ねぇねぇ
私はお母さんのことをねぇねぇと呼んでいました。
ねぇねぇとお正月にミスドの福袋を買いました。ドーナツの券が入っているからねぇねぇがほしかったから。私はイオンでナイトメア・ビフォア・クリスマスの福袋を買いました。ジャックが昔好きだったからです。それぞれ好きなものを買ったある年のお正月でした。
おとうは私ら家族の中に登場してきません。
ねぇねぇがなくなって早々、そうやって買った福袋の中身をおとうは捨てようとしてました。
あたしのは壊れてるからだそうです。
実は壊したのはあなたおとうなんですよ。それに壊れていません。
ねぇねぇがばあちゃんの形見で貰ってきた小さなタンスに傷がついて穴があいていました。これもおとうがつけた傷。
私はばあちゃんの形見だって知ってたからおとうに話したら私が壊したんじゃないの?と言われました。あれほど悲しかったことはありません。
親に向かって手が出そうになりました。
ねぇねぇはおとうにどこも連れてってもらえないまま向こうの世界にいきました。
こうして私もねぇねぇが向こうの世界に行ったことをずっと執着したまま生きてしまっています。
ねぇねぇが残したものはたくさんあるけれど、それはものではなく、会話だったり、何かの拍子でついた傷だったり、言葉では言い表せないものばかりです。
一人でいると悲しいから悲しい事を思い出してしまいました。すみません。
雨が振り終わったからか頭の痛みが取れました。
ねぇねぇは身体障害者ゆえの痛みがあったからそれがとれてるといいなって思いました。ねぇねぇが身体障害者だからって恥ずかしいと思ってごめんね。
文責那生