと思うよ、マリーのためのプレゼントだって事がわかれば」
「それがこまr…まぁいいわ、適当に何か用意する」
「私もどうしたもんかな」

昔はクリスマスも誕生日も同じ日にあって嬉しいなぁぐらいにしか思ってなかったけど、いつ頃からか感謝を捧げる日に私が愛を授かっていいのだろうかと考えるようになった
家族はそんな事ないとは言うけど…こう、うまく気持ちが合わない

「うーん…」
「あらマリアちゃん」
「あ、シスター」
「珍しいわね、そんな顔してるの」
「ちょっとね~、深い悩みとかじゃないんだけど」
「そうなの?お姉さんに話してみる?」
「シスターでもいいけど…神父様まだいる?」
「いると思うよ」
「じゃあ先に告解室行ってくる、その後シスターにも相談するね」
「はーい、行ってらっしゃい」
「うん」

「さて迷える子羊よ、今日はどうしましたか?」
「神父様って誕生日好き?」
「私?歳を重ねる日って意味では思うところはあるけど…祝ってもらうのはいくつになっても嬉しいものですよ」
「ふーん…」
「マリアちゃんはどう?」
「人のも自分のも好き、…なんだけど私の誕生日って25日なの」
「おやクリスマス生まれなのかい、おめでたい日だ」
「そう…なんだけど」
「?」
「信者としてはさ、キリスト様の降誕を祝うべきじゃん?そんな日に自分の誕生日祝ってもらうってのはどうなのかなーって」
「なるほど、そういう悩みでしたか」
「こう、もやっと」
「これは個人的に思うことですが、両方祝うのはどうです?」
「ん~…」
「マリアちゃんらしいですね」
「そう?」
「では神父として答えますと、神は人々の幸福を願っているものです」
「うん」
「もちろん神の子であるキリスト様の降誕を祝うのは神も喜ばしいことでしょう、ですが人の子が生まれ、無事に育ち、誕生日を祝い合える事も同じくらい喜ばしい事とお考えになるのではないでしょうか」
「…」
「それに年に一度の祝日であることは、同じじゃないでしょうか」
「…」
「先程も言いましたが、両方祝ってはどうでしょう」
「…そうだね」
「悩みは晴れましたか?」
「ちょっとスッキリした、ありがと!」
「それは何よりです」
「じゃあそろそろ帰るね」
「気をつけてお帰り」
「神父様」
「ん?」
「メリークリスマス」
「メリークリスマス、それと」
「え?」
「誕生日おめでとう」
「うん、ありがと」

「あ、マリーちゃんどうだった?」
「赦してもらいましたー、シスターは今年何回目の誕生日?」
「私?30…って何言わすのよー!」
「えへへ、でもそれってさ」
「え?」
「それだけ神様に祝ってもらえたって事だよ!」
「あらいいこと言うわね」
「それでね、私今度祝ってもらえるの」
「あら誕生日なの?おめでとう!」
「ありがと!それでね、私も一緒に神様をお祝いするの」
「一緒に?」
「25日なんだ~」
「あ~…あ~!なるほど!、悩みってそれね!」
「やっぱりわかっちゃう?神父様にも私らしいって言われたけど」
「そうね~マリアちゃん度が過ぎるぐらい人が良いからね、たまにはわがまま言ってもいいのよ、それこそ誕生日ぐらい」
「うん、そうしてみる」
「それじゃあ、メリークリスマス」
「メリークリスマス」

あーあ、神様の愛には勝てないなぁ
ずーっと貰ってばっかりだもん
その上いろんな形で飽きないし
でもまぁいじけてもしょうがないしね
それにお祝いごとは難しく考えちゃだめだよね
人からの愛は遠慮せず受け取って
そして私からも愛を惜しみなくあげるんだ!

「んふ~ふふえへへへへへ」
「何よ気持ち悪い」
「いや~クリスマスイブじゃん?じゃん?」
「ジャンガジャンg
「いやじゃんて言われても、何が言いたいのよ」
「…」
「明日クリスマスだねーって」
「あんたの誕生日でしょ」
「お!?何で知ってんの!?」
「アメリア」
「言っちゃった」
「え~?そっか~?言っちゃった~?」
「あんた顔溶けてるわよ」
「いや~神様に祝ってもらえちゃうからね~」
「なんだマリー、私達からの祝福は受け取ってくれないのか?」
「え?」
「プレゼント用意したよ」
「まぁ、義理人情よ」
「あぅ」
「どうしたの?」
「いや、その、なんか改めて祝ってもらえてるって思うと…」
「何よ照れてんの?」
「そっ…れもあるけど、こう…」
「?」
「嬉しい爆発!」
「ちょ!?急に抱きつくんじゃないわよ死ぬぅ!」
「ほらマリーステイ」
「sim」
「じゃあプレゼントお披露目としようか」
「そうだね、順番どうする?」
「いいでしょ同時で」
「ソワソワ」
「じゃあいいか?せーの」
「「「はい」」」
「おぉ?まずこれは…花?」
「そ、マリー前にヤハズカズラくれたじゃん、それでお返しにマリーの誕生花のクリスマスパレード」
「えー!かわいいー!」
「花言葉は”博愛”だって」
「いや~愛あげちゃうからね~」
「その”愛”に殺されかけたんですが」
「ヤンデレってやつか?」
「違うでしょ   …いや知らないけど」
「それでーあとのこれは…なんか3人共同じのくれた?」
「「「え?」」」
「…あっ

ア゛ーーーーッ!!!!!」
「み、耳が…」
「うっさいバカ!」
「どうしたんだ…」
「サングラスじゃあああああああああああん!!!!!!」
「え?アキラとホタルもサングラスにしたの?」
「だってマリアの好きそうなもんなんてそれしか知らないし…」
「これが一番喜ぶんじゃないかなぁと思ったんだが」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、いいなぁ…
メルのラウンドタイプはかわいいし色合いも私に合う感じ
アキラのはスポーツタイプで軽くて優しくフィットしそう
ホタルのは…ティアドロップだっけかな?レイバンが有名なやつだ、シブミ…
えー…ちょっといいなぁ嬉しすぎるなぁもったいなくて使えないなぁ…」
「何この子…」
「語れるものがあるっていいな」
「喜んでくれてなにより」
「皆ほんとにありがとね!大事にする!」

結局誕生日は外でも家でも祝ってもらえた
もちろんクリスマスも祝ったけど今日だけは私が喜ぶ姿で神様が喜んでくれたらいいなって思っていっぱいお祝い受け取った
貰ったサングラスは…とりあえず飾っておこう
せっかくだから使ってもいいんだけど、しばらくはこれに残る祝福を感じながら眺めるのもいいかな
クリスマスパレードも大事に育てなきゃね、また来年咲く頃にこの喜びをちゃんと思い出せるようにね

メリークリスマス
どうかこの私の愛が、ずっと続きますように

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